常識について思うこと

考えていることを書き連ねたブログ

理想的な組織作り

2008年08月20日 | 会社

事業を立ち上げるにあたって、多くの人々の協力が必要になることは間違いなく、組織作りは必須となります。「あの人がいてくれれば」と思うことも、少なからずあり得ます。しかし、私にとって、必要な人材というのは、能力や経験を持っているかではなく、自らがやる気になってくれる人であり、そういう動機と責任感を持っている人にほかなりません。

「あなたの力が必要なので来てください」
「必ず事業を成功させますので来てください」

私は、けっしてこう言って、他人を巻き込むことはいたしません。このように懇願したり、成功を約束したかたちで、他人を事業に巻き込んでしまうと、後になって大変な問題を引き起こします。私が考えている事業は、間違いなく大事業だと思っています。そして、そうした大事業というのは、兎角難しいもので、幾度となく難局を経験することになります。普段は、一所懸命働いてくれる人でも、状況が厳しくなればなるほど、誰かに頼ろうとしますし、それもうまくいかないとなると、他人に責任をなすりつけるような行為にまで及びます。

「俺はあいつに頼まれて、この事業を助けに来てやったんだ」
「あいつが成功すると言ったんだから、あいつが何とかするべきだ」

懇願されたり、他人事のつもりで事業に参加したような人の場合、追い詰められていくと、最後の段階で、こんなもう一人の自分が頭をもたげるようになるのです。自分も立派な当事者であるにもかかわらず、こういう無責任な弱さが表に出ることで、人間は本来の力を発揮できず、また組織もますます難しい局面に陥ることになってしまいます。しかも悪いことに、そういう人間一人の存在が、他の多くの人々にまで大きく影響を及ぼし、全体に広く波及してしまうという点が、実に厄介なところです。結果として、「頼まれて来てやったんだ」、「あいつが成功すると言ったんだ」と思うような無責任な人間が、一人紛れ込んでしまうことで、崩れるはずのない組織でも、いとも簡単に崩壊していくことになるわけです。

したがって、私自身、新しく事業を興すにあたっては、一人一人の役割や意味を非常に重く考えています。

そして、これをネガティブな意味ではなく、ポジティブな意味で捉えると、真に強い組織とは、一人一人が絶大なる責任感と使命感を持って行動し、いかなる難局にも諦めず、自分たちが持ち得る全ての力を発揮する組織だということになります。また、だからこそ難しいと思われる事業を遂行するための組織作りをしていくうえで、私はけっして懇願したり、事業の成功を約束するようなかたちで、他人を巻き込むようなことをしないのです。

これに代わって、私がしていることは、周囲の人々に対して、以下の3つについて、一方的に伝えているだけです。

-私の現状認識
 ・過去及び現在の深刻な問題に対して、無策で突き進んだときの世界の未来像
-私のビジョン
 ・未来を切り拓くための解決策、及びそれが実施されたときの世界の未来像
-私の行動計画
 ・ビジョンを実現するための直近の具体的な行動計画

これらに対しては、人によっていろいろな反応がありますが、次の3つに大きく分類できると思います。

①反発する人:当分、私とは仕事上で何の繋がりもない人でしょう。
②共感する人:いつか私と一緒に仕事ができる可能性がある人でしょう。
③共感し、実践する人:今すぐにでも、私と一緒に仕事ができる人でしょう。

難しい問題を解決していく真に強い組織とは、真に強い人々の集団です。それは③のように自らの意思で動く人々が、自ずと集まったときに生まれてくるのだと思います。この集団は、誰かの指示によって集まったというような集団ではなく、それぞれの自由意志と責任に基づいて生じた集団であり、互いに責任を擦りつけるような関係にはありません。そして、こうした集団が組織化されたとき、あらゆる不可能は可能になっていくと考えます。

言うまでもありませんが、私は自分が考える事業が必ず成功すると思っています。しかし、それでも、上記のような理由から、他人に対して、敢えて「成功する」という約束はいたしません。懇願したり、事業の成功を約束するという行為は、その人にとっての甘えとなり、結果的に事業の失敗を招くからです。

こうした考え方が卑怯だと思う方もいるでしょう。それはそれで、結構なことだと思います。ただし、そうである限り、けっして私と交わることもありません。あるいは、私のこんな考え方を単なる理想論だと笑う人がいるだろうとも思います。

しかし、私は遠からず、そんな理想的な組織が、必ず生まれると信じています。そして、それが可視化されていくことで、今まで不可能と思われていた事業の成功も、きちんと現実味を帯びてくるのだろうと思います。

コメント
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