うてん通の可笑白草紙

江戸時代。日本語にはこんな素敵な表現が合った。知らなかった言葉や切ない思いが満載の時代小説です。

王朝小遊記(おうちょうしょうゆうき)

2014年06月17日 | 諸田玲子
 2014年4月発行

 万寿二年(1025年)、藤原道長のライバルの下に参集した世のはずれ者たちが、鬼よりも悪辣な敵に立ち向かう。

ナツメとナマス
シコン
コオニ
ニシタカ
悩める家人、平広方
そしてだれもいなくなった!? 長編連作

ナツメとナマス
 下級官僚の父が亡くなり、物売女へと実を呈したナツメ。世を儚んで死に場所を探し歩くうちに、やはり先に希望の見えないナマスと呼ばれる老人と出会う。

主要登場人物
 ナツメ...物売女、元下級官人の娘
 ナマス...下級貴族
 仲助...元ナツメの父の家人
 千古姫...藤原実資の娘(小野宮)
 良円...小野宮弟の住職
 謎の男

シコン
 職を辞し、貧しさの中で隠遁生活を送るシコンの元に、時の人である藤原頼通邸で迎えたい旨の話が舞い込んだ。巧過ぎる話を訝しんだシコンは、昔馴染みを訪ねるが…。

主要登場人物
 シコン...元源憲定の姫の女房(紫紺内侍)
 楽水法師...宇治仏徳山の老僧
 謎の男

コオニ
 母の愛情に飢えている小麿は、流行病により奉公人が辞し、母娘だけで暮らす屋敷を訪い、自らを「コオニ」と名乗り、援助の手を差し伸べるが、暇を持て余した貴族の子息たち大蛇党に目を付けられ…。

主要登場人物
 小麿(コオニ)...母は内裏の女房勤め
 小麿の従兄弟...左衛門少尉の子息 
 ニシタカ...謎の男
 大蛇党

ニシタカ
 藤原隆家に遣えていた頃に情を交わした三の姫が怪しい僧都の祈祷を受けていると、三の姫の乳母から救いを求められたニシタカ。コオニと共に僧房に乗り込むと、恐ろしい光景が…。

主要登場人物
 ニシタカ...浮浪者(元藤原隆家の家臣)
 小麿(コオニ)...母は内裏の女房勤め
 家司...藤原隆家の家臣

悩める家人、平広方
 当主の愛娘・千古姫の命が何者かによって狙われていると知った平広方。当主の長子ながら出自が卑しいため、僧侶となっている良円の元を訪い、助けを請う。

主要登場人物
 平広方...小野宮弟当主・右大臣・藤原実資家人
 千古姫...藤原実資の末娘
 良円...小野宮弟の住職、藤原実資の長子
 源仲助...広方の妻女の間男

そしてだれもいなくなった!?
 ナツメ(物売女)、ナマス(博学爺)、シコン(貴族の元女房)、コオニ(不良少年)、ニシタカ(浮浪者)、平広方(家人)、良円(僧侶)は、小野宮弟にて、千古姫を守る為に謎の敵と対峙する。そしてその結果は…。

主要登場人物
 ナツメ...物売女、元下級官人の娘
 ナマス...下級貴族
 シコン...元源憲定の姫の女房(紫紺内侍)
 小麿(コオニ)...母は内裏の女房勤め
 ニシタカ...浮浪者(元藤原隆家の家臣)
 平広方...小野宮弟当主・右大臣・藤原実資家人
 千古姫...藤原実資の末娘
 良円...小野宮弟の住職、藤原実資の長子

後日譚
 別れの時…そしてそれぞれのその後。

主要登場人物
 ナツメ...物売女、元下級官人の娘
 ナマス...下級貴族
 シコン...元源憲定の姫の女房(紫紺内侍)
 小麿(コオニ)...母は内裏の女房勤め
 ニシタカ...浮浪者(元藤原隆家の家臣)
 平広方...小野宮弟当主・右大臣・藤原実資家人
 千古姫...藤原実資の末娘
 良円...小野宮弟の住職、藤原実資の長子

 5つの物語で、登場人物の置かれた状況を独立した形で進行させ、最終話にて、各話の主人公を出会わせ、これまでの短編集を一気に長編連作へと塗り替える作者の巧妙さに脱帽。
 王朝時代に興味がなくても、マンウオッチングを楽しめる小説である。


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