うてん通の可笑白草紙

江戸時代。日本語にはこんな素敵な表現が合った。知らなかった言葉や切ない思いが満載の時代小説です。

なみだ菖蒲~お医者同心 中原龍之介~

2012年06月17日 | 和田はつ子
 2010年5月発行

 北町奉行所で定中役という閑職に就きながら、動物や人の心を診るよろず医者の顔も併せ持つ中原龍之介の元へ、新米同心の松本光太郎が左遷されてやって来た。定町廻り同心に馬鹿にされ、一方遠慮しながら事件を追う二人の捕り物物語。シリーズ第2弾。

第一章 地獄絵
第二章 いにしえの蛇の祟り
第三章 なみだ菖蒲
第四章 鬼蜘蛛禍 長編

 龍之介と光太郎は、不審死した京極屋主人の事件を追う一方、地獄絵を描くという、薬種問屋大垣屋のひとり息子誠太郎の事で相談を受ける。その絵を見た龍之介は、予知絵ではないかと思い巡らせるのだが…。
 京極屋への脅迫状、不気味な絵を描く誠太郎、押込みに狙われた満見屋。別々に進行していた話が重なるのだが…。
 ほかにも龍之介の叔母である千代のエピソード、その幼馴染みの阿沙のエピソードが盛り込まれているが、これは関連性があるのだろうか?
 話が混乱している感が否めず、事件に繋がりがあるように結んでいるが、それも無理を感じる。地獄絵の話も必然性は感じられず、京極屋と満見屋だけの繋がりで十分ではないだろうか。
 鷹揚で頭の切れる龍之介の設定と、生真面目な光太郎のコンビは面白いと思うので、シリーズ中ほかの話も読んではみたい。

主要登場人物
 中原龍之介...北町奉行所定中役筆頭、よろず医者
 松本光太郎...北町奉行所定中役、下り酒問屋井澤屋の総領息子
 おたい...光太郎の妻、草双紙屋よし林の娘
 幸右衛門...下り酒問屋井澤屋の主、光太郎の父親
 孝二郎...光太郎の弟
 島崎淳馬...北町奉行所年番与力
 丹羽作之助...北町奉行所吟味方与力
 永井義兵衛...北町奉行所吟味方筆頭同心
 菊池基次郎...北町奉行所定町廻り同心
 宇野又左衛門...北町奉行所御出座御帳掛同心、光太郎の朋友
 桝次...瀬戸物町の岡っ引き
 誠太郎...大伝馬町薬種問屋大垣屋の総領息子
 ふじ...誠太郎の妹
 嘉助...呉服問屋京極屋の一番番頭
 千代...高崎宿糸繭商錦屋の内儀、龍之介の叔母
 恭助(7代目)...京極屋三右衛門
 阿沙...北町奉行所同心大野広之進の妻
 おきみ...神田亀井町小間物屋満見屋の娘
 作田宗齋...町医者
 杉之介...龍之介の犬
 千草...龍之介の鶏
 松太郎...龍之介の鯉
 



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