うてん通の可笑白草紙

江戸時代。日本語にはこんな素敵な表現が合った。知らなかった言葉や切ない思いが満載の時代小説です。

新選組日記〜永倉新八日記・島田魁日記を読む〜

2016年07月28日 | 新撰組関連
木村幸比古

 2003年6月発行

 明治まで生き残った創成期からの幹部・永倉新八の手記「浪士文久報国記事」と、副長・土方歳三の信頼が厚く、永倉と行動をともにしていた島田魁の「島田魁日記」から、新選組の実像に迫る。
 その武勇を天下に轟かせた池田屋事件、長州藩との激戦に勝利した禁門の変、「朝敵」となり敗北した鳥羽伏見の戦い、新選組瓦解へ とつながった甲州勝沼の戦い、激しい砲撃戦に見舞われた会津戦争、奇襲作戦で挑んだ宮古湾海戦、そして土方歳三が最期を迎え、降伏を余儀なくされた五稜郭での戦い……。
 そして、永倉・島田には、近藤勇、土方歳三、沖田総司らの姿はどのように映っていたのか。「誠」を貫いた男たちの姿を克明に綴った行動録を木村幸比古氏が読み解く。



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新選組隊士烈伝〜幕末を駆け抜けた狼たちの人生

2016年07月22日 | 新撰組関連
双葉社スーパームック編

 2013年4月発行

 新選組結成150周年にあたり、知られざる「壬生狼」たちの素顔に迫る。
 最新研究で分かった近藤勇、土方歳三の意外な一面から、隊士の暮らし、生き残った隊士たちの証言、戊辰戦争と新選組の終焉までを。


第1章 故郷の同志と天然理心流
第2章 新選組結成と京の暮らし
第3章 戊辰戦争と新選組の終焉
第4章 新選組をひもとくキーワード
気になる隊士チェック

 分かり易いです。何より位置関係の地図が嬉しかった。CGでの見取り図も興味深く、写真や図なども織り交ぜた、珠玉の一冊。これは持っていて損は無いでしょう。


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幕末新選組

2016年06月09日 | 新撰組関連
池波正太郎

 2004年1月発行

 新選組二番隊組長・永倉新八の生涯を描いた作品。

青春の血
試衛館の人々
浪士隊出発
誠の旗
変乱
梅雨空
池田屋騒動
戦雲
江戸の空
激流
七条油小路
賊徒
敗走
明治元年
落日 長編

 松前藩江戸詰藩士の子息として生を受けた栄治(後の永倉新八)は、幼少の頃より神道無念流の岡田十松道場に通い、18歳で本目録を受けるまでの腕前となる。
 やがて出奔し、武者修行の旅の果てに江戸市谷の試衛館道場に辿り着き、四代目道場主の近藤勇の人柄に惹かれ、同道場仲間と共に、幕府が募集した浪士隊に参加し、京へと旅立つのだった。
 そして、舞台は京へと移り、新選組の前身・浪士隊から名を連ね、数々の戦いへと身を投じる。
 やがて、敗戦を重ね、近藤と袂を分つと、市川宇八郎(元松前藩士)らと靖共隊(作者は精鋭隊と表記)を結成し、北関東にて抗戦するも、会津藩の降伏を知ると、江戸(東京)へ戻り、松前藩に帰参が適う。
 その後、藩医・杉村介庵(松柏)の娘・きねと結婚して婿養子となり、名を杉村治備(後に義衛)と改める。

 池波先生の作品を拝読させていただいたのは、初めてなので(映像は大ファンです)、ほかも読んでみないことには、作者の意図なのか否か分からないが、単純に編集者のミスが結構目に付いたのが残念。
 内容は面白く一気に読み終えた。

主要登場人物
 永倉新八…新選組二番隊組長及び撃剣師範
 近藤勇…新選組局長
 藤堂平助…新選組八番隊組長、のち御陵衛士(高台寺党)
 原田左之助…新選組十番隊組長
 芹沢鴨…新選組局長
 土方歳三…新選組副長
 山南敬助…新選組総長
 沖田総司…新選組一番隊組長
 斎藤一…新選組三番隊組長
 伊東甲子太郎…新選組参謀及び文学師範、のち御陵衛士盟主
 鈴木三樹三郎…新選組九番隊組長・御陵衛士
 武田観柳斎…新選組五番隊組長
 市川宇八郎(芳賀宜道)…元松前藩士、靖兵隊隊長、永倉新八の朋友
 小常…永倉新八の妾、島原亀屋・芸妓
 



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土方歳三

2015年05月03日 | 新撰組関連
富樫倫太郎

  2015年4月発行

土方歳三(上)
 乱暴者として周囲の手を焼かせながらも、「強くなりたい」と固い決意をする土方歳三が、試衛館や、近藤勇、沖田総司らと出会い、やがて上京し、新選組を結成。「鬼の副長」になるまでを描いた上巻。

第一部 いも道場
第二部 浪士組
第三部 池田屋

 日野の豪農の家に生まれながら、生来の負けん気の強さから周囲の手を焼かせていた土方歳三は、ある日喧嘩の助太刀に入り、勝五郎少年と知り合う。これがのちの近藤勇との出会いであった。
 勇と接し、歳三は、「強くなりたい。強くなって、必ず武士になってやる」と志しを抱く。
 やがて、勇や沖田総司ら試衛館の仲間とともに、京の治安を守る浪士組を結成。運命は大きく動き出していく。
 そして、浪士組改め新選組を拝命した彼らは、その存在を一躍有名にした池田屋へと踏み込んだ。

土方歳三(下)
 新選組はやがて新時代の大きなうねりに飲み込まれていく。仲間との別れ、敗戦に次ぐ敗戦を繰り返しつにに、歳三は蝦夷へと転戦。短くも太く生きた歳三の生涯。

第三部 池田屋(承前)
第四部 鳥羽・伏見の戦い
第五部 五稜郭 

 池田屋事件によって一躍その名を馳せた新選組。土方歳三は副長として恐るべき統率力を発揮するが、組織が大きくなる一方で内部の不調和は避けられなくなっていた。
 また、倒幕派の勢いは激しさを増し、鳥羽・伏見の戦いの敗北をきっかけに新選組は京を後にする。江戸から甲府、宇都宮、会津と転戦した歳三は、最期の戦いの場である蝦夷地へ渡る。
 だが、戦況は悪化の一途をたどり、ついに新政府軍による総攻撃の日を迎える。

主要登場人物
 土方歳三........新選組・副長、蝦夷共和国・陸軍奉行並
 近藤 勇........新選組・局長
 芹沢 鴨........新選組・筆頭局長
 山南敬介........新選組・総長
 伊東甲子太郎....新選組・参謀
 沖田総司........新選組・一番組組長
 永倉新八........新選組・二番組組長
 斎藤 一........新選組・三番組組長
 井上源三郎......新選組・六番組組長
 藤堂平助........新選組・八番組組長、御陵衛士
 原田左之助......新選組・十番組組長
 島田 魁........諸士調役兼監察・伍長、蝦夷共和国・頭取
 市村鉄之助......新選組隊士
 榎本武揚........海軍中将、蝦夷共和国・総裁
 大鳥圭介........軍学者、蝦夷共和国・陸軍奉行
 伊庭八郎........遊撃隊第二番隊長、蝦夷共和国・歩兵頭並、遊撃隊隊長
 佐藤彦五郎......日野組合村寄場名主
 佐藤のぶ........彦五郎の妻、歳三の次姉
 近藤周助........天然理心流剣術3代目宗家、近藤勇の養父






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「新選組」の事情通になる!~人物、事件史、ウワサ話まで徹底取材~

2015年04月17日 | 新撰組関連
岳 真也

 2003年11月発行

 知っておきたい事件史や各隊士の素顔や、とっておきの秘話や紀行ガイドまでを網羅した、新選組のすべてが 手軽にわかるポケット読本。

第1章 ざっとおさらい幕末“新選組事件史”
     (出会い、そして萌芽のとき;幕末の剣術流派マップと天然理心流 ほか)

第2章 新選組隊士たちその活躍の日々と素顔
     (近藤勇―生家に賊が押し入ったとき;近藤勇―死の間際に蘇った幼少時の感動 ほか)

第3章 徹底取材!新選組“余多話”
     (道場荒らしに泣いた試衛館;今宵の虎徹はよく斬れるか ほか)

第4章 街でひろった新選組の話題
     (マンガのなかの「新選組」;新選組映画に日本人の“こころ”が写る ほか)



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新選組全隊士徹底ガイド

2015年04月17日 | 新撰組関連
前田政記

 2004年1月発行

 幕末維新期の京都に誕生した新選組の、創成メンバーから、平隊士のひとりひとりに至るまで、確認されている全隊士424人のプロフィール。

1 大幹部
2 京都守護職預り以前の粛清・脱退者
3 一番組~十番組組長
4 創成期メンバー・副長助勤
5 諸士取調役兼監察
6 勘定方・伍長
7 平隊士ほか




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新選組物語

2015年04月17日 | 新撰組関連
子母澤寛

 1932年発行

 「新選組三部作」の完結篇。

新選組物語
 隊士絶命記/人斬り鍬次郎/死損ねの左之助/隊中美男五 人衆/近藤勇の屍を掘る/壬生心中/かくし女郎/ 月下の死骸
新選組
 一 流るる水/ニ 黄昏れ近く/三 笑窪/四 吟声/五 墨染/六 敗れて/七  大阪/八 紀州沖/九  江戸の春/一〇 春雨/一一 黒い猫/一二 青年たち/一三 ただ一人/一四 またも敗れて/最後 最後 の陣容)
新選組聞書―稗 田利八翁思出話
流山の朝

 新選組銘々伝といった観のする「新選組物語」、鳥羽伏見の戦いから流山までの近藤勇の敗走を描いた「新選組」、新選組隊士・稗田利八への聞書き、近藤勇の最期を描いた「流山の朝」を収録。

 掲載は前後しますが、思えばここから始まった、我が新選組関係の読書。記念すべき作品です。

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新選組遺聞

2015年04月17日 | 新撰組関連
子母澤寛

 1929年発行

 「新選組三部作」の第二作。

象山の倅
原田左之助
芹沢鴨
篠崎慎八郎の死
沖田総司房良 
木曽路の春
壬生屋敷
池田屋斬込前後
伊東兄弟
近藤の最後
勇の屍を掘る

 永倉新八・八木為三郎・近藤勇五郎など、新選組ゆかりの古老たちの見聞や日記手記等で綴った、興趣尽きない、新選組逸聞集。

 掲載は前後しますが、思えばここから始まった、我が新選組関係の読書。記念すべき作品です。

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新選組始末記

2015年04月17日 | 新撰組関連
子母澤寛

 1928年発行
 

 「新選組三部作」の第一作。

近藤勇の道場
勇の家、歳三の家
清河八郎策動
八郎の腹の中
老中板倉周防守
木曾路を行く浪士隊
祐天仙之助
水府脱藩芹沢鴨
壬生の屯営
憤然袂をわかった勇の一味 ほか

 大正から昭和にかけて、元隊士始め壬生周辺の古老や子孫に取材を重ね、収集した史料や聞き書きをもとに書き上げたノン・フィクション。

 掲載は前後しますが、思えばここから始まった、我が新選組関係の読書。記念すべき一冊です。


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新撰組111の謎~Q&Aで知る幕末最強軍団の真実~

2015年03月12日 | 新撰組関連
楠木誠一郎

 2003年10月発行

 激動の幕末、傾きかけた幕府のために身を挺して闘い抜いた新選組。その浪士組結成から箱館戦争までの7年間を駆け抜けた幕末最強軍団の真実に迫る。新選組がこれ一冊で丸わかりのハウツー本。

1 浪士組結成-上洛した男たちの夢
2 新選組結成-壬生浪士からの脱
3 芹沢鴨一派粛清-血を血で洗う派閥抗争
4 池田屋事件-新選組最大の戦 闘
5 禁門の変-山南敬助脱走と伊藤甲子太郎入隊
6 龍馬暗殺と高台寺党-裏切りと暗殺の日々
7 戊辰戦争-「誠」に殉じた男たち
8 その後の新 選組-生き残った隊士たちの軌跡

 子母澤寛始め、多くの文献から真実を導きだそうとしており、かなり詳細なデータと言え、面白く読ませていただいた。が、若干、自分の知識と食い違いがあるので、こちらも調べようと思った次第。

※誤植があります。
 「2 新選組結成-壬生浪士からの脱の項 Q24いちばん剣の強い隊士は誰?」p63 8行目は永倉新八ではなく斎藤一です。
 「7 戊辰戦争-「誠」に殉じた男たちの項 Q97斬首された近藤勇の遺体はどうなった?」p98 5行目 田安家のルビがややすけになっています。たやすけが正しい。


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爆笑新撰組 (歴史ポケットシリーズ)

2014年10月18日 | 新撰組関連
シブサワ コウ

 1998年5月発行

 新選組のすべてがわかる。「爆笑新選組」の改題改訂。

第1章 8分でわかる!? 新撰組の歴史
第2章 新撰組のエライ人
第3章 鬼だ、鬼だと呼ばないで
第4章 血煙ばかりが人生さ
第5章 新撰組とはオレのこと!
第6章 ボクたちだって、壬生狼だっ!!
第7章 オレがそんなに悪いのか?
第8章 関係ないや、と言わないで

 新選組の結成から終焉までの足跡。近藤勇、土方歳三、沖田総司始め隊士たちが新撰組でどうあったかを紹介。また、同時代に生きた幕末の志士たちを紹介している。
 軽いタッチで簡潔な文章と、ユニークなイラストで、初心者にも分かり易い、新撰組入門書。







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図解雑学 沖田総司と新選組隊士(図解雑学シリーズ)

2014年10月17日 | 新撰組関連
河合敦

 2003年12月発行

 謎に包まれた沖田総司の生涯をさまざまな角度から検証。並びに新撰組幹部隊士の人物像。新撰組の足跡を残す京都・日野・会津・函館を図解で紹介。

第1章 新選組関連
第2章 沖田総司の生涯
第3章 新選組隊士列伝
第4章 新選組の史跡探訪 

 沖田の生涯と素顔。新撰組発足から衰退までの足跡。そこに関わった隊士たち。こちらもマニュアル本として一冊用意しながら、新撰組関連の書物を読む事をお勧めしたい。こちらも欲しかった一冊。
 
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図解雑学 土方歳三(図解雑学シリーズ)

2014年10月17日 | 新撰組関連
山村竜也

 2003年12月発行

 幕末の動乱期に最強の剣客集団を育てあげ、幕府の節義に殉じた土方歳三の生誕から蝦夷地に散るまでの波瀾万丈の生涯を図解。

第1章 武州石田村
第2章 壬生浪士
第3章 新選組副長
第4章 局中法度
第5章 戊辰戦争
第6章 会津落陽
第7章 箱館五稜郭

 土方の生い立ちや人柄、交流なども図にまとめられており、また、地図によって進軍経路なども示され、小説等で文字だけでは分かり辛い部分をカバーしている。
 マニュアル本としてこれを一冊用意しながら、新撰組関連の書物を読む事をお勧めしたい。欲しかった一冊。


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新選組出陣

2014年05月15日 | 新撰組関連
天堂晋助、響由布子、飯島一次、嵯峨野晶、岳真也、塚本青史、鈴木英治、大久保智弘、秋山香乃


 2014年2月発行

 歴史時代作家クラブに所属する作家が描いた、新選組誕生151年目に明かされる、隊士たちの宿命の刻。
 加えて鳥羽亮、秋山香乃の特別企画座談会。

天堂晋助 花は桜木山ーー南敬助
響由布子 終わりの始まりーー河合耆三郎
飯島一次 京の茶漬ーー山崎烝
嵯峨野晶 誠の桜ーー市村鉄之助
岳真也 龍虎邂逅ー ー近藤勇
塚本青史 最後に明かされた謎ーー土方歳三
鈴木英治 時読みの女ーー永倉新八
大久保智弘天孤の剣ーー沖田総司
秋山香乃 誠の旗の下でーー藤 堂平助 計9編のアンソロジー
特別企画「新撰組誕生と清河八郎」展を観に行く 座談会 鳥羽亮×秋山香乃

 それぞれの作家による、斬新な切り口で、隊士の素顔に迫ったフィクション・エピソード集である。新撰組を知っている人に取っては、彼らの終焉を踏まえ、生き様にほっと胸を撫で下ろし、知らない人には、今後の人生が気掛かりとなる、魅力的な話が凝縮されている。
 数多描かれてきている新撰組であるが、実際のエピソードや生涯を綴るのではなく、作家独自の手腕で人間性に迫った作品。


お詫び
 現在、粗筋や登場人物を子細にご紹介することが適いません。時間が出来ましたら改めて追記させていただきたいと存じます。まずは、ご紹介まで。




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散華 土方歳三

2014年01月12日 | 新撰組関連
萩尾農

 1989年5月発行(2005年5月に五稜郭タワー版として復刊)

 芹沢鴨暗殺から函館での死までの土方歳三を、回想を絡めながら追っている。

第一章 雨音
第二章 恋
第三章 崩壊の時
第四章 別離
第五章 宇都宮
第六章 壬生城攻略
第七章 会津
第八章 弧城落日
第九章 蝦夷
第十章 戦いの波
終章 戦士逝く 長編

 芹沢鴨暗殺の夜。新撰組の結束を深める為に厳粛しなくてはならなかった山南敬助の切腹。そして、敗戦に次ぐ敗戦を重ね、鳥羽伏見から甲州、宇都宮、会津へと転戦。
 最期の地、函館での戦いを追いながら、土方歳三の人間らしさを浮かび上がらせる幼年期のエピソードや、恋、友への思いなどを描いている。

 ひと言で言うなら、「土方大好き」の著者渾身のラブレター。土方への愛情と思いを「これでもか」と綴っていったと言っても過言ではないだろう。
 それはさて置き、女性が書いた土方の小説は、このような見方が多いのも事実。そもそもフィクションなのだから、著者の思いが込められているのも当然である。
 フィクション部分の土方の幼年期や、のぶへのシスターコンプレックス(マザコン)などは、面白く興味深かった。
 私が気になったのは、史実との違いであり、会津で別れた筈の斎藤一や、会津には間に合わなかった相馬主計などが、常に傍にいたりなど、女性が苦手とする戦歴に入ると、頭を傾げたシーンが多く見受けられた。
 「土方歳三に恋して」いないと辛い。
 また、物語の進め方が、現在進行形、過去の回想を入り混じらせているが、この書き方は、そうとうに文章力を要し、難しいと思う。

主要登場人物
 土方歳三...新撰組副長→蝦夷共和国陸軍奉行並
 近藤勇...新撰組局長
 沖田総司...新撰組一番隊組長
 斎藤一...新撰組三番隊組長→会津新撰組隊長
 島田魁...新撰組二番隊伍長→守衛新選組隊→箱館新選組頭取改役
 佐藤彦五郎...日野組合村寄場名主(新選組の後援者)、歳三の義兄で従兄弟
 のぶ...歳三の姉で彦五郎の妻
 相馬主計...新撰組隊士→局長付組頭→箱館新選組隊長
 榎本武揚...徳川幕府海軍副総裁→蝦夷共和国総裁
 大鳥圭介...徳川幕府富士見御宝蔵番格→蝦夷共和国陸軍奉行
 さち...歳三の恋人



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