しろくま日記

読んだ本の感想を記録してみたいと思います。
なんだか忘れてしまうので。

2010年宇宙の旅 アーサー・C・クラーク著 伊藤典夫訳 ハヤカワ文庫

2015-02-09 | 海外SF
2015年最初に読む本としてなんとはなしに本書を手に取りました。(感想はだいぶ間が空きましたが...)

残念ながら少なくとも宇宙開発は2015年現在でもこの本に書かれているところまでも進んでいませんねぇ。
(コンピューターは???ですが少なくともHAL9000のようなのは出ていません)
タブレット端末やらが当たり前になっているのは当たっていますが…。

本書は改めて書くのもなんですが、有名(映画が)な「2001年宇宙の旅」の続編にあたります。
2001年宇宙の旅」読了後ブックオフで108円で入手。

続編は本書の後「2061年宇宙の旅」「3001年終局への旅」があります。
(本書のあとこちらも読んでしまった)
各編「2001年宇宙の旅」(映画・小説)を下敷きにした世界が書かれていますがそれぞれ微妙に異なるパラレルワールド的な作品になってるとのこと。(作者いわく)

本書では映画版「2001年宇宙の旅」の設定にそってディスカバリー号は木星に行ったことになっています。
1982年発刊。

クラークは当初本書の映画化の意図はなかったようですが1984年に映画化されています。
1985年3月 日本公開。

映画版は小学校6年か中学生頃(1982年前後)に「2001年宇宙の旅」のリバイバル上映を映画館で見て感動した覚えがあり、そのイメージのまま「2010年」を公開直後に見に行きあまりに米ソ冷戦色が強くがっかりした記憶がうっすらあります…。
今回映画の方ちょっと調べてみたところ基本的ストーリーは小説に沿っているようですがやはり映画の方が米ソ冷戦色が強かったようです。

内容(裏表紙記載)
2010年、宇宙船アレクセイ・レオーノフ号はいま地球を旅立とうとしていた。10年前に遥か木星系で宇宙飛行士4人が死亡、1人が失踪した事件を調査し、遺棄された宇宙船ディスカバリー号を回収することがその任務だった。果たして真相は究明されるのか?そして、木星軌道にいまも浮かぶ謎の物体モノリスにはどんな奇怪な目的が秘められているのか・・・・・・前作を上回る壮大なスケールで全世界に興奮を巻き起こした傑作長篇。


本作の主人公は「2001年宇宙の旅」で月面調査をしていたヘイウッド・フロイド博士。
2001年の事件で要職を外れハワイ大学の学長をしているという設定。
映画ではロイ・シャイダーが演じていたのをよく覚えています。

その他映画の内容の細かいところは殆ど覚えていませんが(大きいこともですが…最後におこる「素晴らしいこと」も全然覚えていなかった。)上でも書きましたが映画では米ソ冷戦がいやに強調されていた記憶が一番残っていたりします。

小説版でも若干冷戦模様はありますが宇宙船の乗組員は国籍の違いを乗り越え「地球人」もしくは「宇宙人」として協調していこうという姿勢が出ています。
また映画には出てきませんが中国の宇宙船も出てきています。

米、ロに加えて「中」が大国化している現在の状況を「予見していた」という見方もできますね。
技術の進歩やらの描写含めクラークの予見的描写は鋭いですしかなりの部分あたっているのもすごいところです。
その辺含め「2001年宇宙の旅」の謎解きもきれいにされいてて続編としてよくまとまっている作品だと思いました。
都市と星」「幼年期の終わり」辺りからのクラークの一環したテーマである銀河系、宇宙を見まもる「肉体を持たない知性体」はクラークらしさが感じられて楽しめました。

ただ、あまりにきれいにまとまり過ぎていて「2001年宇宙の旅」よりスケールが小さい感じは受けました。

「謎」の部分を残した方がもやもやしますが、なんだか壮大な感じは受けますよねぇ。

「2001年宇宙の旅」ではクラークはかなりキューブリックに引きずられて「文系的」作品に仕上げさせられた感じですが、本作では木星及びその衛星の描写に当時最新の知見をちりばめていかにも理系的な楽しみにひたって書いています。
80年代の作品ですからクラークも若いころの作品のような青臭さ(良質さかもしれないですが…)もなくSF=エンターテインメントと割り切って書いているように感じました。

木星生物の描写は当時はやりのカール・セーガンの想像した木星生物。
(だと思う、学校の図書室にあった「コスモス」よく見たなぁ….。冒頭セーガンの名前も出てきます。作中では2010年まで存命という設定)
木星の衛星エウロパ生物の描写もクラークらしい説得力を感じました。

ただ銀河系超知性体が最後にとった方法は必然性があるのだろうか…。
サイエンス側から「こうした方が面白いかなぁ」というものありきなようにも感じました。

あと冒頭HAL9000の兄弟的存在のSAL9000が思わせぶりに出てきますが、結局最後まで活躍しないで終わってしまった…。

等々気になるところはありますが、難しいことを考えず娯楽作品として楽しむ分にはおもしろい作品だと思いました。
↓よろしければ下のバナークリックいただけるとありがたいです!!!コメントも歓迎です。
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へにほんブログ村


最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ホームページを拝見しました (つねさん)
2015-02-11 15:49:32
こんにちは。
スペースお借り致します。

お友達がたくさん出来て、投稿に参加する度ごとに直筆のカード式のファンレターが3~30枚以上届く文芸サークル(投稿雑誌)をやっています。
ネットでのやりとりも楽しいですが、ぬくもりが伝わるアナログでの活動は温かい気持ちになり、楽しさや幸せをより感じられます。
イラスト・詩・漫画・小説・エッセイなどジャンルを問わず何でも掲載しています。
月刊で150ページくらい。全国に約180人の会員さんがいます。
あなたがブログで発表している作品を雑誌に掲載してみませんか?
東京都内で集会も行っています。お友達や創作仲間作りにご活用下さい。

興味を持たれた方には、現在雑誌代と送料とも無料で最新号をプレゼントしています。
よろしかったらホームページだけでもご覧になって下さい。
ホームページにある申込フォームから簡単に最新号をご請求出来ます。
http://ameblo.jp/hapine1961/

これからもブログの運営頑張って下さい。
失礼致しました。
RE:ホームページを拝見しました (しろくま)
2015-02-11 22:12:15
つねさん様 こんばんは。
コメントありがとうございます。
私は残念ながら創作の才能はないので向かないと思います....。
よろしくお願いいたします。

コメントを投稿