まろの陽だまりブログ

顔が強面だから
せめて心だけでもやさしい
陽だまりのような人間でありたいと思います。

藤沢周平さん

2017年01月03日 | 日記

デパートの硝子窓の中で
藤沢周平さんが静かに微笑んでいた。
年明けから没後20年の回顧展が開かれるらしい。

藤沢周平は山本周五郎と並ぶ時代小説の名手である。
私の周囲にもファンが驚くほど多い。
男女問わずに人気があって長編、短編、エッセイ、自伝など
数百冊を揃えている熱烈な藤沢ファンもいる。
私は短編集を何冊か読んだだけで
藤沢ファンからすればチャンチャラおかしいのだが・・・
藤沢作品は短編が圧倒的に多い。
その一冊一冊のレベルが高く文章も流れるように美しい。
司馬遼太郎が時代のリーダーを描いたのに対し
彼は徹底して江戸の貧しい庶民や下級武士の暮しを描いた。
市民のつつましい暮らしの哀歓は
そのまま現代社会に通じる普遍性があって
彼は時代小説を通して「現代人の心」を描いたのかも知れない。
そう言えば藤沢文学が最初にブームになったのは
バブルがはじけた頃だったと記憶する。
資本主義が行き詰まった中で
人々は藤沢作品の中に「癒し」と「反省」を求めたのだろうか。

いま再び藤沢周平ブームだと言う。
あらゆる意味で閉塞感が支配するこの時代にあって

 「藤沢周平がもし生きていたならば
  いまの私たちに何を伝えてくれるのか。」

という視点はあながち宣伝文句だけではないのかも知れない。
あらためて藤沢周平を読み直してみたいと思う。
どなたかオススメの作品があれば
ぜひご教授願いたい。