つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

こっちのラノベ

2006-01-22 19:41:01 | ファンタジー(現世界)
さて、電撃を男性向けとするならの第418回は、

タイトル:魔女の結婚
著者:谷瑞恵
出版社:集英社コバルト文庫

であります。

電撃だのスニーカーだの、いちおう男性向けラノベに括られるであろうラノベばっかりだったので、たまにはこっちのラノベも読んでみるかと言うことで、適当にコバルト文庫の棚を見ていたら結構シリーズとして続いていたみたいなので購入。

舞台は中世ヨーロッパ。
ケルトのある一族の巫女姫であるエレインは、カエサル率いるローマ軍の侵略に遭い、巫女姫として村の者を「歓びの野」へ導く。
つまり、全員で服毒自殺を行う。

エレインもおなじように毒を服み、死んだ……はずだったのだが、ひとりの青年魔術師によって目覚める。
しかし、目覚めたそこはローマ帝国などとうの昔に滅んでしまったあとの時代。
1500年もの長い時間、エレインは眠り続けていた。

しかし、巫女姫でありながら、ふつうの少女のように「運命の人」との結婚を望んでいたエレインは、かつて自分が生きていた時代とは違うにも関わらず「これも運命の人が、この時代に待っているからだ」と信じて、自分を目覚めさせた青年魔術師にくっついて、青年魔術師が依頼を受けた湖岸の古城へ向かう。

そこで出会った依頼対象である貴族の少年ステファン、かつて親友であった女戦士ノーナの生まれ変わりとしか思えない剣士ミシェル、吟遊詩人のアート、そして口も性格も悪い青年魔術師のマティアスを交え、ステファンの病気を治すために行動しながら、マティアスの心の変化を中心に物語は描かれている。

感想、微妙……

おもしろかった? と聞かれれば、おもしろくなかった、と答える。
でも、じゃぁぜんぜんダメ? と聞かれれば、そうは言わない、と答える。
なんか、目録の「△」にとてもふさわしい、かなり中途半端な感じ。

キャラも立っているかと言われれば、微妙。
立っているようで立っていないようで、これも中途半端。
話も、中世ヨーロッパと言いながらも、雰囲気に乏しい。
ヒロインのエレインはケルト人で、マティアスもドルイド(ケルト人社会における神官のようなもの)の一種のように描かれているが、こちらもケルトの匂いはほとんどしない。

まぁ、ラノベだし、そういうものだと思って読めばいいのかもしれないが……。

あと文章もいまいち。
表現力に難ありと言っていいだろう。
ときどき……と言うより、ぼちぼちくらいの割合で、描写が迷う。
読んでいてすんなりと場面転換がされない、キャラの心理描写や行動の変化が掴みにくいなどのまずいところがある。

でも、すごい下手かと言えば、まぁ、そうでもなさそうな……。

とにかく、個人的にはとても中途半端で、かなり消化不良。
ストーリーは、まぁ、これはまずいと言うところがなかったので、もろもろの目につくところを差っ引いて、やっぱり「△」が似合う作品。



――【つれづれナビ!】――
 ◆ 『ライトノベル一覧表(その2)』へ
 ◇ 『つれづれ総合案内所』へ