まろの陽だまりブログ

顔が強面だから
せめて心だけでもやさしい
陽だまりのような人間でありたいと思います。

ホームレスのオジサン

2017年01月30日 | 日記

春のような陽射しがこぼれる公園の休憩所。
自動販売機の横のスペースに
何やら荷物のようなものが積み上げられている。
通りすがりに見かけて「あ」と思った。

ホームレスの人の家財道具である。
しばらく姿を見なかったが再び舞い戻って来たのだろうか。
70歳前後の白髪頭のオジサンで
いつも自転車にこの大荷物を括りつけて移動している。
確か犬を連れていたような記憶が・・・
すっかり存在を忘れていたが
どうやら無事に生きていたようでホッとする思いがあった。

このオジサンがどんな氏素性の人で
どういう経緯を経てこの公園に住みついたのかは全く知らない。
言葉を交わしたことさえないのに
不思議な「親近感」を感じてしまうのは何故だろうか。
自分もいつ同じ境遇になるかも知れない・・・
そんな危機感というか共感がないまぜになった複雑な感情がある。
凍てつく真冬の夜、誰もいない公園で
ひとり寝袋にくるまって寝ているオジサンの姿を想像すると
痛ましいような気持ちになってしまう。

ホームレスは社会の底辺に生きる人たちである。
文字通り社会の底辺を支えて来た人たちである。
日本の土台をつくった人たちと言ってもいい。
それがいつしか社会から疎んじられ片隅に追いやられていく。
若者でさえ、ちょっとエアポケットに落ち込むと
ドンドン置いてきぼりを食ってしまう
息苦しい希望のない社会である。



意外にもと言ったら失礼だが
オジサンは結構、難しげな本を読んでいる。
どうやら図書館の廃棄図書を引き取って来たようだが
相当なインテリかも知れない。
ひょっとしたらかつてはビシッとスーツ姿を決めて
大手町や丸の内を闊歩するビジネスマンだったのかも知れない。
人の世の有為転変は仕方がないとしても
一度、ゆっくりと酒でも酌み交わして喋ってみたいと思う。

犬の散歩にでも行ったのか
それとも空き缶集めにでも出かてしまったのか
オジサンはなかなか帰って来なかった。