思惟石

懈怠石のパスワード忘れたので改めて開設しました。

【読書メモ】2011年9月 ②

2019-11-11 16:10:31 | 【読書メモ】2011年
<読書メモ 2011年9月 ②>
カッコ内は、2019年現在の補足コメントです。


『小暮写眞館』宮部みゆき
さくさく読めて楽しめるが、こんなに分厚い必要はない。

(作者には珍しい、ノンミステリー小説です。
 が、お約束の心霊現象は、ちょっと出ます。
 全体的には「家族小説」となるのかな。
 なぜか<このミス>(2011)にランクインしてますが…)


『育児なし日記』逢坂みえこ
テンパリストに出ている漫画家だった。
印象が違いすぎて気づかなかった。

(雑誌『ひよこクラブ』に2004年から2008年まで
 連載されていた子育てマンガエッセイ。
 連載時はすでに子どもが8歳くらいだったはず。
 何年も前のことをよく覚えてるなあ…と変な角度で感心しました。
 東村あきこ『ママはテンパリスト』では
 黒髪クールな姉御っぽく描かれているんですが、
 こちらでのいわゆる自画像はだいぶコミカルな顔と体形で
 同一人物だとは思わなかった…)


『ねこのばば』畠中恵
シリーズ第一作の『しゃばけ』を読んだときはぴんと来なかったけど、
こっちの短編集は良かった。軽く、安心して読める娯楽作品。

(若旦那と妖怪が出るのが<しゃばけ>シリーズ
 江戸の町名主の跡取り息子が主人公なのが<まんまこと>シリーズです。
 どっちもトンマナ一緒だし、短編集だし、
 なんか小難しいこと考えずにボーっと読書したいな、と思ったら
 ひらがな4文字くらいの何かを読めば良い、くらいの覚え方で大丈夫!(雑!)
 『ねこのばば』は<しゃばけ>の3冊目。
 って、また2冊目をすっ飛ばして読んでしまったか。まあいいか)


『爆裂エッセイ 極め道』三浦しをん
(メモなし。
 光文社の文庫オリジナルで出版されたエッセイです。
 通りすがりに知らん男に「ブス」と言われたエピソードとか
 私だったら噴飯ものだし、文章にしたら毒しか出てこないと思いますが
 三浦しをんだとおもしろくなるんですよね。すごいよね)


『またたび浴びたタマ』村上春樹
回文集。

(回文集で、カルタになってます。
 ダジャレカルタ『うさぎおいしーフランス人』と兄弟みたいなものですかね。
 人は、これだけ文章がうまくなると、
 回文とかアナグラムとかのプリミティブな言葉遊びに戻るのだろうか。
 土屋耕一か!と、細かすぎて伝わらないツッコミを入れたくなる)


『プリズンホテル春』浅田次郎
夏の方が良いのでは。シリーズ最終作。

(しつこいですが<プリズンホテル>シリーズは
 夏が第一作
です。夏秋冬春の順番ね!
 なんで、秋冬すっ飛ばして春を読んでいるんだ!私は!!!
 ぽんこつだからでしょうね。知ってる)
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ショーン・タン『遠い町から来た話』

2019-11-08 16:22:14 | 日記
ショーン・タン『遠い町から来た話』。
翻訳は岸本佐知子です。

訳者のエッセイが好きだからかな…
Amazonでやたらとこの本のバナーが出る時期があり、
気になって読んでみた。
すごくいい!!!

ショーン・タンはオーストラリアの絵本作家。
と言っていいのかな…。

この人の作品は「絵本」というくくりに留まらない気がしますよね。
素晴らしい世界観のある「画と物語の作品」をつくる人。です。

ひとつのお話しが数ページ単位で、
いろんな物語や世界観や表現がギュッと盛り込まれています。
すごくお得だ。

個人的には留学生エリックが胸に来た。
グッズがあったらほしい。
このページのカラーコピーを定期入れに入れたい(たとえが古いな)。

こういう本を持っているだけで、
ちょっと気分良くなれちゃいますよね。
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【読書メモ】2011年9月 ①

2019-11-06 14:25:59 | 【読書メモ】2011年
<読書メモ 2011年9月 ①>
カッコ内は、2019年現在の補足コメントです。


『プリズンホテル 夏』浅田次郎
(メモなし。
 春夏秋冬で4冊出ているシリーズモノですが、
 この「夏」が第一巻です。間違えないで!!!
 舞台はヤクザが経営する山奥の通称「プリズンホテル」。
 主人公である性格破綻者の任侠小説家・木戸孝之介の周囲にいる
 様々な人の、人生ドラマ。
 コミカルな一面と、「生きる」ということの細やかさ。
 浅田次郎はホントに上手いですよねえ。
 氏の作品はシリアスなヤツもいろいろ読みましたが、
 この<プリズンホテル>シリーズが一番良いと思う。
 私はこれが一番好きだ)


『シューマンの指』奥泉光
おもしろかった。
バルサンを焚いている間に一気に読んだ。

(当時住んでいた駒込の借家、ホントよく出た、Gが。
 台地の割に水はけが良くない、湿気っぽい感じの土地だったんですよね。
 不思議な家だったな…。
 あ、『シューマンの指』はめちゃくちゃおもしろいですよ!
 奥泉作品の中では個人的1位です)


『なんとなくな日々』川上弘美
(メモなし。
 エッセイ集。
 日常の細やかな部分が多い、ゆるい感じの短いエッセイ。
 ふたりの子どものこと(当時はまだ小学生くらい)も出る。
 食べものやお酒、季節のことも、いつも通りたくさん出る。
 2001年初版だから、書かれたのはそれよりちょっと前かな。
 『ゆっくりさよらなをとなえる』
 も3ページ程度の短いエッセイが多く、初版が2001年。
 このころ、あちこちからエッセイのオファーがあったんですかね。
 それは大変そうだな…)


『建築探偵日記』藤森照信
(メモなし。
 <建築探偵>藤森照信先生の本
 ちなみに絶版やら新版やら、さらなる絶版やらが多く、
 おまけに私の手元にほとんど残ってないという(管理不足)。
 踏んだり蹴ったりである。
 いや、自業自得ですけど。
 こんなにあれもこれも入手困難なるとは…。とほほ。
 オリジナルは『建築探偵日記 東京物語』(1993年・王国社)で、
 その後に『完本・建築探偵日記 東京おんりい・いえすたでい』が
 増補新版として王国社から再び1999年に出ています。
 私はどっちを読んだんでしょうね…。後者かな…)


『ああ娘』西原理恵子+父さん母さんズ
(メモなし。
 世の中の父さん母さんから寄せられた娘エピソード(どれもおもしろい)に
 サイバラ漫画が挿入されている感じです。
 女子って、生まれた瞬間から女子なんだよなあ…。
 親としてのあるあるはわからないけど、
 そんな私でも笑えて震えてほっこりできました)
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津村記久子『アレグリアとは仕事はできない』コピー機への憎しみすごい笑

2019-11-05 19:51:26 | 日記
安定の津村記久子クオリティで楽しめる
『アレグリアとは仕事はできない』です。
たのしいよ!

初出は雑誌『ちくま』(2007-2008)で、連載時のタイトルは
『コピー機が憎い!』。
まったくもって、そのタイトル通りの内容です。
すごいよ!
コピー機への憎しみで、ちゃんと小説になってる!
コピー機への憎しみだけで、人間模様が楽しめる!
津村記久子すごい笑

主人公のミノベは津村作品におなじみ感のある、
自分なりに仕事やその周辺の事象・事物と折り合いをつけている
(もしくはつけようとあがいている)社会人女性。

ミノベは、古い機械や使いにくい文房具とも、
きちんと向き合って折り合いをつけているのですが。
大判出力もできる複合機<アレグリア>とは
どうにもこうにも気が合わない。
男性社員や社長には媚を売るようによく働くのに、
ミノベのコピーはさぼる、紙を無駄遣いする、言うこと聞かない。

いや、本当は中国の工場から来たジャンク品の機械なんですが。
「おまえ、いいかげんにしろよ!」
と叫んじゃうミノベの気持ち、よくわかるわ…。
機械の<アレグリア>相手に「性悪女」だの「ビッチ」だの
自然と口にのぼる感じ、よくわかります…。

社会人として若かりし頃は、プレゼン直前に
何度も複合機に裏切られたもんですが、
「私、こいつ(コピー機)に舐められてんじゃないか…?!」
と思うことしきりでした。
そういや最近は痛い目にあわされてないな。
やっぱりあいつら、相手見て働いてるわ、絶対。

いまのタイトルも良いと思いますが、
ドストレートな連載時のタイトル、すごく好き。
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山本幸久『笑う招き猫』なんか、元気になれる!

2019-11-01 11:03:19 | 日記
山本幸久『笑う招き猫』です。
第13回小説すばる新人賞(2003)を受賞した、
著者のデビュー作。

駆け出しの漫才コンビ「アカコとヒトミ」の
一年ちょいを描いた物語。

駆け出しと言いつつ28歳、若くないですけどね…。
大学卒業後、3年ほどしてコンビを組み
なんとかちっちゃ~い事務所に所属できて
マネージャーもつき(と言っても所属芸人ほぼ全員掛け持ち)、
一年ほどが経った今…、というところ。

ふたりのキャラが良いのです。
ノッポのヒトミと、豆タンク体型(ってよく考えるとわからん
表現だけど)のアカコ。
ふたりが良い感じに言い合いしたり、いちゃこらしたり、
けなしあったり、チャリに二人乗りしたり。
なんか、元気良いなあ、お前ら!あと仲も良いな!
というほっこりした気分になれます。
私のような通勤読書人は、読むだけで
元気のおこぼれをもらえます。ありがたやぁ。

まあ、でも、28歳ですよ。
アカコは裕福な家の「家事手伝い」身分だけど、
ヒトミはバイトしながら狭いアパートで独り暮らし。
金無し、恋人無し、社会的評価も無し、という無しづくし。
大丈夫かお前ら!

と冷静な部分では心配しちゃうんですが、
その割に、二人が明るい。良い感じ。
漫才を楽しんでいて、ネタづくりも楽しんでいて、
なんというか、明るいトーンで読めます。
今が良ければきっとこの先も大丈夫だ!という気分に
ならないこともない。

いや、なかなか周囲の状況は笑いごとじゃないんだけど。
相変わらずの、無しづくしだけど。

おまけに、頼れるマネージャーがいなくなったり、
この先どうすんだよ!って感じの終わり方なのに、
読後感も良いんですよね。
なんでだろ。
ずるいなあ(誉めてます)。

おまけにおまけに、文庫の解説は片桐仁です。
なんか、作者の印象まで良くなるナイス解説です。
(作者は元編集者で、ラーメンズの連載の担当をしていたそうな)

イヤミスとかで心乱されるのがイヤだ!という人(私です)におススメ。
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