Sightsong

自縄自縛日記

ジョナサン・フィンレイソン『Moving Still』

2016-12-13 10:46:36 | アヴァンギャルド・ジャズ

ジョナサン・フィンレイソン『Moving Still』(Pi Recordings、2016年)を聴く。

Jonathan Finlayson (tp)
Miles Okazaki (g)
Matt Mitchell (p)
John Hebert (b)
Craig Weinrib (ds) 

前のリーダー作『Moment & the Message』(2012年)は、まるで小型精密な音楽機械が四方八方からサウンドのフラグメンツを雨あられと集中させるような、スリリングな作品だった。そのイメージでいちどライヴを観たところ(ジョナサン・フィンレイソン+ブライアン・セトルズ@6BC Garden)、その場で浮上してくるインスピレーションなど野蛮だと言わんばかりに、組み上げられたコンポジションをもとに丹念にサウンドを創り上げており、また驚かされた。

サウンドはM-BASEというよりヘンリー・スレッギル~リバティ・エルマンのコンポジションの雰囲気を色濃く受け継いでいるように思える。本盤を一聴して、まずはシンプルな構成で目立ったサプライズのない作品だなと感じた。

しかし、何度も追っていくと、やはりこれも丹念緻密に組み上げられているのだった。マイルス・オカザキのギター、マット・ミッチェルのピアノ、ジョン・エイベアのベースが、巧妙に、次々に前面に出てきては、入れ子細工か精密な三次元パズルのようにまた別の形となってゆく。そして知的に全体を主導するようなフィンレイソンのトランペット。静かにスリリングな作品である。

●ジョナサン・フィンレイソン
メアリー・ハルヴァーソン『Away With You』(2015年)
ジョナサン・フィンレイソン+ブライアン・セトルズ@6BC Garden(2015年)
ジョナサン・フィンレイソン『Moment & the Message』 (2012年)


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