つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

それも入るんかいっ!

2006-06-25 17:57:29 | 事典/図典
さて、人間から人外への第572回は、

タイトル:天使の事典 KNOW YOUR ANGELS バビロニアから現代まで
著者:John E. Ronner 訳:鏡リュウジ・宇佐和通
出版社:柏書房

であります。

その名のとおり……と言うか、これ以上説明のしようがないくらい、タイトルどおりのストレートな本。

構成としては、原書のアルファベット順から五十音順に改められており、誰もが知っている大天使ミカエルなどのキリスト教の天使はもちろん、ユダヤ教、イスラム教と言った一連の宗教に登場する天使も扱っている。
また、堕天使ももともとは天使と言うことで、サタンやルシフェル、ベールゼブブなどの悪魔も収録。

さらには天使に関する詳細な著述を行ったトマス・アクイナスなどの人物や、テレビドラマや映画に登場する天使などもあり、はたまた天使関係の本を著した作者や、いわゆる天使関係のフリークで作られた団体まで入っていたりする。
(おまけに、そこの連絡先住所まで書いてある)

挙げ句の果てには、菩薩まで天使扱いである。

……をい……。

確かに、訳者あとがきにあるように、内容的にはけっこうお手軽で、本の下段2センチ程度のスペースに解説や天使に関する宗教画などが挿入されており、文字だけではない魅力があるにはある。
事典としても、ただ単に天使だけの紹介ではなく、天使にまつわる周辺の宗教家や団体、概念などにも触れており、広く浅くにはいいかもしれない。

……しれないが……、無節操すぎるぞ。

確かに、神の意志に従って人間に影響を及ぼす存在、と解釈すれば何とか理解できる神話や他宗教の神もあろう。
とは言え、菩薩は如来とは異なる存在ではあるが、仏は仏で神の僕というわけではなかろうし、ヴァルキューレもオーディンの命に従って活動はするがれっきとした女神であろう。
それを一緒くたにして「天使」と銘打った事典の一項目にするのもねぇ……。
もともとアメリカで出版されたものだが、向こうの人間にいらん誤解を与えそうな内容だ。

まぁ、だからと言ってまったく見るべきところがないかと言えば、ときおり見られる天使に助けられたとする体験談は興味深い。
いろいろと思うところはあるが、それを天使にせずにいろいろと別のに当てはめたりしていけば、物書きのひとつのネタにはなるかな、とね。
……逆に言えば、それくらいしかおもしろみがない、とも言えるが(笑)

まぁ、天使だけのことでいいながら、Wikipediaで検索したほうが早いし金もかからないのはホント(爆)