つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

生き残りゲーム

2006-01-03 16:21:55 | ファンタジー(異世界)
さて、いつものごとくふらっと手に取ってみた第399回は、

タイトル:七姫物語
著者:高野 和
文庫名:電撃文庫

であります。

お初の方です、受賞作と言うことで手を出してみました。
いわゆる『一行一段落』しかも一人称な文章は好みじゃないのだけど、敢えて眼をつぶります……多分、幼い主人公の心情を表す効果があるに違いない。(祈)
なんでそんなに甘いかって言うとイラストが好みだから――じゃなくて、私がデビュー作というものに弱いからです。(前にも言ったっけ?)



三年前の冬、寒さに震えていた私はあの二人に出会った。
背高のテン様と嘘つきのトエ様、彼らは独りぼっちの娘を探していたのだ。
私がトエ様の袖を掴まなければ、そのまま別の娘を拾ったに違いない。

トエ様は私に名前を付けた。
カラスミ――七月の東和詠み名。
僕らと来るならそう名乗りなさい、それ以外は何も言わなかった。

テン様が言った。
自分が将軍、トエ様が軍師、そして私がお姫様、三人で天下を取りに行こう、と。
その時の私は、天下が何かすら知らなかった。

七つの主要都市に七人の姫君が立ち、天下を伺う。
その内の一人、それが私。
東和七宮、空澄姫殿下。



幼女と仲良く天下取りですか?

すいません、冗談です。
テンとトエに拾われた時が九歳、現在進行形で十二歳な主人公ですが、そーゆー類の話ではありません。

年上のおにーさん二人に挟まれて女の子女の子してた主人公が、立場を自覚し始めるまでの成長物語。
戦国の七雄のトップを全員女王にしちゃったようなシチュエーションながら殺伐とした雰囲気はなく、可愛らしいお話になっています。
イベントはそう多くありませんが、キャラの個性は出てます……もっとも、テンとトエの極甘っぷりを見る限り天下が取れるとはとても思えませんが。

子供っぽいようで、時折、残酷な割り切りを見せるカラスミを好きになれるかが評価の分かれ目でしょうか、私は結構好きです。
忍者チックなボディガードや現場に出張ってくる武闘派お姫様とかお約束な方々も出ますし、総じて言えばキャラ物と言えるでしょう。

眼をつぶるって言ったけど、やっぱり文章にも触れておきます。
行頭と、下が「白い」のは……まぁ、幼くておとぼけな感じの主人公に合っているし、可愛らしい雰囲気を醸し出している、とは思います。
でも、「ならば」「しばらくして」「そうして」で一行取るのはどうにかして下さい、ひどく疲れる……考え方古い?

文章が気にならないなら読んでみてもいいかも。
天下取りの途中でラストを迎えますが、一つの物語としてはこれで終わりでいいかと思います、と言うより、続きいらない。



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