つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

人気が出るのもわかるかな

2006-01-29 16:14:43 | ファンタジー(現世界)
さて、とうとう買ってしまったの第425回は、

タイトル:マリア様がみてる
著者:今野緒雪
出版社:集英社コバルト文庫

であります。

たぬきさんとのコメントのやりとりに出てきて、「買うとき」「読んだとき」「売るとき」の3段階で恥ずかしいと言うのを見て、これは読むしかない! と思って早速(たぶん)1巻を購入。

まず感想。

けっこう、いい……(笑)

これも「乃木坂春香の秘密」同様、いかにもなお約束ものではあるけれど、そのお約束がおもしろい。
と言うか、本書のいちばん初っぱなに書かれた言葉。
「ごきげんよう」
いわゆるお嬢さま属性が持つ、定番中の定番の挨拶言語。これを見た瞬間、私の頭のどっかでスイッチが切り替わったね(笑)

そういうものだとね。

さて、舞台は挨拶に「ごきげんよう」が挨拶の基本である私立リリアン女学園という幼稚舎からある一貫校の女子校。
ここに通う平凡(?)なお嬢さまである福沢祐巳が主人公。

このリリアン女学園、いつごろからかはわからないが、高等部には「姉妹」(スール)と呼ばれるシステムがある。
ロザリオを授受することで成立するこのシステムで、姉となる先輩は妹となる後輩を指導していくことで、清く正しい学園生活を受け継いでいくことになっている。

高等部に進学して、まだこの姉がいない祐巳は、ある朝、憧れの先輩である小笠原祥子に呼び止められ、セーラー服のタイが曲がっていることを指摘され、ついでに直してもらう。
その場面を授業以外はカメラを持ち、生徒を撮影するのが好きな写真部の武嶋蔦子に撮られていた。

この写真をもらう条件に、写真を文化祭のときの展示のパネルにすること、そして祥子の了解をもらってくることを突きつけられる。
結局、やっぱり憧れのひとと一緒の写真の誘惑に負けた祐巳は、祥子がいるはずの山百合会(生徒会)が利用している薔薇の館に赴く。

ちなみに、この山百合会は紅白黄の薔薇さま3人で構成され、その妹となった生徒たちが生徒会活動を行うことになっており、祥子は紅薔薇さまの妹として「紅薔薇のつぼみ」と言う二つ名を持っているため、薔薇の館にいる、というわけ。

……と、薔薇の館に来た祐巳と言い出しっぺの蔦子は、そこで憧れの先輩たちがいるはずのところで、場違いな大声を聞く。
何なのかよくわからないまま、祥子がいる部屋のドアを開けようとしたところへ、タイミングよくドアが開かれ、祐巳は祥子とぶつかってしまう。

祐巳を気遣う祥子は、だいじょうぶだと言う祐巳に、「お姉さまはいて?」と尋ねる。
もちろん、いないのでいないと答える祐巳。

そして次の瞬間、祥子は居並ぶ紅白黄の薔薇さまたちに堂々と宣言する。
「私は、今ここに福沢祐巳を妹とすることを宣言いたします」と。

と、序盤はこんな感じ。
ストーリーは、紅薔薇のつぼみたる祥子が妹宣言をしてから、文化祭で山百合会が行う演劇シンデレラまで。
この間に、山百合会に関わり、妹ではないながらも祥子と親交を深めていく姿などが描かれている。

前半はとてもテンポがよく、いかにも清楚なお嬢さまのはずの薔薇さま3人組にいじられたりする姿が読んでいておもしろい。
後半に行くに従って、主役であるシンデレラ役を拒否する祥子の姿やその理由などが明らかになったりと、ややテンポは落ちるが暗すぎず、ラストに結局祥子と祐巳が姉妹になるための展開として似合っている。

しかもどこからどうみても「ありえねぇ」と言うお嬢さま学校で繰り広げられるものだけに、ベタな少女マンガや少女小説は無理、というひとにはまず読めないだろうね。
展開やキャラ設定は、お約束の塊。
ノリがけっこうよくてさくさく読めるので、読めるひとなら、軽~く読むのにはいいんだろうとは思うんだろうけどねぇ。

あ、そうそう、もうひとつ、百合なのでそれがダメなひとも手を出さないほうが吉。
と言うか、大吉。
触ると大凶(笑)

とは言いつつも、私の場合、こんなんありえねぇ~! とか、さんざん笑ったけど(笑)

まぁでも、やっぱりこの一言に尽きるかな。

やっぱり、お約束っていいね(笑)



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