つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

全力で笑えっ!

2006-01-24 01:03:50 | ファンタジー(現世界)
さて、珍しく二冊目も拾ってみる第420回は、

タイトル:バッカーノ!2001
著者:成田良悟
文庫名:電撃文庫

であります。

『バッカーノ!』の五作目。
途中の三作は? と聞いてはいけない。
こういう読み方は邪道だと思うのですが、今回は番外編らしいのでお許しを。

エルマー・C・アルバトロス。
笑顔に執着し、ハッピーエンドの為には手段を選ばない男。
彼の出現が、外界と隔てられた村をじわじわと追い詰めていく。

フィル。
痛みしか与えられず、笑うことを忘れた少女。
彼女は使い捨てられている、一人……また一人と。

セラード・クェーツ。
自分以外の不死者をすべて滅し、孤高たらんとした男。
もはや現世にその姿はなく、生き延びた者達は安全を伝えるべく、各地へと飛ぶ。

年数で解るように、時代はセラードを滅ぼした後です。
行方不明だったエルマーと会うために、マイザーさん+三名の不死者が訪れた奇妙な村、そこには村人も知らない秘密が……といった話。
秘密と言ってもさほど大仰なものではありません、飽くまでキャラクターを書くための小道具の一つに留めている感じです。

で、肝心のキャラクターですが、相変わらず人間臭くていいです。
各章タイトルである『喜怒哀楽』と四人の不死者を対応させてるのも上手い。
敢えて気になる点を挙げるなら……この人達って数百年生きてるとは思えない、くらいでしょうか。

特に一人、と言うならやはり主人公(?)のエルマー。
各キャラが彼の性格について色々推測するけれど、本人はそこから斜め45ズレたところを浮いてるのがなかなか楽しい。
あとは武闘派不死者のナイルかな。「あえて言おう」の繰り返しが気になるけど、終盤、フィルに説教喰らわすくだりはかなり好きだなぁ。

一作目のように様々な出来事が絡み合い、ラストで収束する妙味はありませんが、初めから終わりまですっきりとまとまっています、オススメ。
以前気になった『……』の濫用がなくなってるのもポイントかな、その代わり『――』がやたら多くなったけどね。(爆)



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