<つるぎ町・一宇>
現代に生きる私たちが、
「道」と聞いてイメージするのは、
主に車の通るアスファルト道路や、
人々が歩く平地の歩道だと思います。
一方、古代において道といいますと、
そのほとんどが「川」であり、
また山間部に住む人々にとっての道は、
山と山とをつなぐ「峰々」でした。
実は、ほぼ山地で占められた、
四国という地域は、
意外にも平野が少ない場所です。
今では山と山の間の深い谷底を
這うようにして鉄道が走っていますが、
線路が敷かれたのはごく最近で、
それまで道と言えば「山の尾根」
を指していたと聞きます。
この地に住む人々は、
平地に下りて用事を済ませるのではなく、
山に登り尾根伝いに移動しながら、
他の地域の人々と交流していたのですね。
この地の有力者の多くが、
集落の最上部に家を建てたのも、
「道」の重要性を知っていたからなのでしょう。