鈴木すみよしブログ

身近な県政にするために。

世界最先端の量子科学技術研究開発施設と原子燃料施設を視察

2024年02月12日 | 議会活動
令和6年2月12日(月) 

 エネルギー資源の乏しい日本とって、その確保は日本の将来にかかっているといっても過言ではありません。また2050年までにカーボンニュートラルを実現することは、人類にとって成し遂げるべき課題です。
 持続可能な社会を実現するためには、この二つの課題を成し遂げることが、重要課題となっています。

 先日、正副議長と県職員による、国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構(茨城県那珂市)と、日本原燃サイクル施設(青森県六ヶ所村)の施設を訪れ、それぞれの技術研究開発の現場を視察し、関係者との意見交換を行いました。

 量子科学技術とは、次世代のエネルギー源であるフュージョンエネルギー(核融合)をいいます。今世界では、この研究に関して三つのプロジェクトが同時に進行しています。その要になっているのが今回訪問した茨城県にある「JT-60SA」という施設で、日本が主導しEUが参加しています。この成果を元に、フランスでは日本、EU、アメリカ、ロシア、中国、韓国、インドが参加するプロジェクト「ITER」が動いています。
















(量子科学研究開発機構にて)

 核融合の原料は海水から得られる重水素と三重水素で、数億度というプラズマを発生させると核融合が起こり、ヘリウムと中性子が作られます。この中性子が大きなエネルギー源となり、1gで石油8トン分のエネルギーといわれています。
 燃料は海水から摂れるのですが、高温のプラズマを安定して発生することが困難で、この技術は日本がリードしています。
 中性子がエネルギー源であることから、原子力発電と重なるように思いがちですが、ウラン燃料を使わないことから使用後も残る長期に渡る放射性物質の問題は生じません。燃料を切ってしまえば、それに合わせて中性子の発生もなくなり、環境に優しいエネルギー源となります。

 実用化にはまだ25年以上もかかるようですが、今年3月からは、フュージョンエネルギーフォーラムを立ち上げ、国内外のフュージョン産業の動向調査関連企業との情報共有、フュージョン技術の標準化活動、安全規制も含めた国への政策提言、地方大学及びその地域企業を中心としたイベント・産業界と若者の意見交換などに取り組んでいくそうです。
 何よりも重要なのは、フュージョンエネルギーとは何か、安全性も含め未来のエネルギー源であることを多くの国民に正しく理解していただくための広報活動などを展開することだと思われます。

 もう一つの大きな課題は、原子燃料リサイクルです。青森県下北半島の六ヶ所村といえば、原子力発電から出た使用済み核燃料をリサイクルする最先端施設が集約されるところです。国内には多くの原子力発電所があり、ここからは使用済み核燃料のほか、放射性物質を含む廃棄物が出ます。現在は海外にあるリサイクル工場で再生しており、それを一貫して国内で実現するために取り組んでいます。
 事業内容は、ウラン濃縮、低レベル放射性廃棄物処理、高レベル放射性廃棄物処理、使用済み核燃料の再処理などがあります。








(六ヶ所村にある日本原燃にて)

 簡単に言えば、原子力発電所で使った使用済み燃料を再度燃料に換える処理と、燃料にならない放射性廃棄物をそれぞれの汚染度合いに応じて安全に処理する施設とでもいうのでしょうか。放射性物質を扱うだけに安全性の高い施設でなければなりません。福島第一原発事故をはじめ原発への信頼性は揺らいでいます。しかし、エネルギー施策において、原子力発電はベースロード電源と見なされ重要な位置付けです。カーボンニュートラルを実現する上でも、原発は避けて通れません。
 私たちは専門家ではありませんが、現場に入りどのように取り組んでいるか、その実状について納得できる説明を聞くことは政治の責任であるとも考えています。

 今回視察した二つは、私たちの未来を占うエネルギー施策の根幹をなすものとして、認識を高めることができました。
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