グッゲンハイム美術館を再訪(2017/9/13)。中は工事中でスパイラルの坂を下から昇ることはできない。また展示も準備中のものが多かった。
■ マウリツィオ・カタラン「America」
とりあえず目玉を観ようと5階までエレベーターで昇ると、何やら行列。それはマウリツィオ・カタランのレディメイド作品「America」に向かっていた。行列の人数は少ないがほとんど動かない。というのも、この作品は金で作られた便器なのであり、何をしてもよいというコンセプト(便器を持ち上げる以外は)。ひとりひとりがトイレに入って何かをするので時間がかかる。
1時間待ってようやくわたしの番。別に用を足したいでもなし、無理に何かをするでもなし、呆然と眺めて水だけ流した。それも含めて「America」なのかどうか考える気もないのだった。そういえばこっちで野菜を食べていないせいか不規則なせいか便秘だと気が付いた。
■ 神秘的象徴主義
「Mystical Symbolism: The Salon de la Rose+Croix in Paris, 1892–1897」と題された展示。「Rose+Croix」とは薔薇十字団。作家ジュゼファン・ぺラダンはその思想に基づき毎年展覧会を開いていた。
とは言っても、薔薇十字団については、ウンベルト・エーコ『フーコーの振り子』を読んだときに適当に調べた程度の知識しかない。象徴主義だって自分とは無縁の世界。J・K・ユイスマンス『さかしま』(1884年)だって、ああ変態だなという・・・。
そんなわけで知的にも美的にもいまいち惹かれず観たのだが、唯一面白いなと思った作品は、アルベルト・トラックセルの「The Real Celebrations」連作の1枚。なんでもこの人は「建築界のエドガー・アラン・ポー」と称されたそうである。ぺラダンが求めるようなものは、このようなイカレポンチの宮殿だった。
■ ブランクーシ
コンスタンティン・ブランクーシの作品いくつか。なにかが憑依したように丸っこいものばかりを創り続けた人であり、わりと共感できるのだ。ポンピドゥー・センターにあったアトリエを観たときにはかなり夢中になってしまった。
今回の中では「The Miracle (Seal [I])」がとびきり愉しい。石灰石ベースの大理石仕上げ。触ったら気持ちいいだろうな。しかし、どうしても『ウルトラQ』のナメゴンを思い出してしまう。