思惟石

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『天上の葦』 ごんぶと!社会派ミステリ

2022-10-07 16:20:40 | 日記
『天上の葦』太田愛

鑓水(やりみず)、相馬、修二の3人シリーズ第三作。
今回も疾走感とエンタメ感と骨太社会派ミステリパワーが炸裂する、
すごい長編でした。
いやもう、骨太というか、ごんぶとだわ。

文庫上下巻の、上巻100ページ目くらいで
もうドライブ入りまくりの怒涛の展開です。
このまま走りきれる?ガス欠しない?と
読者が不安になります笑

もちろん走り切りましたよ!
ずっとフルスロットルで展開しまくって、
最初から最後まで凄かった!
この作者、怖い。

正光じいちゃんの
「最初は小さな火が、取り返しのつかないことになる」
という危機感には共感するけれど、
その、小さな火を見極めるのってすごく難しくないかなあ。
私だったらボーッと気づかなくて、だいぶ炎上しても、
やっぱり気づかないかもしれない
(そういう人間はミステリには登場できない笑)。

息つく暇もない展開もうまいし、トリオの3人の活用もうまい。
影が薄い奴とか出そうなもんなのに、
それぞれがちゃんと個性的で、意味ある行動をしていて、
きちんとピースがハマる感じ。
脚本家出身だからかなあ、うまいよなあ。

もうね、現代の社会派ミステリといえば、
太田愛と相場英雄ではないでしょうか。
凄い人である。

主人公3人の過去も描かれたので、次回作はどうするのかな。
違う設定のものも読んでみたいなあ。
コメント
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