Jazz Standardに足を運び、ティム・バーンのSnakeoil(2017/9/13 1st)。18:15開場のところ18時に行くと2番目だった。
Tim Berne (as)
Oscar Noriega (cl, bcl)
Matt Mitchell (p)
Ches Smith (ds, vib, perc)
ギターのライアン・フェレイラ抜きのスネークオイルだが、十分すぎるほどのスーパーグループ。ティム・バーンは相変わらずむさ苦しく飄々とギャグをかましていて、いきなりツボを突いてくる。
手でタイコを叩き始めるチェス・スミス。ここにティム・バーンのアルトとオスカー・ノリエガのクラとがユニゾンで入ってくる。ユニゾンとは言っても音色勝負のようなところもあるし、緊密な自由さをもって離れていったりもする。マット・ミッチェルのピアノとノリエガのクラとが甲高い音でシンクロし、また、ピアノとドラムスとが隘路から音を散らす。スミスは弓でヴァイブを擦る。バスクラに持ち替えたノリエガとミッチェルとが単調なリズムを刻み始めるのだが、ミッチェルは、そこから重厚な和音を活かしたソロに移行した。
バーンの、長いアルト。もうこれを聴くだけで快感中枢を刺激される。やがてバスクラとピアノが入り三つどもえ、そしてヴァイブが入り四体問題へ。
2曲目は「Surface Noise」だと言った。スミスはヴァイブとドラムスでミッチェルのピアノと会話をするようだ。しばらくしてバーンが介入し、ノリエガのバスクラとともにサウンドを主導する。スミスはヴァイブで激しく暴れもした。やがてバスクラとピアノ、そしてバスクラだけが残され、執拗に同じ旋律を繰り返す。ここでまた、落ち着かせるようにアルトが入り、ピアノは思索的な旋律。しかし、収束に向けて萎んでいくのではなく、全員で高みへと昇っていった。最終的にテーマに収斂したときの快感と言ったらない。
3曲目、まずは、アルトとバスクラとがお互いに補足し絡みあう。ピアノが低音から入ってきて、スミスがブラシから初めて激しくドラムスを叩いた。残るのはピアノとドラムス。ミッチェルがコアをもとに執拗に発展形の数々を提示する。
ここでスミスがドラムスからヴァイブに移行し、音風景が転換した。クラが伴奏のように加わったが、またスミスだけ残り、マレットで鐘やヴァイブの丸い音色を発しつつ、シンバルの歪んだ音も出す。少々の間を置いて、全員が介入、そして前の曲と同じく、突然終わった。
4曲目、全員のユニゾンから、バスクラのソロ。バスクラとピアノとの対峙もある。アルトとヴァイブとが戻ってきて、不穏なうなりのようなものを創出した。ここで妖しい光を放つピアノとヴァイブ、その中で粘っこく吹くアルトが実に気持ちいい。バーンのブロウは熱を帯びてきて、やがて、奇妙な希望を感じさせるアンサンブルで終わった。
それにしても、聴いている間ずっと、バーンのアルトによって完全に武装解除され、腹を上に向けた犬のようになってしまった。粘っこく、エンジンが強力で、猛禽類のように力強く旋律とともに突き進む。ミッチェルの独創的なピアノも素晴らしいし、ドラムスとヴァイブを同列のものとして扱うスミスの音の拡がりにも魅了された。
Nikon P7800
●ティム・バーン
イングリッド・ラブロック UBATUBA@Cornelia Street Cafe(2015年)
ティム・バーン『Incidentals』(2014年)
イングリッド・ラブロック『ubatuba』(2014年)
ティム・バーン『You've Been Watching Me』(2014年)
ティム・バーン『Shadow Man』(2013年)
チェス・スミス『International Hoohah』(2012年)
ティム・バーン『Electric and Acoustic Hard Cell Live』(2004年)
ティム・バーン『The Sublime and. Science Fiction Live』(2003年)
ティム・バーン+マルク・デュクレ+トム・レイニー『Big Satan』(1996年)
ジョン・ゾーン『Spy vs. Spy』(1988年)
●オスカー・ノリエガ
ティム・バーン『Incidentals』(2014年)
ティム・バーン『Shadow Man』(2013年)
ティム・バーン『You've Been Watching Me』(2014年)
イングリッド・ラブロック(Anti-House)『Roulette of the Cradle』(2014年)
エド・シュラー『The Force』(1994年)
●チェス・スミス
チェス・スミス『The Bell』(2015年)
メアリー・ハルヴァーソン『Away With You』(2015年)
ティム・バーン『Incidentals』(2014年)
ティム・バーン『You've Been Watching Me』(2014年)
ティム・バーン『Shadow Man』(2013年)
チェス・スミス『International Hoohah』(2012年)
●マット・ミッチェル
マット・ミッチェル『Vista Accumulation』(2015年)
ティム・バーン『Incidentals』(2014年)
マリオ・パヴォーン『Blue Dialect』(2014年)
ティム・バーン『You've Been Watching Me』(2014年)
ティム・バーン『Shadow Man』(2013年)