俳優の松方弘樹さんが亡くなった。
闘病中なのはどこからか漏れ聞いていたのだが
まさかこんなに突然・・・
昭和を代表する東映のスターがまた一人いなくなった。
いい男だったなあ・・・
と、あらためて思ってしまうスターだった。
全盛期から「女たらし」で知られるモテモテ男でもあった。
私がひそかに憧れていた清純派女優
仁科明子さんを略奪(?)された時は嫉妬で三日間寝込んだ。
その衝撃はトランプショックの比ではなかった。
今回の突然の訃報に対しては
離婚した仁科さんから「私が最も愛した男性」などと
羨ましいほどのメッセージも寄せられていて思わず嫉妬が再燃した。(笑)
確かに女たらしではあったが
希代の「人たらし」でもあったと思う。
ハマリ役は数多くてキリがないが
一つ挙げるとすればやはり「仁義なき戦い」シリーズではないか。
金子信雄さん演じる山守組の組長のもとで
ギラギラするような男臭さを発散させながら若頭役の坂井を演じていた。
覚せい剤ヒロポンの扱いをめぐって組長と激しく対立。
親のやることに文句があるなら杯返して出て行け!
と破門を告げられるのだが・・・
「おやっさんさん、言うといたるがのお
あんた初めからわしらが担いどる神輿じゃないの!
組がここまでなるのに誰が血ぃ流しとるの!
神輿が勝手に歩ける言うんなら歩いてみないや、おおぅ!
わしの言うとおりにしとってくれりゃあわしらも黙って担ぐわ!
のお、おやっさん、喧嘩はなんぼ銭があっても勝てんので!」
「仁義なき戦い」を代表する名セリフで
その凄みさえ感じる圧倒的な威圧感は息をのむようだった。
まさしく「名優」ではなかっただろうか。
松方さんの訃報を聞いたその日。
富士山の夕景は鮮やかなシルエットだった。
山頂の気温は-27度。
見ているだけで震え上がってしまいそうだったが
あの名優の身震いするような演技をもう一度見たかった思う。
心を込めて合掌。