一昨日昨日と北九州市の響ホールフェスティバル。
開場時にロビーに出てみると、主催者である財団の専務と事務局長が入り口の正面に立って「いらっしゃいませ」と大きな声を出している。今年から、職員が声出しを積極的にやろう、と言うことを確認したのだろうか。実はカザルスホールでも第一生命でも行っていない。だからとっても新鮮。25年ほど前に、コンサートエージェンシームジカ(一昨日倒産してしまったが)が、アルバイトのレセプショニストを雇い、日比谷サービスに替わって案内をしていた時代がある。帰りがけに「ありがとうございました」とみんなが大きな声を出していたのを見て新鮮に感じて以来。東京ではそれまで無かったのですよ。
まあ客商売だから当たり前とも言えるが、あれは貸ホールの立場ではしにくい。これはどこでもやるべきだ・・とは言わないが、やはり主催者の工夫の一つであろう。
さて、響ホールはシューボックスのホールだが、やや幅の広い、空間感の豊かな会場である。音響的にいうと、音の最適ポイントを探すとか楽器のバランスの取りやすさという意味では、他のシューボックスの会場と同様に、決して簡単ではない。昔、数住さんの時代に動物の謝肉祭とかメンデルスゾーンの八重奏曲の様な大編成の室内楽では、並び方に奥行きが必要なので、位置取りが難しかった記憶がある。
しかし、良いポイントを見つけると音響はとても良く、聴く人の満足度は極めて高いだろう。その意味では、ホールに良い耳を持った舞台技術者がいて、常にアコースティックを聴いて的確なアドヴァイスをしてくれるようなことは大事かも知れない。
響ホールフェスティバルは、オープン以来行ってきたのだが、今年から交代で三人の演奏家(野平一郎、松原勝也、佐久間由美子)にディレクションを任せると言う手法で再構築し、発信性、創造性の高い企画を少し冒険でもやっていくことにしている。ホール主催事業全体としては、逆に親しみのあって客の来やすいコンサートも導入し、企画の色彩のグラデーションを豊かにする、と言う考え方である。政令指定都市の会館としては、他にもやるべきことは数多くあるが、現在のリソースではちょっと困難だろう。きちんとしたプロパーの育成が重要。
今回のフェスティバルは野平さん。横川晴児、漆原啓子、向山佳絵子、それと林美智子の5人の出演者。今回は、結果として20世紀室内楽の大名作集になっていて、それもクラリネット入りの曲(兵士、世の終わり、コントラスツ、カトレーンⅡ)をここまでいちどに聴ける機会もほとんど無いというものだ。横川晴児さんも、初めての曲も含めこれだけ一気にやるのは貴重な体験だったと言っていた。全体にコンサートがモノトーンになるのを気にして来て頂いたメゾソプラノの林美智子さんの歌がとても良く(確かに玄人筋で話題になっているだけのことはある)、とても充実感のある2日になっただろう。
この企画で満席は望めないものの、良いお客さんが集まった。
来年は松原勝也さんである。山下洋輔や渡辺香津美とのコラボレーションと、中国の作曲家高平氏と高橋悠治さんを迎えてのコンサートがある。今年とは違ったトーンの楽しさを作れそうな気がする。どこに3年の軸としての統一感ができるか、というのは、これは企画側の密かな楽しみ。
開場時にロビーに出てみると、主催者である財団の専務と事務局長が入り口の正面に立って「いらっしゃいませ」と大きな声を出している。今年から、職員が声出しを積極的にやろう、と言うことを確認したのだろうか。実はカザルスホールでも第一生命でも行っていない。だからとっても新鮮。25年ほど前に、コンサートエージェンシームジカ(一昨日倒産してしまったが)が、アルバイトのレセプショニストを雇い、日比谷サービスに替わって案内をしていた時代がある。帰りがけに「ありがとうございました」とみんなが大きな声を出していたのを見て新鮮に感じて以来。東京ではそれまで無かったのですよ。
まあ客商売だから当たり前とも言えるが、あれは貸ホールの立場ではしにくい。これはどこでもやるべきだ・・とは言わないが、やはり主催者の工夫の一つであろう。
さて、響ホールはシューボックスのホールだが、やや幅の広い、空間感の豊かな会場である。音響的にいうと、音の最適ポイントを探すとか楽器のバランスの取りやすさという意味では、他のシューボックスの会場と同様に、決して簡単ではない。昔、数住さんの時代に動物の謝肉祭とかメンデルスゾーンの八重奏曲の様な大編成の室内楽では、並び方に奥行きが必要なので、位置取りが難しかった記憶がある。
しかし、良いポイントを見つけると音響はとても良く、聴く人の満足度は極めて高いだろう。その意味では、ホールに良い耳を持った舞台技術者がいて、常にアコースティックを聴いて的確なアドヴァイスをしてくれるようなことは大事かも知れない。
響ホールフェスティバルは、オープン以来行ってきたのだが、今年から交代で三人の演奏家(野平一郎、松原勝也、佐久間由美子)にディレクションを任せると言う手法で再構築し、発信性、創造性の高い企画を少し冒険でもやっていくことにしている。ホール主催事業全体としては、逆に親しみのあって客の来やすいコンサートも導入し、企画の色彩のグラデーションを豊かにする、と言う考え方である。政令指定都市の会館としては、他にもやるべきことは数多くあるが、現在のリソースではちょっと困難だろう。きちんとしたプロパーの育成が重要。
今回のフェスティバルは野平さん。横川晴児、漆原啓子、向山佳絵子、それと林美智子の5人の出演者。今回は、結果として20世紀室内楽の大名作集になっていて、それもクラリネット入りの曲(兵士、世の終わり、コントラスツ、カトレーンⅡ)をここまでいちどに聴ける機会もほとんど無いというものだ。横川晴児さんも、初めての曲も含めこれだけ一気にやるのは貴重な体験だったと言っていた。全体にコンサートがモノトーンになるのを気にして来て頂いたメゾソプラノの林美智子さんの歌がとても良く(確かに玄人筋で話題になっているだけのことはある)、とても充実感のある2日になっただろう。
この企画で満席は望めないものの、良いお客さんが集まった。
来年は松原勝也さんである。山下洋輔や渡辺香津美とのコラボレーションと、中国の作曲家高平氏と高橋悠治さんを迎えてのコンサートがある。今年とは違ったトーンの楽しさを作れそうな気がする。どこに3年の軸としての統一感ができるか、というのは、これは企画側の密かな楽しみ。