うてん通の可笑白草紙

江戸時代。日本語にはこんな素敵な表現が合った。知らなかった言葉や切ない思いが満載の時代小説です。

花嫁御寮~鶴亀屋繁盛記~

2012年07月03日 | 和田はつ子
 2009年7月発行

 神田相生町で人探し業を営む鶴亀屋。主の竹蔵は元は貧乏旗本の次男坊。町家に婿入りしたが、商いが立ち行かなくなり商売替えをしたのだ。
 そして放蕩が過ぎ三十を前に隠居させられた大身旗本の嫡男、鶴川梅太郎と二人、人探し業に奔走する。シリーズ第4弾。

第一話 子にしかめやも
第二話 口中心医 藤壷源二郎
第三話 花嫁御寮 計3編の中編集

主要登場人物(レギュラー)
 竹蔵(竹之助)...神田相生町人探し業鶴亀屋の主
 鶴川梅太郎...旗本家の嫡男、隠居
 まつ恵...竹蔵の妻
 きり乃...竹蔵の娘
 田崎杉右衛門...鶴川家用人
 筒井弥平次...南町奉行所同心
 桜和馬...南町奉行所同心見習い
 陽平...新材木町口入れ屋駒黒屋の主
 良助...駒黒屋の大番頭
 おもん...駒黒屋の使用人、簪売り

第一話 子にしかめやも
 花見の折に、赤子だった直吉が神隠しに合い、それから何年も直吉を探し続ける大七だったが、竹蔵の進まない調べに業を煮やし、怪しい口入屋の口車に乗って姿を消した。女房のおしずから大七の行方を探して欲しいと依頼された竹蔵は…。
 
主要登場人物 
 大七...元炭問屋の手代、荷役人足
 おしず...大七の妻
 おのぶ...大七の娘
 達三...柳原土手古着屋裂屋の主
 五吉...裂屋の丁稚
 佐喜右衛門...鳥越口入屋白馬屋の主

第二話 口中心医 藤壷源二郎
 江戸市中では若い娘ばかりが3人、続けざまに首を絞められて殺される事件が続いていた。おもんにその下手人探しの助を求められた竹蔵は、殺しは奉行所の仕事だと断るが、竹蔵が探していた娘おあきが、同様の死体で見付かる。
 梅太郎がおもんを囮に使い、事件解決に乗り出すのだが、実際の聞き込みを元に推理すると言うよりも、予測を立てている感が否めず、些か強引な謎解きに仕上がってみえた。

主要登場人物 
 女主...絵双紙屋冠書堂、おあきの母親
 おちか...おあきの幼馴染み
 松田信右衛門...旗本脇田家側用人
 好太郎...日本橋香宝の主
 藤壷源二郎...金杉通りの口中心医
 おれん...源二郎の妻
 藤屋桂助...桜坂“いしゃ・は・くち”の口中医
 (「口中医桂助事件帖」シリーズ)

第三話 花嫁御寮
 婚礼の晩に、花嫁のおくみが忽然と消えた。駒黒屋陽平から知らせを受けた竹蔵は、梅太郎と早々に聞き込みを始めるが、次第におくみの過去が明らかになっていく。
 壮絶な最期に通じる、これまた思わず眉を顰めるような過程が描かれるが、それでも確かな救いがあるのが、このシリーズの特徴だが、中でもそれを如実に物語っていると言える。

主要登場人物 
 宗左衛門...小網町廻船問屋仙石屋の主
 幾次郎...仙石屋の若旦那、宗左衛門の嫡男
 おしの...宗左衛門の妻
 おくみ... 幾次郎の許嫁、仙石屋の養女
 松平...仙石屋の番頭
 おけい...小網町米屋小嶋屋の娘、おくみの親友

 鶴亀屋のやり方は、推理であり、捕り物ではないのだが、殺しには縁があるようだ。そしてその下手人探しや、行方知れずの人探しは、足を使った聞き込みが主流であるが、4を聞いて6を紐解く。その推理が強引にも的中するのであるが、思い込みと言ってしまえばそれまでである。ミステリー仕立てには向いていないのではないかと思える。



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恋あやめ~鶴亀屋繁盛記~

2012年07月02日 | 和田はつ子
 2008年11月発行

 神田相生町で人探し業を営む鶴亀屋。主の竹蔵は元は貧乏旗本の次男坊。町家に婿入りしたが、商いが立ち行かなくなり商売替えをしたのだ。
 そして放蕩が過ぎ三十を前に隠居させられた大身旗本の嫡男、鶴川梅太郎と二人、人探し業に奔走する。シリーズ第2弾。

第一話 恋あやめ
第二話 双葉婚
第三話 鬼子母神
第四話 噛み爪 計4編の短編集

主要登場人物(レギュラー)
 竹蔵(竹之助)...神田相生町人探し業鶴亀屋の主
 鶴川梅太郎...旗本家の嫡男、隠居
 まつ恵...竹蔵の妻
 きり乃...竹蔵の娘
 田崎杉右衛門...鶴川家用人
 那須憲次郎...南町奉行所同心
 桜和馬...南町奉行所同心見習い
 陽平...新材木町口入れ屋駒黒屋の主
 良助...駒黒屋の大番頭

第一話 恋あやめ
 鶴川梅太郎の元に、行方知れずとなった息子を探して欲しいと旧知のきくえが訪った。聞けばその子息は、先刻見掛けた医学生であった。
 少しばかり切ない話に仕上がっている。

主要登場人物 
 林新吾...陣内の塾生、きくえの息子
 おふじ...茶屋娘、新吾の幼馴染み
 陣内寿節...大富町の方眼(医師)
 内田鉄平...陣内の塾生
 大西恭次郎...陣内の塾生
 
第二話 双葉婚
 相模屋のおなつから、商いで内藤新宿へ行ったきり行方が知れない夫の幸助を探して欲しいと依頼を受けた。早々竹蔵が相模屋を訪うと、蜜柑相場で虎の子を根こそぎ失った老婆が店先で悪態を付いていた。
 幸助の人柄とそれを支援する人々の心温まる話であるが、おなつにとっては悲しい結末になっている。

主要登場人物 
 おなつ...廻船問屋相模屋の跡取り娘
 幸助...相模屋の若旦那、おなつの婿
 喜右衛門...相模屋の主、おなつの父親
 喜兵衛...相模屋の大番頭
 おかね...金時長屋の店子
 嘉一...おかねの息子

第三話 鬼子母神
 竹蔵不在の中、まつ恵の実家加納屋が大店だった時代、髪結いを頼んでいた、お千代のひとり娘おまつが攫われ、50両もの金を揺すられる事件が起きた。
 事は急を要する。子探しが苦手な梅太郎が、乗り出す事になった。
 中盤に四方山話として語られる出来事が尾を引いた、あっと驚く真犯人に驚かされる。

主要登場人物 
 お千代...深川常磐町花結床の女髪結い主
 貞吉...錺職人、お千代の夫
 お里...子守り女
 吉奴...深川玉の屋の抱え芸妓
 お葉...呉服屋柊屋の内儀
 おぎん...森下町の女髪結い、お千代の師匠

第四話 噛み爪
 毎朝葉唐辛子の佃煮を売りに来る直吉の姿を見掛けなくなった折り、竹蔵の朋友片岡象二郎から手習い所の子どもを探して欲しいと依頼があった。それは直吉である。早々竹蔵が調べてみると、直吉の兄長太、妹お咲、そして長太と共に暮らす助三までもが同じ日を境に姿を決しているのだった。
 駒黒屋陽平、片岡象二郎の隠し事の意図がもうひとつぴんとこないが、まあ、これがなければあっと言う間に一件落着だから仕方なしか。

主要登場人物
 直吉...葉唐辛子の棒手振り
 惣吉...担ぎの貸本屋、直吉の里親
 片岡象二郎...日本橋村松町手習いの師匠
 長太...新材木町口入れ屋駒黒屋の奉公人、直吉の兄
 新吉...薬研掘煮売り屋の主、お咲の義叔父

 このシリーズは、足を使った謎解きであり、犯人は文中で、本筋とは関係なく耳に入った人物といった手法が用いられ、文中に隠されたワードが読者も共に謎解きにの参加出来る形に仕上がっている。
 そして、残酷な沙汰や結末は、竹蔵、梅太郎の与り知らない人物であり、二、三行でさらりと流されている。
 シリーズ6作目の「道楽息子」を先に読んでいたが、こちらでは竹蔵の妻まつ恵は、梅太郎を芳しく思っていない様子だったが、シリーズ始めは惹かれていたようだ。



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ひとり膳~料理人季蔵捕物控~

2012年06月19日 | 和田はつ子
 2011年3月発行

 訳あって主家を出奔し、料理人として生きる季蔵。だが先代の塩梅屋長次郎からは料理だけではなく、北町奉行所同心の隠れ小者も引き継いだのだった。シリーズ第11弾。 

第一話 梅見鰤
第二話 饅頭卵
第三話 吹立菜
第四話 ひとり膳 長編集

 一膳飯屋の塩梅屋では、梅見弁当の時節に入った。季蔵は、「能代春慶、三段重堤げ弁当、梅見鰤、ひとり膳」という先代の長次郎生前の書き付けが気になってはいたが、分からず仕舞い。
 そんなある日、おき玖は父の長次郎を偲ぶ梅見へ出掛けたのだが、おき玖が訪っている亀可和が雷雨に見舞われたと知らせが入り、季蔵が大急ぎで駆け付けると、屋敷内で、夜光の珠が盗まれたと大騒ぎになっていた。
 この件が印象深い。
 
主要登場人物
 季蔵(堀田季之助)...日本橋一膳飯屋塩梅屋の主(料理人)
 おき玖...塩梅屋先代長次郎の娘
 三吉...塩梅屋の追い回し
 瑠璃...季蔵の許嫁
 烏谷椋十郎...北町奉行
 佐右衛門...薬種問屋良効堂の主
 豪助...船頭
 おれん...亀戸梅見茶屋亀可和の女将
 新蔵...霊岸島新酒問屋蔵一の主
 お夢...新蔵の女房
 輿助...元本郷薬種問屋砺波屋の奉公人
 おさん...蔵一の女中
 吉次...亀可和の下足番
 田端宗太郎...北町奉行所定町廻り同心
 松次...岡っ引き
 儀平次...元南町奉行所隠密廻り同心





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菊花酒~料理人季蔵捕物控~

2012年06月18日 | 和田はつ子
 2010年10月発行

 訳あって主家を出奔し、料理人として生きる季蔵。だが先代の塩梅屋長次郎からは料理だけではなく、北町奉行所同心の隠れ小者も引き継いだのだった。シリーズ第9弾。

第一話 下り鰹
第二話 菊花酒
第三話 御松茸
第四話 黄翡翠芋 長編集

 30年前の呉服屋やまと屋一家皆殺しの一味だった松島屋から、事件にかかわる簪が盗まれた。疑わしきは、骨董屋千住屋。北町奉行の烏谷椋十郎にそう告げられた季蔵は、新たな椋十郎の手の者となった内与力の清水佐平次と真相を探る。
 先に後作の「ひとり膳」を読み、今回はシリーズで2冊目となったのだが、「ひとり膳」と比べ、料理の比重が高く料理説明に大分ページを割いているといった感想である。
 そして、本題に行き着く迄に、ぐるりと遠巻きに幾多もの話があり過ぎて、どうにも読んでいて散漫になった。読み手の視線が定まらない感が否めない。

主要登場人物
 季蔵(堀田季之助)...日本橋一膳飯屋塩梅屋の主(料理人)
 おき玖...塩梅屋先代長次郎の娘
 三吉...塩梅屋の追い回し
 瑠璃...季蔵の許嫁
 烏谷椋十郎...北町奉行
 清水佐平次...北町奉行所内与力 
 繁乃...佐平次の母親
 安徳...芝光徳寺住持
 沢崎幾之進...松原藩石本家江戸家老
 文左衛門...日本橋長谷川町菓子屋万福堂の主
 喜平...隠居
 田端宗太郎...北町奉行所定町廻り同心
 松次...岡っ引き


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なみだ菖蒲~お医者同心 中原龍之介~

2012年06月17日 | 和田はつ子
 2010年5月発行

 北町奉行所で定中役という閑職に就きながら、動物や人の心を診るよろず医者の顔も併せ持つ中原龍之介の元へ、新米同心の松本光太郎が左遷されてやって来た。定町廻り同心に馬鹿にされ、一方遠慮しながら事件を追う二人の捕り物物語。シリーズ第2弾。

第一章 地獄絵
第二章 いにしえの蛇の祟り
第三章 なみだ菖蒲
第四章 鬼蜘蛛禍 長編

 龍之介と光太郎は、不審死した京極屋主人の事件を追う一方、地獄絵を描くという、薬種問屋大垣屋のひとり息子誠太郎の事で相談を受ける。その絵を見た龍之介は、予知絵ではないかと思い巡らせるのだが…。
 京極屋への脅迫状、不気味な絵を描く誠太郎、押込みに狙われた満見屋。別々に進行していた話が重なるのだが…。
 ほかにも龍之介の叔母である千代のエピソード、その幼馴染みの阿沙のエピソードが盛り込まれているが、これは関連性があるのだろうか?
 話が混乱している感が否めず、事件に繋がりがあるように結んでいるが、それも無理を感じる。地獄絵の話も必然性は感じられず、京極屋と満見屋だけの繋がりで十分ではないだろうか。
 鷹揚で頭の切れる龍之介の設定と、生真面目な光太郎のコンビは面白いと思うので、シリーズ中ほかの話も読んではみたい。

主要登場人物
 中原龍之介...北町奉行所定中役筆頭、よろず医者
 松本光太郎...北町奉行所定中役、下り酒問屋井澤屋の総領息子
 おたい...光太郎の妻、草双紙屋よし林の娘
 幸右衛門...下り酒問屋井澤屋の主、光太郎の父親
 孝二郎...光太郎の弟
 島崎淳馬...北町奉行所年番与力
 丹羽作之助...北町奉行所吟味方与力
 永井義兵衛...北町奉行所吟味方筆頭同心
 菊池基次郎...北町奉行所定町廻り同心
 宇野又左衛門...北町奉行所御出座御帳掛同心、光太郎の朋友
 桝次...瀬戸物町の岡っ引き
 誠太郎...大伝馬町薬種問屋大垣屋の総領息子
 ふじ...誠太郎の妹
 嘉助...呉服問屋京極屋の一番番頭
 千代...高崎宿糸繭商錦屋の内儀、龍之介の叔母
 恭助(7代目)...京極屋三右衛門
 阿沙...北町奉行所同心大野広之進の妻
 おきみ...神田亀井町小間物屋満見屋の娘
 作田宗齋...町医者
 杉之介...龍之介の犬
 千草...龍之介の鶏
 松太郎...龍之介の鯉
 



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猫始末~お医者同心 中原龍之介~

2012年06月16日 | 和田はつ子
 2010年3月発行
 
 北町奉行所で定中役という閑職に就きながら、動物や人の心を診るよろず医者の顔も併せ持つ中原龍之介の元へ、新米同心の松本光太郎が左遷されてやって来た。定町廻り同心に馬鹿にされ、遠慮しながら事件を追う二人の捕り物物語。シリーズ第1弾。

第一章 春爛漫つかのま
第二章 お医者同心 中原龍之介
第三章 神隠し
第四章 猫始末 長編

 商家の息子から、念願の同心株を手に入れ、晴れて北町奉行所の定町廻り同心となった松本光太郎。喜びも束の間、些細な失態から定中役という耳慣れない部署へと飛ばされた。
 そこは上役がひとりいるだけで、常駐にも及ばず、同心とは名ばかりの奉行所内の閑職であった。
 だが、その上役の中原龍之介は、腕も立てば、人柄も温厚かつ頭も切れる。何より、組屋敷では、動物や人の心を診るよろず医者も開き、庭には薬草が植わっていた。
 そんな二人は、堀米屋の幼い跡取り息子大五が、行方知れずになった事件を調べる事になった。調べを勧めて行くうちに、堀米屋の庭の桜の下から人骨が見付かり、事件は思わぬ方向に転がり出すのだった。
 まずは、奉行所に定中役という役目がある事を初めて知った。臨時の時に対応する職で、出役なども行ったそうである。定員は2名。
 その勤務体制を巧く利用し、ハーブを育てながらよろず医者との二足の草鞋の中原龍之介。文武に長け、更には至って温厚かつ柔軟な性質。
 町家の生まれながら、同新株を手に入れ念願の定町廻りに配属されたものの、わずか数日で定中役へ左遷された松本光太郎。
 この二人の謎解きなのだが、少し話がややこしい割には、結末は単純といったストーリーを、キャラの魅力が押し隠しているかに見えた。

主要登場人物
 中原龍之介...北町奉行所定中役筆頭、よろず医者
 松本光太郎...北町奉行所定中役、下り酒問屋井澤屋の総領息子
 おたい...光太郎の妻、草双紙屋よし林の娘
 幸右衛門...下り酒問屋井澤屋の主、光太郎の父親
 孝二郎...光太郎の弟
 島崎淳馬...北町奉行所年番与力
 丹羽作之助...北町奉行所吟味方与力
 永井義兵衛...北町奉行所吟味方筆頭同心
 菊池基次郎...北町奉行所定町廻り同心
 宇野又左衛門...北町奉行所御出座御帳掛同心、光太郎の朋友
 桝次...瀬戸物町の岡っ引き
 お加乃...居酒屋健菜の女将
 利左衛門...米問屋堀米屋の主
 お槙...利左衛門の後添え
 重助...堀米屋の番頭
 おゆい...元吉原の遊女
 おとき...北紺屋町の通称猫婆
 杉之介...龍之介の犬
 千草...龍之介の鶏
 松太郎...龍之介の鯉
 




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道楽息子~鶴亀屋繁盛記~

2012年06月15日 | 和田はつ子
 2009年11月発行

 神田相生町で人探し業を営む鶴亀屋。主の竹蔵は元は貧乏旗本の次男坊。町家に婿入りしたが、商いが立ち行かなくなり商売替えをしたのだ。
 そして放蕩が過ぎ三十を前に隠居させられた大身旗本の嫡男、鶴川梅太郎と二人、人探し業に奔走する。シリーズ第6弾。

第一話 道楽息子
第二話 横綱相撲
第三話 冬の花火 計3編の中編集

主要登場人物(レギュラー)
 竹蔵(竹之助)...神田相生町人探し業鶴亀屋の主
 鶴川梅太郎...旗本家の嫡男、隠居
 まつ恵...竹蔵の妻
 きり乃...竹蔵の娘
 陽平...新材木町口入れ屋駒黒屋の主
 おもん...駒黒屋の使用人、簪売り
 田崎杉右衛門...鶴川家用人
 筒井弥平次...南町奉行所同心

第一話 道楽息子
 手習い師匠の鯉太郎が、忽然を姿を消した。鯉太郎の実家である、米問屋福知屋から依頼を受けた竹蔵と梅太郎。鯉太郎の塒に赴くと、火鉢の灰の中に、掏ったと思われる数多雑種の紙入れが隠されていた。
 おっっとりとした鯉太郎の、如何にも大店の若旦那風が、如実に現れている。

主要登場人物
 鯉太郎...克己塾の手習いの師匠、米問屋福地屋の総領息子
 年兵衛...福地屋の主、鯉太郎の父親
 ふく...鯉太郎の母親
 中島伊織...克己塾の塾頭
 勇吉...克己塾の生徒
 おなお...勇吉の姉
 矢吉...勇吉、おなおの父親

第二話 横綱相撲
 勧進相撲の結びの一番を前に、大関の白虎山が行方知れずとなった。取組前に薩摩の侍が白虎山を訪ったと言うが…。竹蔵と梅太郎は、調べを進めるうちに、悲しい現実に行き当たる。
 正に、男の中の男、スーパーヒーローの白虎山の潔さが魅力。

主要登場人物
 白虎山龍右衛門...大関
 松風...白虎山の弟弟子
 おとく...白虎山の母親
 寛太...白虎山の兄
 おち与...寛太の女房
 
第三話 冬の花火
 駒黒屋を訪った帰りに、竹蔵の妻まつ恵が攫われた。どうやら駒黒屋の内儀と間違えられたようである。駒黒屋に恨みを抱く男は、人質を取って立て籠り…。
 梅太郎の活躍が見物。

主要登場人物
 良助...口入屋駒黒屋の大番頭
 華兵衛...花火職人
 作太郎...華兵衛の手下

 全体に、生まれも気質も違い、更にはその策もそれぞれだが、登場人物の男気を示し、言うなれば芯の通った男たちを描いている。
 優しさや思いやりとはを考えさせれる作品である。
 竹蔵と梅太郎コンビの設定も新しい。
 


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