思い出の釣り・これからの釣り

欧州の釣り、竹竿、その他、その時々の徒然の思いを綴るつもりです

Steely blue....

2021-02-13 14:10:59 | ハックル/Hackles

春を待つこの季節、シーズン入りを前に良く目を通すのがこの名著「A Dictionary of Trout Flies」。英国での出版は戦前ですが版を重ねて70年代までの毛鉤を網羅する毛鉤の正に辞書。それも単にレシピが書いてあるだけでなく夫々の毛鉤にまつわる物語が書いてあって読み物としても面白いものです。

その辞書の中でもとりわけ関心を引く毛鉤は幾つかあり、その一つが以前も紹介しておりますBlue Uprightという毛鉤。英国南西部デヴォンシャー等を中心に全土で良く使われかつ釣果を上げている毛鉤。特に春の速い流れの中で威力を発揮するとあります。辞書が特に効果的とするのが、タップス・インディスペンサブルを考案したR.S. AustinのBlue Uprightのレシピ。タイイングシルクはパープル、ボディは繊毛を取り除いたピーコックハール、特にピーコックの羽の目玉部分の脇に生えるピーコックハールが模様がはっきり出て宜しいとのこと。これは全く問題ないのですが、R.S. Austinの毛鉤に特徴的なのが素晴らしいものの、入手が極めて困難、今日ではまず不可能なハックル。Blue Uprightに指定されているハックルは、「Steely blue game-cock's, sharp, bright, and nearly black, but with a definite blue centre」というもの。ミディアムからペイルのブルーダンハックルはありますが、殆ど黒に近いがブルーのセンターを持つスチールに近いブルーのハックルというものは全く頭に浮かびませんでした。
ある時ペラペラと辞書をめくっていた時に頭に浮かんだのが、Blue Andalusiaのハックル。殆ど黒にしか見えないものの、中央部がスチール色・グレー色のものがあったと思い漁って見ると数年ぶりに上のハックルが出てきました。

Austinの指定するハックルのうち、Sharp、BrightはOK。Austinの住んでいたデボンシャーは素晴らしいブルーダン、ハニーダン、ラスティーブルー等を生み出すゲームコックの産地だったことも与ってでしょう、タップス・インディスペンサブルの場合は「金色が厚く乗った薄いブルー」のハックルを指定するなど、今日オリジナルに迫ろうとする試みを悉く粉砕するレシピを提示している訳ですが、nealy black steely blueは取り敢えずこのハックルで良しとしましょう。

上のケープから抜いたハックル。バーブの先端はブラック、センターは多少赤みが感じられるグレイ。

白い背景ではこのような感じ。

バーブには太陽の光による煌めきがあります。

白い背景ではセンターが暗くバーブは黒が過疎になるので透明感が生まれます。

このハックルで巻いた毛鉤。1番(14番)のダウンアイのスネック鉤に巻きました。ウェットフライなのでアップアイを使いウィングの後ろでタールノットにする必要はありません。

白い背景では全体が黒っぽくなります。

ハックルのバーブの根元は確かに多少薄い色で先端は黒。光を反射しております。

白い背景では全体が暗く浮き上がり輪郭もはっきりしてより釣れそうな感じ。
養沢で黒っぽいダン・スピナーが舞い踊る3月〜4月の肌寒い季節に、この毛鉤をアップストリームに投げて会心のウェットフライの釣りをしたいものです。ウェットの釣りだと竿は長い方が有利なのですが、どの竿にお供させましょうか。シーズン入りが待ち遠しい2月です。

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4 コメント

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Unknown (おじゃまる)
2021-02-13 19:08:08
私もハックルにはこだわるのですが、私がこだわるのはウエットフライのハックルがほとんどです。ドライフライと違い水中に入り魚から丸見えになった時、魚の反応は素直です。色も見分けることができるのか。本土に住んで管理釣り場にも行けたころには、すれきった魚たちを相手に色々なハックルを試しました。ボディー材もそうですが、沈めるフライの魚の反応はすこぶる変わります。
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イイですねぇ。 (yugawaski)
2021-02-13 20:52:46
こんばんは。
全体のシルエットもさることながら、スネックベンドのフックに巻くとグッとクラッシックになりますね。
最近のトレンドではバーブレスなのでしょうけれど、そうすると全体の雰囲気の雰囲気が…
弱々しく水面に浮かべるのも良さそうですね。
初夏の湯川でもこんな感じのカゲロウが飛びますよ。
水面に置かれたこの毛鉤が、グラリとバランスを崩した瞬間に鱒が飛び出してくる光景が目に浮かびます。
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上流へのウェット釣り (budsek)
2021-02-14 08:28:09
おじゃまる様
コメント頂き大変ありがとうございました。
この春はアップストリームのウェットフライ釣りをより意識してやろうと目論んでおりまして、まずは養沢でと思っております。パートリッジアンドオレンジで十分とは思いますが、ブルーアップライトを巻きたいと思っていたところ、このハックルを思い出しました。効果があるのかないのかは使ってみないとわかりませんが、何か新しいものに挑戦するのはワクワク致します。
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鉤のバーブ (budsek)
2021-02-14 08:34:01
yugawaski様
コメントを頂き大変ありがとうございました。
コックハックル を使うので、視認性が極めて低いので実際はどうなるか分かりませんが、ドライも出来るかなと思って巻いてみました。
古い鉤のバーブですが、昨年巻いたブラインドアイの古いスネック鉤のバーブを実釣の際潰したら、鉤先が折れてしまいました。アイ付きのスネック鉤ではバーブを潰しても未だこのような事態は起こっておりませんが、昔の鉤ですので慎重に扱いたいと思います。
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