東京芝浦にある東芝本社。
日立、三菱、パナソニックとともに
日本の家電業界を牽引して来たビッグ4の一角だ。
従業員は単体で3万6000人。
グループ全体では18万7000人の巨大企業である。
その東芝に「倒産」の危機が近づいていると言う。
企業経営に浮き沈みはつきものだが
倒産すれば関連会社や取引先を含めて影響は計り知れない。
その深刻さはシャープの経営破綻の比ではない。
日本を代表する一流企業がなぜ???
そもそもの発端は2006年に6000億円をかけて買収した
米国の原発企業「ウェスチングハウス」社の存在だ。
当時から高すぎる買い物と批判されたが
もともと原発ビジネスを手がけていた東芝は
世界の原発市場を牛耳りたいという野心があったに違いない。
ところがいざフタを開けてみると
このウェスチングハウス社の隠れた問題点が次々と発覚。
7000億円を超える損失を被ることになった。
この時点ですでに債務超過だが
その間には利益を水増しする「不正会計事件」も発覚し
1万人以上の社員をリストラしたのに、それでもまだ足りない状態だ。
と言うか、会社の存続自体が危うくなって来た。
この先、銀行が追加融資に応じる可能性もないではないが
そうなると更なる大規模リストラは必至で
もはや「東芝ブランド」は風前の灯となってしまった。
毎日新聞のコラム氏が
日本人に最も不向きな技術が「原子力」だと書いていた。
確かにそうかも知れないなあと思う。
国策としての技術開発も民間のビジネスもことごとく失敗の連続だった。
多くの人々の痛み、途方もない浪費をくり返して来た。
原子力船「むつ」は放射能漏れを起こし
わずか4回の実験航海をしただけで、結局、廃船となった。
高速増殖炉「もんじゅ」もナトリウム火災事故で
20年以上もまともに動かないまま、昨年末に廃炉が決まった。
1993年に着工した青森県六ケ所村の
使用済み核燃料の再処理工場は23回も完成時期を延期し
いまだに稼働の見通しすら立たない。
それに追い打ちをかけたのが言うまでもなく福島第一原発の事故。
いまだに8万人以上が避難生活を続けていて
事故の処理費用は現段階で20兆円を超えると言う。
その「負の足跡」に東芝が新たなページを刻むことになるのだが
原発輸出を成長戦略の一つに挙げる安倍首相は
この現実をどう考えるのか・・・