うてん通の可笑白草紙

江戸時代。日本語にはこんな素敵な表現が合った。知らなかった言葉や切ない思いが満載の時代小説です。

猫始末~お医者同心 中原龍之介~

2012年06月16日 | 和田はつ子
 2010年3月発行
 
 北町奉行所で定中役という閑職に就きながら、動物や人の心を診るよろず医者の顔も併せ持つ中原龍之介の元へ、新米同心の松本光太郎が左遷されてやって来た。定町廻り同心に馬鹿にされ、遠慮しながら事件を追う二人の捕り物物語。シリーズ第1弾。

第一章 春爛漫つかのま
第二章 お医者同心 中原龍之介
第三章 神隠し
第四章 猫始末 長編

 商家の息子から、念願の同心株を手に入れ、晴れて北町奉行所の定町廻り同心となった松本光太郎。喜びも束の間、些細な失態から定中役という耳慣れない部署へと飛ばされた。
 そこは上役がひとりいるだけで、常駐にも及ばず、同心とは名ばかりの奉行所内の閑職であった。
 だが、その上役の中原龍之介は、腕も立てば、人柄も温厚かつ頭も切れる。何より、組屋敷では、動物や人の心を診るよろず医者も開き、庭には薬草が植わっていた。
 そんな二人は、堀米屋の幼い跡取り息子大五が、行方知れずになった事件を調べる事になった。調べを勧めて行くうちに、堀米屋の庭の桜の下から人骨が見付かり、事件は思わぬ方向に転がり出すのだった。
 まずは、奉行所に定中役という役目がある事を初めて知った。臨時の時に対応する職で、出役なども行ったそうである。定員は2名。
 その勤務体制を巧く利用し、ハーブを育てながらよろず医者との二足の草鞋の中原龍之介。文武に長け、更には至って温厚かつ柔軟な性質。
 町家の生まれながら、同新株を手に入れ念願の定町廻りに配属されたものの、わずか数日で定中役へ左遷された松本光太郎。
 この二人の謎解きなのだが、少し話がややこしい割には、結末は単純といったストーリーを、キャラの魅力が押し隠しているかに見えた。

主要登場人物
 中原龍之介...北町奉行所定中役筆頭、よろず医者
 松本光太郎...北町奉行所定中役、下り酒問屋井澤屋の総領息子
 おたい...光太郎の妻、草双紙屋よし林の娘
 幸右衛門...下り酒問屋井澤屋の主、光太郎の父親
 孝二郎...光太郎の弟
 島崎淳馬...北町奉行所年番与力
 丹羽作之助...北町奉行所吟味方与力
 永井義兵衛...北町奉行所吟味方筆頭同心
 菊池基次郎...北町奉行所定町廻り同心
 宇野又左衛門...北町奉行所御出座御帳掛同心、光太郎の朋友
 桝次...瀬戸物町の岡っ引き
 お加乃...居酒屋健菜の女将
 利左衛門...米問屋堀米屋の主
 お槙...利左衛門の後添え
 重助...堀米屋の番頭
 おゆい...元吉原の遊女
 おとき...北紺屋町の通称猫婆
 杉之介...龍之介の犬
 千草...龍之介の鶏
 松太郎...龍之介の鯉
 




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