うてん通の可笑白草紙

江戸時代。日本語にはこんな素敵な表現が合った。知らなかった言葉や切ない思いが満載の時代小説です。

恋かたみ~狸穴あいあい坂~

2012年08月22日 | 諸田玲子
 2011年7月発行

 火盗改方と町方の捜査を背景に、火盗改方与力の娘と、町奉行所同心の家格違いの恋物語を描いた「狸穴あいあい坂」の続編。

春の雪
鬼の宿
駆け落ち
星の坂
恋の形見
お婆さまの猫
雪見船
盗難騒ぎ 計8編の短編集

春の雪
 ゆすら庵から出て来たひとりの女が掛った結寿。女は、旗本家の女中だったが、ふいに暇を出されたと聞く。その旗本家は、近頃小火騒ぎ起きたばかりだった。

鬼の宿
 ゆすら庵が口入し中間を仲介した大店が立て続けに強盗に襲われ、その中間は姿を消していた。そんな折り、女隠棲の屋敷で火事があり、身元不明の男の死体が見付かった。果たして件の中間であろうか…。

駆け落ち
 縁談話が進み、いっそ道三郎と駆け落ちをと望む結寿。そんな中、祖父の幸左衛門が、仇討ち相手と間違えられる。その相手とは、母親と駆け落ちをした女敵だった。

星の坂
 道三郎へ最期の別れに訪った結寿は、道三郎の組屋敷で見知らぬ女の接待を受け、心穏やかでない。一方、道三郎が張り込みをする事件に巻き込まれ…。

恋の形見
 婚礼が迫り、結寿は麻布竜土町の実家に戻されていた。婚家に亡き実母の形見を持って行きたいと願うが、屋敷に母の形見は見当たらず、探している内に父の不信な行動が…。

お婆さまの猫
 御先手組与力の小山田万之助に嫁いだ結寿。ある日、離れで暮らす祖母の愛猫が行方知れずとなってしまい、惚けの始まった祖母からは結寿が犯人扱いされる。

雪見船
 万之助の上役の奥方から、雪見の誘われた結寿。だが、それは口実で、奥方には秘密があった。折り悪く奥方の夫が務め中に倒れ、奥方に急を知らせなければならなくなる。

盗難騒ぎ
 旗本家で刀や先祖代々の名品が盗まれる事件が続いた。一方小山田家では、万之助の弟新之助が、遊ぶ金欲しさに刀を金子に変え父親の逆鱗に触れていた。

 物語の背景は一話度に変わるが、結寿と道三郎の恋は常に進展していく。
 どんな結末になるのか? こういった場合は、あやふやなままに時を止めて、シリーズ化されていくのだろうと思っていたが、意に反しそれぞれの運命に静かに従うといった結末だった。
 火盗改方と、町方同心といった設定ながら、事件におどろおどろしさや、悲壮さはなく、文章自体も淡々としているので、読み易い。
 また、結寿と道三郎の思いも、双方武家らしく凛とした態度で現されているのが、爽快感を覚える。
 嫁(絹代)と反りが合わずに隠居所を設けた幸左衛門と、やはり絹代(継母)が息苦しくそんな祖父の元へ身を寄せた結寿といった設定が面白い。

主要登場人物
 溝口結寿...幸一郎の娘
 溝口幸左衛門...結寿の祖父、隠居
 溝口幸一郎...結寿の父親、火盗改方与力・御先手組与力
 絹代...結寿の継母
 お浜...絹代付き女中
 妻木道三郎...北町奉行所隠密廻り同心
 彦太郎...道三郎の嫡男
 百介...幸左衛門の小者
 傳蔵...狸穴町口入屋ゆすら庵の主
 小源太...傳蔵の次男
 弓削田宗仙...俳諧師・絵師
 小山田万之助...結寿の許嫁、御先手組与力


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明日のことは知らず~髪結い伊三次捕物余話~

2012年08月11日 | 宇江佐真理
 2012年8月発行

 シリーズ第11弾は、捕物劇よりも、人情味を搦め、中年となった伊三次のしっとりとした大人の味を描く。

あやめ供養
赤い花
赤のまんまに魚そえて
明日のことは知らず
やぶ柑子
ヘイサラバサラ 計6編の短編集

あやめ供養
 八丁堀の町医者松浦桂庵の母がみまかった。だが、死後遺品が失せている事に疑念を抱いた桂庵は、伊三次に探索を依頼するが、疑いはなんと、嫌疑は直次郎にあった。
 物語の本筋よりも、直次郎が登場した事に胸が震える思いだった。直次郎を信じたいが信じ切れない伊三次の葛藤。
 ただ、直次郎もすっかり落ち着いて父親になっていた。若かりし頃の奔放さもなく、これからシリーズが続こうが、登場シーンはないだろうと思わせる。
 
赤い花
 弟子の九兵衛に、嫁入りの話が持ち上がった。相手は、九兵衛の父親である岩次が奉公する魚佐の末娘おてん。どうやら、おてんの懸想らしいが、相談を持ち掛けられた伊三次は、九兵衛におてんをどう思っているか真意を問い質す役目を引き受けるのだった。
 梅床と伊三次の確執。そして九兵衛の恋愛模様。あの小さかった九兵衛が…と思うと物語りながら月日の流れを実感する。
 この実感が臨場感に違いなく、はかのどの物語にも感じた事はない。
 
赤のまんまに魚そえて
 菓子屋金沢屋の庄助の髪結いを頼まれた伊三次。そこで、庄助の芳しくない過去に行き当たる。調べれば調べるほど庄助は匂う。だが、尻尾を出さない庄助に伊三次は遣る瀬ない思いを募らせる。
 これは良い。伊三次シリーズ中、かなり胸が震えた話である。しかも、本筋に集中せず、九兵衛の話も交え、それを巧みに交差させ、日常の臨場感をあおらせる。
 切ない恋心の話であるが、結末が悲壮に終わらずにほっとした。

明日のことは知らず
 伊与太は、2階屋の物干に佇む、佃煮屋の若内儀を仕舞屋の影から写生しているが、その物悲しそうな表情が気になっていた。その若内儀が、物干から誤って転落したと耳にする。
 一方の茜は、仕える大名家の跡目相続にまつわる御家騒動の渦中にあった。
 これは、家を離れている伊与太と茜を無理矢理ぶち込んだのだろうか? 双方結末が描かれておらず、茜の方は続編が出来そうだが、佃煮屋の若内儀に関しては闇に葬られるのだろうか? そう感じたが、よくよく考えると、「髪結い伊三次捕物余話」なのである。捕物が主ではないのだ。改めてそう考えると、ここで伊与太が抱いた思いや葛藤が、この物語には相応しい。
 似通った事件が「赤のまんまに魚そえて」となっている。明暗分かれた結末。

やぶ柑子
 海野隼之助は、藩が御取り潰しになり早3年。父の遺言状ともなった仕官への助成を願う文を携え、毎度の門前払いに懲りず、幾度も元藩士の元を訪うのだった。
 偶然にも知合った隼之助の為に、伊三次とお文は一肌脱ごうとするが…。
 捕り物でもなく、事件でもないが、人の無情さを描きながらも、爽やかな後味の良い話である。
 情けは人の為ならずは、通用しないと現代にも通じる話である。

ヘイサラバサラ
 変わり者の元町医者が死に、奇妙な遺品が何かを突き止めて欲しいと、家主の扇屋八兵衛の依頼を受けた伊三次。里帰りしていた伊与太と共に、探索に走るのだった。
 シリーズの中では一風変わった作品に仕上がっており、伊三次親子の絆と子たちの成長が、本筋の裏で静かに描かれる。

 実はこのところ、不破龍之進絡みや、伊与太、茜の成長振りが描かれる事が多く、伊三次はすっかり脇に追いやられた感が否めず、本作品も読もうか否か迷ったのだが、結果、「読んで良かった」。
 何故か満足感ではなく達成感にも似た、喜ばしさである。
 大人になった子どもたちも良いのだが、やはり宇江佐さんデビュー作であり、最初に生み出した伊三次の魅力には変え難い物がある。今回は、表題の「明日のことは知らず」以外は伊三次が出ずっぱりであり、そして彼の抱く思いにいちいち「うんうん」頷けるのだ。
 派手な捕物はないが、静かにしっとりとした伊三次に「参った」。
 そして、今回の目玉は、何と言っても直次郎だろう。もはや登場する事はないだろうと、諦めていた直次郎だっただけに、これまた旧知の知り合いにでもふいに出会した気分であった。
 伊三次と直次郎の掛け合いは楽しみである。
 更に、こちらも驚いたのだが、ずっと脇役であろうと思われた伊三次の弟子の九兵衛が、俄にクローズアップされ、そしてまた、こちらも魅力的なキャラになっていった。
 松助、おふさ、佐登里義親子のほのぼのとしたシーンも捨て難い。
 一方で、お文は完全に伊三次の女房、不破友之進も龍之進の父親といった位置付けに甘んじるが、これだけ魅力的なキャラが多く登場する物語においては仕方ないだろう。
 宇江佐さんの書籍を読み尽くし、ほかの作家の作品にも涙したり、胸を詰まらせたりしているが、やはり宇江佐さんでなければ味わい切れない物がある。
 「明日にでも、次回作を読みたい」。そんな思いである。
 余談ではあるが、宇江佐さんの作品であれば、登場人物が幾ら多くても、すっと頭に入ってくるのは、設定と最初のキャラ説明に巧さだろう。

主要登場人物
 伊三次...廻り髪結い、不破友之進の小者
 お文(文吉)...伊三次の妻、日本橋前田の芸妓
 伊与太...伊三次の息子、芝愛宕下の歌川豊光の門人
 お吉...伊三次の娘
 九兵衛...伊三次の弟子、九兵衛店の岩次の息子
 岩次...新場魚問屋魚佐の奉公人
 お梶...九兵衛の母親 
 お園...髪結床梅床十兵衛の女房、伊三次の姉
 不破友之進...北町奉行所臨時廻り同心
 いなみ...友之進の妻
 不破龍之進...友之進の嫡男、北町奉行所定廻り同心
 茜(刑部)...友之進の長女、下谷新寺町蝦夷松前藩江戸屋敷の奥女中
 きい...龍之進の妻
 笹岡小平太...北町奉行所同心、元北町奉行所物書同心清十郎の養子、きいの実弟
 松助...本八丁堀の岡っ引き(元不破家の中間)
 おふさ...伊三次家の女中、松助の妻
 佐登里...松助とおふさの養子
 三保蔵...不破家下男
 おたつ...不破家女中
 橋口譲之進...北町奉行所年番方同心
 
 古川喜六...北北町奉行所吟味方同心
 直次郎(時助)...深川入舟町小間物屋・花屋播磨屋の主、(元掏摸)
 おてん...新場魚問屋魚佐の末娘
 利助...京橋炭町梅床の髪結い
 松浦桂庵...八丁堀町医者
 松浦美佐...桂庵の母親
 おたに...松浦家の下女
 浜次...新場魚問屋魚佐の奉公人、九兵衛の幼馴染み
 伝次郎...新場魚問屋魚佐の奉公人、九兵衛の幼馴染み
 庄助...八丁堀北紺屋町菓子屋金沢屋の若旦那
 おあさ...金沢屋の女中
 庄左衛門...金沢屋の主、庄助の父親
 福次...歌川豊光の門人、伊与太の兄弟子
 美濃吉...歌川豊光の門人、伊与太の兄弟子
 栄吉...浜松町佃煮屋野崎屋の若旦那
 おけい...栄吉の妻
 お楽...芝神明社参道若松屋の矢場女
 松前良昌...蝦夷松前藩藩主道昌の嫡男
 金之丞...松前藩江戸屋敷の奥女中、茜の朋輩
 馬之介...松前藩江戸屋敷の奥女中、茜の朋輩
 お愛の方...前藩藩主道昌の側室
 藤崎...松前藩江戸屋敷の老女
 海野隼之助...元紀州吉川藩吉川家勘定方見習い
 久慈七右衛門...肥後熊本藩細川家家臣、元吉川家家臣
 ふじ...隼之助の妻
 八兵衛...日本橋左内町箸屋翁屋の主


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花ふぶき~時代小説傑作選~

2012年08月05日 | ほか作家、アンソロジーなど
乙川優三郎、諸田玲子、佐伯泰英、高橋義夫、杉本章子、鈴木英治、今井絵美子、山本一力

 2004年7月発行

 結城信孝監修による、8作の傑作時代小説アンソロジー集。

磯波 乙川優三郎
お蝶 諸田玲子
寒紅おゆう 佐伯泰英
ははのてがみ 高橋義夫
かくし子 杉本章子
廉之助の鯉 鈴木英治
今朝の月 今井絵美子
代替わり 山本一力

磯波 乙川優三郎
 互いに思いを寄せ合っている志水直之進を父が後継者に決めた。それは即ち奈津の夫になる筈であった。だが妹の五月から、直之進の子を宿していると打ち明けられたのだった。
 姉妹の恋の葛藤と、幾年重ねても止む事のない尽きせぬ思いを描いている。
 姉妹であるが故に切れない関係。そして忘れ得ぬ直之進の面影。奈津の切なさが募る。だが、最終的には変わりようのない過去ではなく、先に開ける未来へと目を向ける奈津の逞しさが胸を打つ。

主要登場人物
 奈津...船尾村女塾師匠、神道流道場主川村清兵衛兵の長女
 五月...奈津の妹
 志水直之進...五月の入り婿、神道流道場主

お蝶 諸田玲子
 次郎長の妻お蝶には、忘れられない初めての男がいた。その相手の勝蔵が、池田数馬と名を変え、清水湊を進軍すると言う。次郎長に顧みられなくなったお蝶は、その懐かしい男との思い出を振り返る。
 陰惨な結末ではあるが、確か2代目お蝶の最期はこんな風であったと記憶の片隅が呼び覚まされた(脚色はあり)。
 一番驚いたのが、女性がこれ程までに生々しい性描写。そして主役でありながら、あばずれの描かれながらも、恋した男には一途な哀れさを感じた。

主要登場人物
 お蝶...次郎長の2番目の女房、甲州竹居一家の親分中村安吾郎の娘
 勝蔵(池田数馬)...官軍隊士、元甲州黒駒一家の親分
 次郎長(山本長五郎)...駿河清水湊清水一家の親分
 亀太郎...次郎長の手下

寒紅おゆう 佐伯泰英
 金町村の百姓の娘おゆうは、庄屋の放蕩息子伊三郎の執拗な誘いから逃れるため、単身江戸に逃げ、紅職人として身を立てようと修行に励んでいた。毎日の楽しみは、村で言い交わした光造が、小名木川に野菜を売りに来る姿を万年橋に立ち、互いに見極める事だった。
 やはり。後少しで何もかも巧くいくところだったのに。一般的な悲恋の結末であるが、おゆうが最後に見た色が探し求めていた紅の色だったという洒落た括り方で締めている。

主要登場人物
 おゆう...延五郎の弟子
 光造...金町村の百姓
 紅屋延五郎...清住町紅師の親方
 佐平...日本橋小間物屋三条屋の番頭
 伊三郎(太郎左衛門)...金町村庄屋の三男

ははのてがみ 高橋義夫
 父を殺した相手に仇討ちを果たした五郎左衛門だったが、百姓の仇討ちは御法度。島送りとなった。そこに年に1度の流人船に託された母からの手紙が届く。
 主人公の五郎左衛門同様、島暮らしも悪くないのではないかと思えるくらいに、刑罰に陰惨な部分はない。
 この作品のテーマは母の深い愛情である。そして、白髪頭になってから赦免されて、それが真実待ち望む事かといった主人公の胸中である。ラストは主人公の戸惑い思いが手に取るように分かり、最期の2行の締めに、放心の情景さえもが浮かび上がる。

主要登場人物
 五郎左衛門...八丈島流人、豆州君沢郡故坂村庄屋の三男
 弥作(天順)...八丈島観音堂の堂守(流人)、甲州の禅僧
 定吉坊主...八丈島流人、千住の無宿人

かくし子 杉本章子
 おぬいの元に、死んだ亭主宇之助の忘れ形見だという子を連れて訪ったさよという女。孝吉を引き取るか、証拠の書付を500両で買い取って欲しいと告げる。
 新手の強請ではないかと、信太郎は真偽を確かめる為、奔走する。
 「信太郎人情始末帖」の第1作に収録された作品と知り、納得出来た。短髪にしては信太郎の立ち位置が分かりずらかった。信太郎が主役の謎解き物である。

主要登場人物
 信太郎...本町呉服太物店美濃屋卯兵衛の総領息子(勘当中)、久右衛門の手伝い
 千歳屋ぬい...吉原仲之町引手茶屋の内儀(後家)
 千代太...ぬいの息子 
 さよ...両国広小路水茶屋井筒の茶汲娘
 孝吉...さよの息子
 久右衛門...猿若町川原崎座の大札、ぬいの叔父

廉之助の鯉 鈴木英治
 唐突に同僚の笹山軍左衛門に、刃を向けた森島新兵衛。「なぜだ」。理由も分からず、また日頃の新兵衛からは到底想像できない事柄に、戸惑う軍左衛門。だが、2名の戦いは続く。
 いきなりの斬り合いシーンからで、まずは内容が掴めず、どちらかと言えば森島新兵衛が悪役であった。だが、ここからが作者の見せ所である。
 この斬り合いには無関係と思われる新兵衛と廉之助の触れ合いを挟み、また場面は斬り合いに。そしてまた廉之助との出来事に。
 これを繰り返すうちに新兵衛の行動の謎が明かされる。ラスト4行、新兵衛と源次との会話に、新兵衛の人柄が現れ目頭が熱くなった。
 この作品も短編で成り立つが、「新兵衛捕物御用シリーズ」を読んでみれば、もっと深く森島新兵衛を知る事が出来ると思わされた。

主要登場人物
 森島新兵衛...駿州沼里藩の同心
 笹山軍左衛門...駿州沼里藩の同心
 木崎右京亮...駿州沼里藩の同心
 源次...新兵衛の中間
 廉之助...沼里宿西の添田町の町人の子

今朝の月 今井絵美子
 政道を正そうとした兄直輔を切腹と偽って殺された土屋直次郎は、その敵である鷲尾助左右衛門を打ち倒し、出奔した。
 5年もの間、江戸、京と探し歩いたが、故郷近くに潜んでいると知り、討っ手の鷲尾朔之進、保科惣吾は隠れ家へ向かうが、直次郎の傍らには惣吾の姉の里瀬が寄り添っているのだ。
 難しい。登場する名前ばかりが多く、かつ身分や所在などの説明も足りない。
 結局のところ藩のごたごたの末の良くある話に、姉弟が仇として相対するといっただけの話。正直粗筋を頭に叩き込むのも難義した。
 当方、この物語を性格に読み砕けていない為、登場人物の設定に見落としがあるかも知れません。

主要登場人物
 保科惣吾...某藩藩士
 鷲尾朔之進...某藩藩士
 利助...鷲尾家の若党
 土屋直次郎...某藩脱藩浪人
 保科里瀬...惣吾の姉

代替わり 山本一力
 荻野屋の仕事で、大きなしくじりを犯した左官職人の順吉は、身投げして償おうとしていたところを、老人に押し止められた。その老人は、死神と呼ばれている大和町の金貸しだった。
 そこで順吉は、思いも寄らぬ荻野屋忠兵衛の絡繰りを知る。
 清之助との出会いだけで荻野屋忠兵衛の絡繰りを知るというのも…。また、性描写が如何して必要だったのだろうか。おすみ(金を借りに来た女)の話もややこしい。
 「死神」の謂れも、タイトルの「代替わり」の意味も、特に六章の流れが当方の頭では理解出来ず、難解な作品だった。どなたか噛み砕いてご教授願いたい。

主要登場人物
 清之助...深川大和町の家主兼金貸し
 おゆき...清之助の下女兼取立屋
 順吉...猿江町塗り長の左官職人
 荻野屋忠兵衛...仲町太物屋の主

 単に個人的な指向の問題だが、男性作家や女性でも男性的切り口を得意とする作家よりも、当方は情景描写の美しい女流作家の作品が好みである。季節や景色の美しさを奇麗な表現で現した下町物、そしてほろ苦く、胸を打つ作品が好きである。



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浮き世草紙~女流時代小説傑作選~

2012年08月05日 | ほか作家、アンソロジーなど
宮部みゆき、宇江佐真理、諸田玲子、澤田ふじ子、島村洋子、見延典子、皆川博子、北原亞以子

 2002年10月発行

 結城信孝監修による、女流作家8名の傑作時代小説アンソロジー集。

女の首 宮部みゆき
あさきゆめみし 宇江佐真理
雲助の恋 諸田玲子
縞揃女油地獄 澤田ふじ子
八百屋お七異聞 島村洋子
竈さらえ 見延典子
吉様いのち 皆川博子
憚りながら日本一 北原亞以子  

女の首 宮部みゆき
 母が亡くなり十歳で葵屋の丁稚となった太郎は、ある日、納戸部屋の唐紙に女の生首を見てしまった。と、同時に幼い頃勾引しあった葵屋の実子に間違いないと葵屋夫妻が言い出して…。

主要登場人物
 太郎...本所一ツ目橋袋物屋葵屋の丁稚
 浅一郎...葵屋の主
 お由宇...浅一郎の妻
 おあき...葵屋の女中
 
あさきゆめみし 宇江佐真理
 女浄瑠璃の竹本京駒を贔屓にし、日がな両国広小路の金比羅亭に通う、紫屋つばめ屋の嫡男正太郎は、呉服屋伊勢屋の直助が苦手であった。
 それが、直助が正太郎の思いを知りつつも、京駒と深間になったと知って…。
 今風の追っ掛けの話なのだが、やはりそれだけでは終わらないのが宇江佐さん。安助の息子安吉が紫瓶に落ちたシーンからは、正太郎の台詞に泣かされます。

主要登場人物
 正太郎...紫屋つばめ屋の嫡男
 お藤...正太郎の姉
 安助...紫屋つばめ屋の番頭
 直助...呉服屋伊勢屋の嫡男
 仙吉...瀬戸物屋まつ田の息子
 重蔵...紺屋田村の息子
 竹本京駒...女浄瑠璃師

雲助の恋 諸田玲子
 女郎のお栄に恋心を募らせるが故、金で買う事が出来ない常吉。ある日、常吉の駕篭に乗った侍が、待ち伏せした侍に討たれる事件が起きた。敵討ちを名乗った侍の行く先はお栄の縄張りのかなや宿である。
 「雲助の恋」と単刀直入の飾り気のないタイトルだが、野蛮な雲助のピュアな恋を実に明確に現している。悲しい結末と、常吉の思いが胸に響く。

主要登場人物
 常吉...東海道の雲助 
 お栄...かなや宿の招女(おじゃれ=女郎)
 
縞揃女油地獄 澤田ふじ子
 陰陽頭の触頭である笠松は、市村屋にて内儀お芳の淫蕩の相に、不吉な陰を感じる。そのとおり、お芳は亭主の吉兵衛が温厚なのを良い事に、橋立屋卯之助を間夫に持ち、更には淫売屋で春をひさいでいたのだ。
 市村屋吉兵衛、お芳、橋立屋卯之助の件はそれとなく分かるが、ほぼ同じくらいの割合で描かれる笠松平九郎の件がもうひとつ理解出来なかった。
 主役が笠松平九郎ならば、市村屋との関わりが淡白過ぎるし、市村屋を描くなら平九郎のバックグラウンドは必要ないように思え、読み下すのに時が掛った。
 
主要登場人物
 笠松平九郎...陰陽頭土御門泰栄の京都触頭
 寛助...平九郎の小者
 市村屋吉兵衛...鍛冶屋町油問屋の主
 お芳...吉兵衛の女房
 橋立屋卯之助...出水大宮紐屋の次男、お芳の間夫

八百屋お七異聞 島村洋子
 暮らしに不自由はないが、顔に大きな痣を持つおきよは、幼馴染みの吉三が届けてくれる黄表紙を楽しみにしていた。
 そんな吉三が和尚の共で近江の本山に出掛けると言う。更に、善右衛門がおきよの両親の過去やおきよの痣の要因と思われる経緯、果ては吉三は近江から戻らぬかも知れない。それを阻止するには…入れ知恵をするのだった。
 見事に「八百屋お七」に乗せ、14歳のおきよの幼い恋心と判断を描いた珠玉作。素晴らしいのひと言に尽きる。
 
主要登場人物
 おきよ...呉服問屋通い番頭徳三郎の娘
 吉三...白山下円乗寺の小姓
 善右衛門...白山下円乗寺の小姓 
 
竈さらえ 見延典子
 子猫を追って入り込んだ裏長屋でおりんは、余りにも己の暮らしと違った貧しさを垣間みる。
 数日の後、竈さらえ(他国からの内所竈=無宿人の一斉摘発)があると耳にし、慌てて安吉の長屋に走るが…。
 裕福な商家の娘のおりんと、筆舌し難い安吉親子の苦渋を対比させ、安吉親子の結末を、筆を緩める事なくこれでもかと描いている。

主要登場人物
 おりん...吉左衛門の娘
 松藤屋吉左衛門...安芸国城下呉服屋松藤屋の主
 お政...吉左衛門の女房
 安吉...茂七の息子
 茂七...日雇い、元瀬戸内海の小島の半農半漁民
 おさわ...茂七の女房

吉様いのち 皆川博子
 藤松は、川縁で小さな一艘の屋形船を拾い上げた。その障子を開けると、相対死の男女を象った精密な人形があり、何もかもが本物そっくりに造られていた。しかもべっとりと付いた血までもが本物だった。
 物語は盃を傾けながら、藤松が芳雪に面白おかしく聞かせる風体だが、人形と船を探ると意外な事が分かってくる。そして、ラストは、図らずも人形と同じシチュエーションの舞台上。練られた落ちで幕が下りる。
 これにて一幕の終わりではあるが、人形の謎解きがされていないのが、些か消化出来ない。
 
主要登場人物
 藤松...掛小屋芝居の女形
 歌川芳雪...玩具絵・看板絵描き、元歌川派
 水木吉弥...掛小屋芝居の座頭

憚りながら日本一 北原亞以子
 みずからの号を反物に染め、馬子唄に折り込ませようと、東海道の馬子集めに奔走。あの手この手で名を広めようと、大粋人を気取る和泉屋甚助が、辿り着いた先は…。
 一方で、甥の為に甚助に借財をした加賀屋寿之助の苦しい屋台骨が、同時に進行する。
 北原亞以子さんらしからぬ文体と感じたが、締め括りはやはり北原さんだった。見事な人間模様が描かれている。
 
主要登場人物
 和泉屋甚助...京橋三十間掘り材木問屋の主
 潮田大三郎...二百俵取り旗本
 加賀屋寿之助...木綿問屋の主





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旅立ちの鐘~日本橋物語5~ 

2012年08月03日 | 森真沙子
 2009年7月発行

 江戸一番の商人の町、日本橋で細腕一本で生きる美人女将お瑛を取り巻く、男と女の愛情劇を描いたシリーズ第5弾。



第一話 四つ刻(午前十時)の鐘
第二話 五つ刻(午後八時)の鐘
第三話 九つ刻(午前零時)の鐘
第四話 八つ刻(午前二時)の鐘
第五話 暮れ六つ(午後六時)の鐘
第六話 七つ刻(午後四時)の鐘 計6編の短編集

主要登場人物(レギュラー)
 蜻蛉屋(とんぼ屋)お瑛...日本橋室町反物・陶磁器の商い
 お豊...お瑛の義母
 市兵衛...蜻蛉屋の番頭
 文七...蜻蛉屋の使い走り
 お民...蜻蛉屋の女中
 お初...蜻蛉屋の賄い、お瑛の婆や
 若松屋誠蔵...日本橋室町紙問屋の主、お瑛の幼馴染み
 岩蔵(とかげの親分)...岡っ引き

第一話 四つ刻(午前十時)の鐘
 浅草三の酉の夜、番頭の市兵衛が、身重の娘を川の中から救い上げ、蜻蛉屋に連れ帰って来た。娘ははなぜ身投げしようとしたのか…。
 話の上でしか登場しない千吉ではあるが、その存在感は大きく、彼に同情を隠せない。切ない結末である。

主要登場人物
 お郁...千住本宿太物問屋近江屋の娘
 千吉...遊び人  香具師
 笹屋熊五郎...浅草釣堀屋の主
 彦市...龍閑寺に住まう按摩


第二話 五つ刻(午後八時)の鐘
 子猫を拾ったお瑛だったが、野良猫の始末に難義する婆やのお初に飼うのを渋られ、捨て猫の面倒を見ていると言う、蔵前の釣り具店へ預けに向かった先で、若い侍に見咎められる。
 陥れられた若侍の話だが、この若侍こと片桐清三郎の頭の回転の良さと機転に、感服。胸の透く話に終わっている。

主要登場人物
 片桐清三郎...某藩江戸屋敷詰め藩士
 笹川陶太郎...某藩江戸屋敷詰め藩士、清三郎の上役


第三話 九つ刻(午前零時)の鐘
 梵天堂に、3年前に瑞縁寺に売った鐘が、僧2人の命を奪った「呪いの鐘」との曰く付きで返されてきた。年代物ではあるが、銘が読み取れず縁起来歴も分からない。僅かな手掛かりを元に、お瑛は古地図を手に入れ、件の鐘の出所を探る。
 謎解きは怪談ではなく、人的企てとして解決されるが、何かにつけお瑛が頼りにする、幼馴染みの若松屋誠蔵がここでもひと肌脱ぐ。だが2人の間に色っぽい気配はなく、この2人の関係は如何なるものか。シリーズのどこかで触れているのだろうかと気になった。
 また、空念の動きは見事であるが、空念があれだけ調べたのなら、梵天堂佐九郎、お瑛は無駄骨なのではないだろうか。

主要登場人物
 梵天堂佐九郎...神田連雀町の道具屋の主
 お美和...佐九郎の女房
 空念...行脚の修行僧
 西郡辰之進...近江藩士

 
第四話 八つ刻(午前二時)の鐘
 紀州屋の次男慎次が、押し込み人殺しのかどで、火付け盗賊改めにお縄になった。だが、慎次はどんな拷問にも無実を訴え続ける。そのありばいの証言をも否定する慎次。お瑛は、紀州屋の闇を知る。
 このシリーズは語られるだけで登場しないのだが、その人物の男気に圧倒される。この章も慎次の男気と、女の小狡さがメインである。

主要登場人物
 紀州屋又兵衛...新材木町薪炭問屋の主
 慎次...又兵衛の次男
 松江...又兵衛の後妻
 お絹...又兵衛の娘、慎次の義妹
 彦市...龍閑寺に住まう按摩


第五話 暮れ六つ(午後六時)の鐘
 若くして身投げした扇屋お紋の遺骸が打ち上げられた場に、父親が地蔵を建立したと知ったお瑛は、線香を手向ける為に、遠いかの地へ向かうのだった。
 そこで、思いも掛けず、かの地にまつわる鐘の由来を聞く事になる。
 この話は他と一線を画している。登場人物は、お瑛と名もない釣り人の男性のみ。そして話は過去の遡り、その話の終末に泡のように儚い男性像。
 珍しいファンタジーであった。

主要登場人物
 釣り人...店の主風
 室町時代の人物
 丹治未堂...鎌倉の鋳物師
 丹治秀直...鎌倉の鋳物師、未堂の甥
 柏...未堂の娘
 
第六話 七つ刻(午後四時)の鐘
 按摩を生業にする座頭の彦市は、客であるお倫を憎からず思い、その使い走りも厭わなかった。だが、ある日の頼みは尋常ではなく、直感で命の危機を感じ、辛くも蜻蛉屋へ駆け込むのだった。
 こういった話は真底堪える。善良な者を巻き込み己の私欲を満たす人物。多かれ少なかれそういった人は何時の時代もいるが、保身の為、何ら関わりのない人物を巻き込む者の人としての情に訴える作品。
 ラスト2行は深い。

主要登場人物
 彦市...龍閑寺に住まう按摩
 お倫...材木問屋栃木屋の妾
 天戒...荒布町法輪寺の僧
 お種...龍閑町総葉屋の娘
 貞吉...お倫の下男
 蜥蜴の親分...岡っ引き
 
 お瑛さんの回りは問題だらけ。本人は決してトラブルメーカーではないのだが、否応無しにトラブルに巻き込まれてしまう。
 同時に何て顔の広い人なのだ。日本橋周辺は知り合いばかり。
 この作品にて彦市がクローズアップされた。その後も彦市は登場するかと思われたが、後続のシリーズ7、8しか読んではいないが、もはやこの作品が彼の終焉だろうと思われる。
 騙されても陥れられても、好いた女を思う彦市の心が切ない作品だった。
 この作家さん。作品に波もあり、女性にしては情景描写は下手であるが、人が心に隠し持ち、決して他人には知られたくない部分をずばりと指摘している。
 3冊読んで、改めてこれまでと違った視点で、共鳴出来る作家だと感じた。
 結末が、可哀想でお涙ちょうだいなら、読者も寸の間感動するだろう。だが、前にも書いたが、どの話も悲惨結末に持っていかない辺りが、この方の大きさでもあろう。それであって、訴え掛けるのだ。
 増々読んでみたい作家になった。時刻に見合わせたストーリーも見事である。



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お日柄もよく~日本橋物語8~

2012年08月02日 | 森真沙子
 2010年8月発行

 江戸一番の商人の町、日本橋で細腕一本で生きる美人女将お瑛を取り巻く、男と女の愛情劇を描いたシリーズ第8弾。


第一話 消えた花嫁

第二話 美しい秘密

第三話 見果てぬ夢

第四話 迷い道

第五話 月下氷人

第六話 鬼女の詫び状
第七話 猫奉行

エピローグ 長編

主要登場人物(レギュラー)
 蜻蛉屋(とんぼ屋)お瑛...日本橋室町反物・陶磁器の商い
 お豊...お瑛の義母
 市兵衛...蜻蛉屋の番頭
 文七...蜻蛉屋の使い走り
 お民...蜻蛉屋の女中
 お初...蜻蛉屋の賄い、お瑛の婆や
 若松屋誠蔵...日本橋室町紙問屋の主、お瑛の幼馴染み

 大店山城屋に招かれたお瑛は、信じられない話を聞かされる。その日は、山城屋の娘の婚礼の日であるが、当の花嫁が行方知れずになった為、風貌の良く似ているお瑛に身代わりを務めて欲しいと言うのだ。
 花嫁は自ら姿を眩ませたのか、それとも勾引しなのか…。花嫁の身を案じながらも後に引けない山城屋の頼みに、お瑛は身代わりを承諾する。
 山城屋の娘の失踪事件を章ごとに語り手を変え、その日一日を追いながら、過去を顧みる。語り手が違えど混乱する事なく、自然な流れで違った視線から描く手法が新鮮である。
 前回、切なさも主入れもなく宇江佐真理さんの完勝と書いたが、土下座して詫びたい思いだ。宇江佐さんがどうのではなく、場面場面で主人公(語り手)を変えながら、これ程迄に完成度の高い作品は初めてである。
 特に「第四話 迷い道」のお珠(みよ)、隅田川甚五郎と、「第五話 月下氷人」のお染、明石屋辰二郎の件は目頭が厚くなった。是非とも隅田川甚五郎の後日談をスピンオフで描いて欲しい。
 そして最後の最後に語り手となった棚橋左衛門之丞国義。大きな人物である。この人の嫁が、お郁で良いのか否か。お郁に関しては、器量良し、分限者の娘をかたにきた、単なる嫌な娘としか捕らえられなかった。
 最後は相思相愛ながら、身分の違いから10数年を要してしまった。それでも国義は先妻の町江への思いは色褪せていないと、奇麗に纏めている。
 色仕掛けで男をたらし込もうとしたり、お郁には最後まで共感出来なかったが、誰ひとり不幸にはなっていないながらに、つのる思いを描いている素晴らしい作品と言えるだろう。
 お瑛さんは脇役。この物語は、「日本橋物語」シリーズを脱しても成り立つ話である。
 因にカバーイラストの花嫁を先導する男は、蜻蛉屋の藍半纏姿だが、物語上、この男は権八と思われ、正しくは船茂の半纏ではないだろうか。お瑛が身代わりとなってから蜻蛉屋は関わっていない。お郁は白無垢姿になっていない。とすれば、白無垢はお瑛であり、先導は、権八しかいない。
 何はともあれ、ほかの作品も購入した、読みたいシリーズとなった。

主要登場人物
 山城屋嘉次郎...上野池之端醤油問屋の主
 お郁...嘉次郎の娘
 お徳...嘉次郎の女房
 兵蔵...山城屋の番頭
 お粂...お郁の乳母、日本橋堀江町船宿船茂の女将
 権八...お粂の息子、船茂の船頭
 棚橋左衛門之丞国義...御勘定方、お郁の婚礼相手
 曲淵猪蔵...山城屋の用心棒夜番、元紀州藩お馬廻り
 乙吉...山城屋の用心棒昼番
 喜八...岡っ引き
 新川弥平太...定町廻り同心
 お珠(みよ)...山城屋女中(牛込漬物屋菊一女中→府中墓石屋養女)
 隅田川甚五郎...大道芸人
 枡屋伝兵衛...日本橋小網町行徳彼岸廻り塩問屋の主
 お染...伝兵衛の娘
 明石屋辰二郎(千住廻船問屋武蔵屋の倅)...新堀町下り塩問屋の次男
 町江...国義の先妻
 神崎蔵ノ介...国義の上役、町江の兄


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