常識について思うこと

考えていることを書き連ねたブログ

ヒーローたちに魂を

2008年08月23日 | 産業

東京ドームのプリズムホールというところで、「プリ!キバ!ゴー!夏のキャラクターまつり」というのが開催されていたので行ってきました。本来、子供を連れて行くような場所なのでしょうが、「大きなおともだち」という立場で、勇気を振り絞って単独入場してまいりました。


プリキュア5

仮面ライダーキバ

歴代仮面ライダー

いろいろと思うところはあります。以前、このイベントのテレビCMで、等身大の仮面ライダーが映っていたので、「おぉ!これは、京都太秦で見たようにヒーロー大集結か!?」などと期待を膨らませました。アメリカ企業のように、楽しむための演出がうまくできているわけではないけれども、先日、京都太秦で見た「等身大ヒーロー」が集合した様子は圧巻でしたし、日本のコンテンツ産業の可能性を大いに感じることができました。それがあらためて、東京で見られるということであれば、是非、行ってみたいと考えたのです(「別世界の演出ができる国」参照)。

ところが、実際に入ってみると、ちょっと私の想像と違う雰囲気を感じました。「等身大ヒーロー / ヒロイン」がいるのはたしかなのですが、どうも彼らは客寄せパンダになっていて、それ以外は適当なボール遊びやモノ売りで、時間や空間を埋めるような構成になっているように見えるのです。少なくとも、客寄せパンダに見えるようなヒーローやヒロインに、それほど興奮を覚えませんし、京都太秦で感じたような喜びもありません。


ゴーオンブルー&イエロー
 
グリーン&ブラック

蛮機獣ボール当て

入り口を抜けると、すぐにゴーオンブルーとゴーオンイエローが立っています。振り返ると、グリーンとブラックがいるのですが、ポーズには何の工夫もなく、またニョキっと伸びている手は、いかにも外れそうになっており、「あぁ、展示されているだけだ・・・」という失望感を覚えてしまうのです。その横で、蛮機獣にボールを投げつけて遊ぶゲームがあるのですが、何となく学園祭程度の品質しか感じられず、これもまた少々寂しい気がしました。

ゴーオンジャーは5人。「肝心のレッドはどこだ?」ということで探してみました。すると、彼は特別コーナーで相棒のスピードルと一緒にいました。そのコーナーは、「炎神スピードルにのろう!」という撮影コーナーで、一枚1000円というものです。他人の商売に口を出すつもりはありませんが、この時点で、どうしても引いてしまう自分がいるのです。ちなみに、このイベントには仮面ライダーキバもいましたが、オリジナルフォーム(キバフォーム)の彼も、展示スペースに見当たらず「マシンキバーにのろう」という一枚1000円の撮影コーナーで、モデルに納まっていました。

今日のコンテンツ産業において、収益を確保するということは、大変厳しいことなのだろうと思います。とくに、こうした産業に関わっている方々のうち、責任ある立場にあればあるほど、いかにして収益を上げていくかということは、より重要な課題になっていることでしょう。それも、社会全体の動きが早くなるなか、より短期的な結果を求められるようになれば、一年間限定のコンテンツやキャラクター(ヒーローたち)に、どれだけきっちり営業をしてもらうかは、非常に大切なポイントになってきます。このことは、単なる拝金主義として批判したり、切り捨てたりできる問題ではなく、そういうかたちででも、きちんと商売が回っていないと、来年のコンテンツやキャラクターを生み出せなくなるという、今日のコンテンツ産業の構造的な問題でもあるのだろうと思います(「仮面ライダーと商業主義」、「感動のすごいアニメ」参照)。そういう意味で、今回のイベントに対して、私の純粋な失望感はあるものの、その状況や関係者の方々に対して、批判を加えるようなことはできないと考えます。収益を確保できなければ、番組が打ち切られてしまったり、日の目を見なかったりということもあり得るわけで、そうした危険を回避していくことは、それはそれで重要なことなのです。

ただ、それでも敢えて、一人の視聴者あるいは消費者という立場から、一点だけ申し加えたいことがあります。それは、けっしてコンテンツやキャラクターに対する愛情や情熱を忘れてはならないということです。今回のイベントで、収益確保のための工夫や仕掛けについては、相当準備をされたのだろうと思いました。しかし、それに傾注してしまったコンテンツやキャラクターは、けっして長続きしませんし、中長期的な観点から、良い結果を招くとは到底思えないのです。


玩具販売コーナー
 
プリキュアオールスターズ

アイドルユニット結成!?

実際、どういう意図があったかは分かりません。このイベントの関係者の方々が、「コンテンツやキャラクターに対して、自分は溢れんばかりの愛情や情熱を持っている」と言い張るのであれば、それはそれで結構なことだと思います。それを否定するものではありません。しかし万が一、そう言い切れない方がいらっしゃるのであれば、今一度、ご自分の仕事の意味について、きちんと考えていただきたいと思うのです。

少なくとも、私のような来場者が、ヒーローたちが客寄せパンダになっていると感じるようではいけないと思います。ヒーローたちは、あくまでもカッコよく、常に憧れの対象でなければなりません。展示されるヒーローたちには、そういう魂がこもっていなければいけないのです。コンテンツやキャラクターに対する愛情や情熱を忘れなければ、展示されるヒーローたちには、自ずとそうした魂が宿るようになるでしょうし、それらはさらに多くの人々を惹きつける力を持つのだろうと思います。

せっかく良いものを持っているのだから、それをもっと大切にして、きちんと活かしていただきたいと思うのでした。

コメント (2)
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