みちのくの山野草

みちのく花巻の野面から発信。

本日の下根子桜(1/29)2

2024-01-29 16:00:00 | 下根子桜八景
《1 》(2024年1月29日撮影)

《2 》(2024年1月29日撮影)

《3 》(2024年1月29日撮影)

《4 》(2024年1月29日撮影)

《5 》(2024年1月29日撮影)

 私は賢治に訊いてみた。
 賢治さんの2年4ヶ月の下根子桜での「独居自炊」と、光太郎の7年に及ぶ山口での「独居自炊」とを最近私の中で較べてみているのですが、かなり違うと感じています。賢治さん自身はどうお感じですか?
と。ただし、その返事はなかった。
 そこで私は次のように付け足した。
 賢治さんの場合は「サフイウモノニワタシハナリタイ」でしたが、光太郎の場合は「ワタシハサフシタ」と私には思えてきました。
 それはあの「小サナ杉皮葺キノ小屋」に7年間も住み続けたことが如実に示唆していると思えるからです。
と。

 そして改めて、『山荘の高村光太郎』の「先生の環境順応」の中での、著者の佐藤勝治の次の追想、
 正直で質朴な地方ほど、えらい人といえば、すぐに聖人君子と思って神さまあつかいにする習慣があります。詩人とか美術家という、先生本来の立場を認めて接する人はごくまれで、多くは、「えらい詩人」というのを、「えらい人物」として、人格的にだけ、先生を眺めていた人の方が、この地方では多かったと思います。
 しかも宮沢賢治がすでに神格化されているところへおいでになったものですから、その賢治を世の中に紹介した人とか、その賢治と親交のあった人とか、その賢治の生家と特別の関係がある人とか、そういう方面から先生を知っていったことが、なおさら先生を賢治と同格――といいますか、似たような方だと思わせたのであります。
 この地方では、賢治といえば詩人としてよりは聖人君子として尊敬されているのであります。で、こんな目で見られるということは、先生の全く予想しなかったことで、かなり困惑したであろうと思います。
 そのため、終始、自分は賢治とは違うんだということを力説されていたのであります。 ある時私に向かって、
「日本人は何か特殊な技能に秀れていると、すぐにそれを倫理的に錯覚してしまう妙なくせがある。一芸に秀でた人をすぐに立派な人だとして神さま扱いをしてしまう…投稿者略…」 
 こんな意味のことをおっしゃったことがあります。
            〈『山荘の高村光太郎』(佐藤勝治著、現代社)85p~〉
が伝える「先生」(高村光太郎のこと)の嘆きを思い出すのだった。

 続きへ
前へ 
 ”みちのくの山野草”のトップに戻る。

 ある著名な賢治研究者が私(鈴木守)の研究に関して、私の性格がおかしい(偏屈という意味?)から、その研究結果を受け容れがたいと言っているという。まあ、人間的に至らない点が多々あるはずの私だからおかしいかも知れないが、研究内容やその結果と私の性格とは関係がないはずである。
 おかしいと仰るのであれば、そもそも、私の研究は基本的には「仮説検証型」研究ですから、たったこれだけで十分です。私の検証結果に対してこのような反例があると、たった一つの反例を突きつけていただけば、私は素直に引き下がります。間違っていましたと。
 一方で、私は自分の研究結果には多少自信がないわけでもない。それは、石井洋二郎氏が鳴らす、
 あらゆることを疑い、あらゆる情報の真偽を自分の目で確認してみること、必ず一次情報に立ち返って自分の頭と足で検証してみること
という警鐘、つまり研究の基本を常に心掛けているつもりだからである。そしてまたそれは自恃ともなっている。
 そして実際、従前の定説や通説に鑑みれば、荒唐無稽だと言われそうな私の研究結果について、入沢康夫氏や大内秀明氏そして森義真氏からの支持もあるので、なおさらにである。

【新刊案内】
 そのようなことも訴えたいと願って著したのが『このままでいいのですか 『校本宮澤賢治全集』の杜撰』(鈴木 守著、録繙堂出版、1,000円(税込み))

であり、その目次は下掲のとおりである。

 現在、岩手県内の書店で販売されております。
 なお、岩手県外にお住まいの方も含め、本書の購入をご希望の場合は葉書か電話にて、入手したい旨のお申し込みを下記宛にしていただければ、まず本書を郵送いたします。到着後、その代金として1,000円分(送料無料)の切手を送って下さい。
            〒025-0068 岩手県花巻市下幅21-11 鈴木守  ☎ 0198-24-9813
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『高村光太郎山居七年』「岩手... | トップ | さくいん »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

下根子桜八景」カテゴリの最新記事