うてん通の可笑白草紙

江戸時代。日本語にはこんな素敵な表現が合った。知らなかった言葉や切ない思いが満載の時代小説です。

江戸を愛して愛されて

2017年01月29日 | ほか作家、アンソロジーなど
杉浦日向子

 2016年10月発行

 単行本未収録の、江戸に関するエッセイ集。全集に収められたまま読めなくなった漫画「横の細道」ほか、「呑々まんが」も全話完全収録。「新春・江戸之七景」など、イラストエッセイも多数収録した、貴重な一冊。

ぉいち 四季折々の江戸(吉原の初春/江戸の初春 ほか)
にぃ 江戸のアレコレ(江戸の女たち/江戸の、時間感覚・金銭感覚 ほか)
さん 旅ゆけば、江戸(旅ふたたび/甲賀お忍びの里右往左往 ほか)
しっ 粋で泰平(風流といふ話/粋の達人ー衣・食・住 ほか)
ごぉ! 漫画(ぶらり俳諧散歩まんが・横の細道/呑々まんが)

 江戸庶民の暮らしぶりが、学べる一冊。堅苦しくなく、読み易い。



書評・レビュー ブログランキングへ

三鬼〜三島屋変調百物語四之続~

2017年01月15日 | 宮部みゆき
 2016年12月発行

 不幸な出来事で傷心のおちかは、叔父の袋物屋の三島屋伊兵衛に引き取られ、不幸な過去や不思議な出来事を体験した人たちの話に耳を傾ける。
 神田袋物屋三島屋の黒白の間で、明かされる不思議な話。「三島屋変調百物語事始」の第4弾。


第一話 迷いの旅籠

第二話 食客ひだる神

第三話 三鬼

第四話 おくらさま 計4編の短編連作

 冬に贈る怪談語り、変わり百物語。
 語り部の客は、村でただひとりお化けを見たという百姓の娘。夏場はそっくり休業する絶品の弁当屋。山陰の小藩の元江戸家老。心の時を14歳で止めた老婆の4人。
 それぞれに、亡者、憑き神、家の守り神、とあの世やあやかしとの出会いから、切ない話、怖い話、悲しい話を語る。
 それぞれの身の処し方に感じ入ったおちかの身にもやがて、心ゆれる出来事が…。

 引き込まれ、かなり厚みのある本もあっと言う間に読み終えたと同時に、宮部みゆき氏の巧さに、完全に宮部ワールドに魅せられてしまう。シリーズ最高傑作。

主要登場人物
 おちか...川崎宿旅籠丸千の娘
 三島屋伊兵衛...神田三島町袋物屋の主、おちかの叔父
 お民...伊兵衛の女房
 富次郎...伊兵衛、お民の二男
 八十助...三島屋の番頭
 おしま...三島屋の女中
 新太...三島屋の丁稚
 お勝...三島屋の女中
 瓢箪堂勘一...貸本屋の長男
 青野利一郎...本亀沢町・深考塾の師匠
 灯庵老人(蝦蟇仙人)...口入屋の主
 半吉(紅半纏の半吉・黒子の親分)...岡っ引き
 金田、捨松、良介...青野利一郎の教え子


書評・レビュー ブログランキングへ