うてん通の可笑白草紙

江戸時代。日本語にはこんな素敵な表現が合った。知らなかった言葉や切ない思いが満載の時代小説です。

おやごころ

2023年07月07日 | 畠中恵
2023年5月発行

 お気楽な、名主の跡取り麻之助と、家督を継いで名主となった清十郎。そして八丁堀見習同心の吉五郎。3人の悪友たちが繰り広げる人情物語「まんまこと」シリーズ第9弾。

たのまれごと
こころのこり
よめごりょう
麻之助走る
終わったこと
おやごころ 計6編の短編連作

たのまれごと
 さる旗本から、嫡男の素行の悪さを調べて欲しいと、相馬家に依頼があった。吉五郎から相談を受けた麻之助は、早速調べに入るが、そこには、二男の結婚話しが絡んでいるのだった。

こころのこり
 三つの江戸店の大番頭から、失せ物探しの依頼が舞い込んだ。どれもが身体極まる重要な品である。似たような話に麻之助は不思議な思いだが、妻・和歌の実家の西森家や朋友・八木清十郎のところにも同じような話しが舞い込んでいると言う。
 麻之助は和歌の助力もあり、難題解決に挑むのだった。

よめごりょう
 麻之助の義理の父・西森金吾の従兄弟の子を名乗る西森太助が、和歌は己の許嫁だったと、高橋家にやって来た。目的の意味も分からぬ麻之助は、一括するが、その訳を調べようとしていた時、新米定廻り同心の大森三郎四郎から、両国の小間物屋・笹間屋の盗人騒ぎの助っ人を頼まれる。お門違いな頼みに断ったものの、それを聞いていた町娘たちから、盗人騒ぎを引き受ける代わりに、三行半を貰い受けて欲しいとの交換条件が持ち込まれ、本来の目的を忘れ、奔走するのだったが…。そしてその中に、太助と揉めていたお琴が居たのだった。

麻之助走る
 麻之助が町で華やかな布を目にした頃、麻之助の友、清十郎が、支配町の相談事が減っていることを明かした。聞けば、ほかの町名主も減っているらしい。時を同じくして、神田の高利貸し・丸三が、最近新規の客が増えていることを明かす。
 麻之助が、相談事の減っている町名主の支配町と、丸三に金銭を借りた、新規の客の住まいを地図に書き込んでみたところ、意外なことが分かる。

終わったこと 
 川野美衣から、藍のかす模様の着物の笠を被った男に付け狙われている。そんな相談を受けた。だが、美衣は、与力の娘である。なぜ、町名主に相談が持ち込まれるのか? 麻之助には不可解であったが、親友の相馬吉五郎と、一葉を通してのこの案件は、怪しまれる、元許嫁の与力・鳥井虎五朗の裏付け捜査だけとのことだったので引き受けたものの、麻之助までもが、危うい目に。
 そして大名家や奉行所を巻き込んだ事件との相互性など、大事になっていくのだった。

おやごころ
 息子・宗吾をもうけた麻之助と和歌夫妻。町名主・高橋家にとっても跡取りの誕生とあり、誰しもが喜び満ちていた。
 そんな最中、長男長女を縁付かせた、一膳飯屋の富田屋から末娘は嫁がせず、生涯家で長男夫妻の手伝いをさせるとの話があり、親子であっても子に対しての思入れが違うものだと、麻之助は言葉を失った。
 その末娘・お幸の嫁入り先を探したり、ほかの縁もまとめたとの評判になった麻之助。全く身に覚えのないことなのだが、今度は、元大奥お年寄りの美代から、縁者の縫箔屋・羽奈屋の妹贔屓から、妹が望む、姉の縁談相手を妹に。そして次の姉の相手にまで。気の毒仕切りとの相談を持ちかけられる。

主要登場人物
 高橋麻之助...神田の古町名主宗右衛門の総領息子
 八木清十郎...隣町の町名主
 相馬吉五郎...北町奉行所与力
 高橋和歌...麻之助の妻、町名主・西森金吾の娘
 高橋宗右衛門...神田の古名主、麻之助の父親
 西森金吾….町名主
 高橋和歌….麻之助の妻、金吾の娘
 八木安…清十郎の妻
 貞吉(両国の貞)...両国の顔役、物売り
 大貞....両国の顔役、貞吉の父親 
 丸三...神田の高利貸し
 お虎....丸三の妾
 大森三郎四郎...北町奉行所定廻り同心
 久助...岡っ引き
 相馬小十郎...北町奉行所定町廻り同心、吉五郎の義父
 相馬一葉...小十郎の娘、吉五郎の許嫁
 川野美衣...北町奉行所与力・川野主水の娘、一葉の友人
 みけ(八木家)、とら(相馬家)、ふに(高橋家)...兄弟猫


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