うてん通の可笑白草紙

江戸時代。日本語にはこんな素敵な表現が合った。知らなかった言葉や切ない思いが満載の時代小説です。

つばめや仙次~ふしぎ瓦版~

2012年06月22日 | 高橋由太
 2011年7月発行 

 怪しげな事件に首をつっこんでは、それを瓦版にして売り歩く、大店の次男坊の謎解きミステリー。

序 妖しや妖し
“つばめや”の次男坊
梶之進
小町娘
もののけ鬼一と猫ノ介
旗本
梶之進の弟子入り
拝み屋の正体
終 不老不死の瓦版 計9編の連作

 死人を蘇らせると評判の拝み屋が現れたお陰で、町医者の宗庵の診療所は、すっかり寂れていると知った仙次と梶之進。死人を蘇らせると言う、件の拝み屋の真相を探る。
 金持ちの若旦那に、腕の立つ剣術家。そして、二人のマドンナ的存在の町娘。良くある設定だが、こういった組み合わせがたまらなく好きな世代もあるだろう。
 見せ場(読ませ所)のミステリーの謎解きも浅い。Tだ、ベストセラー作家でもあり、評価が高い事から、ニーズの面では、こういったさらりと読めて、恐怖ではない「不思議楽しい妖物」が求められているのだろう。
 
主要登場人物
 仙次...深川薬種問屋つばめやの次男、瓦版売り
 辻風梶之進...辻風道場の道場主、仙次の幼馴染み
 お由...町医者宗庵の娘、仙次の幼馴染み
 宗庵...町医者、仙次と梶之進の親代わり
 津吉郎...つばめやの主、仙次の兄
 鬼一...正体不明の爺
 猫ノ介...鬼一の所に住み着いた野良猫
 おみよ...女郎
 三森主水...旗本
 乙丸...主水の嫡男
 小牧新左衛門...三森家の縁者
 小牧友三郎...新左衛門の息子
 八兵衛...拝み屋
 



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雷獣びりびり大江戸あやかし犯科帳~クロスケ、吸血鬼になる~

2012年06月21日 | 高橋由太
 2011年9月発行

 「大江戸あやかし犯科帳 雷獣びりびり」シリーズ第2弾。本所・深川を舞台に、江戸の町を妖怪から守る為、妖怪亡霊改方の若き同心の冬坂刀弥を中心に、人と妖怪が力を合わせる捕り物物語。
 
序 クロスケの災難
第一夜 江戸の吸血鬼
第二夜 京の妖かし斬り師
第三夜 こよりの恋
第四夜 染之助
第五夜 医者
第六夜 守り蛇のハク
第七夜 唐人の敵討ち
顛末 妖かしの森 計9編の連作

 市井の人々は、若い娘が次々と、血を吸われて殺されるのに恐れをなしていた。妖怪改方も懸命の探索をしていたが、件の吸血鬼を捕らえる事は出来ずにいた。
 そんな最中、刀弥は滅法腕の立つ異国人に出会う。夜ノ助の旧知で、京では指折りの妖怪退治師ミクニだと言う。
 ミクニも、吸血鬼を追って江戸へ入ったのだった。
 一方、紅猫長屋に住まうこよりは、危ういところを救ってくれた、得体の知れない浪人者の西上染之助に次第に引かれていくのだが…。
 第1話を読んでいないので、河童や落ち武者などとの亡者や妖怪との繋がりが分からないが、それでも進行上差し障りはないので読み飛ばす。
 コミックと言った方が良いのだろうか、ターゲットの読者層が若いのだろう。時代考証的にも?と思った場面が幾つかあり、時代物としては些か浅い面もあるが、切なさからファンタジックな展開は、はまる人にははまるだろう。
 人物設定も良く練られていると思う。
 だが正直、宇江佐真理さん中毒の情緒を重んじるわたくしには、物足りなかった。

主要登場人物
 冬坂刀弥...妖怪改方同心
 早乙女夜ノ助...妖怪改方長官
 仁科甚吾...妖怪亡方与力
 筧統子...料理屋稲亭の娘、刀弥の許嫁
 お園...料理屋稲亭の女将、統子の母親
 早乙女善鬼...元妖怪改方筆頭同心、夜ノ助の弟
 クロスケ...子どもの雷獣
 カタナ...刀弥の使い刀鬼
 九助...河童、稲亭の板前
 火の玉...稲亭の火元係り
 平家の落ち武者...稲亭の包丁方
 ミクニ...京の妖怪退治師(金髪碧眼)
 こより...紅猫長屋の店子、仕立物師
 西上染之助..浪人、紅猫長屋の店子
 



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