思い出の釣り・これからの釣り

欧州の釣り、竹竿、その他、その時々の徒然の思いを綴るつもりです

米英竹竿の違いの軽い考察(その二)

2020-12-27 11:18:21 | Hardy Palakona

軽さを追求する米国竹竿。それに対する答えとしてHardyが作り出した軽量竹竿。その代表選手はDe Luxeで、リング(ガイド)はスネークではありませんが、竿尻のボタンもなくフェルールはロック機構の無いサクション。こうした軽量化を計る一方、特別注文があれば、竿を地面に突き刺し、誤って踏んでしまったりという事故を防ぐ事の出来るスピアをつける事も可能でした。
上は1935年製De Luxe 8'。下は1938年製De Luxe 9'。下の竿にはスピア、「Hardy's Patent 'Reversible' Spear and Button」が特注で装着されております。

下の9'竿はコルクグリップも長いのですが、スピアが仕込んであるためかリールシートも長くなっております。

ボタン部分のアップ。継ぎ目が隙間なくぴったりと合っており、一件一体成型されている様な印象です。

側面からボタンを見たところ。

ボタンを捻っていくと。

一体成型ではなくボタンは二つのパーツで出来ていることが判ります。

ボタンの外側を外すと、

スピアの部分のみのボタンが残ります。

スピアを竿尻から抜いて行きます。

スピアは竿尻に納められております。

スピアとボタンを構成する二つのパーツ。

スピアを抜いた竿尻。洋松材でしょうか、軽い木材が仕込まれスピアを固定する様になっております。

ボタンとスピアをスピアが出る様に合わせ、

繋ぎ目が感じられない精度でぴったり合わせます。

ボタンを竿尻に捻って付けていきます。

捻り終わるとスピアは直立。

幅広い面はカメラが映るくらいピカピカ。軽量のアルミ製です。

上から見るとこんな感じ。

継ぎ目もぴったりの精度です。
軽さを追求する米国竿では考えられない装備ですが、竿を踏みつけてしまわない様に精巧な部品を追加したいという釣り人の要請に答えた仕掛け。スキューズには余計な重さであると怒られてしまうかも知れませんが、釣りという遊びに使う竿という玩具に潤いを与えると思うのは私だけでしょうか。
尚、今から10年以上前に紹介したHugh Falkusは夜の釣りになるシートラウト釣りにおいてスピアは余分なラインがリールに絡む事を防ぐ素晴らしい役割があるとして、スピアが仕込んでいない竿は竿尻にショットガンの薬莢を被せ竿じりを長くしたりとの工夫をしております。機能重視に対し耐久性・安全性・玩具の楽しさも味付けした英国竿も中々捨てたものではないと思う年末の一日です。

コメント (27)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 米英竹竿の違いの軽い考察 | トップ | フランスハックル(Gris Clair) »
最新の画像もっと見る

27 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (おじゃまる)
2020-12-28 01:15:13
そのスピアの格納庫なのですが、私は少し違った考えをしています。スピアの入るフィラー部の溝の切り方がたしかリールを装着した状態で竿尻からのぞくと - マイナスに溝が切られていたと覚えています。スピアなしのモデルでもアルミのエンド金具を外すと必要ないのに同じ溝が切られています。強度を出すためであれば縦に 1 いち の字で切ればいいと思うのですが横なのです。なぜなのか非常に悩んでおりましたが、私が思ったのは、バネ に使っているのではないのかという考えです。うすいプラスチックがかぶさっておりますがこれも柔軟に力が加われば曲がります。ダブルハンドのキャスティングでは下手を動かすことによって上手と下手の間をバネのように使うのですが、まったくこれと同じしくみにするための構造のように思えます。しかしながらリールフットが金属のため余程の考えられた構造でなければリールシート部分までパワーを発生させるための部分に使うことは難しいと思われます。マーベルやCCDフランス トライアンフといったモデルですとフルコルクでバットエンドまでテーパーがついており握る位置によってパワーが変わります。前記2本で実験してみました。これらのモデルはリール装着部を平らに削ることなく真円のままです。ギャリソンやぺゾンも同じです。ブランクス後端までテーパーがついていてコルクがクッションになっていれば金属製のフットでも柔軟にブランクスが曲がりパワーを発生できる構造なのかもしれません。ちなみにギャリソンはコルク同士は接着していません。そのかわりにエンド部はウッドを使用してリールシートエンドキャップを装着しているためにキャスティング時にエンドキャップ部を腕に押し当てればブランクスにダイレクトに力が加わりバネの働きをする構造と思われます。リールを付けた状態でのキャスティングのフィーリングとリールを外してキャスティングしたのを比べたことはないのですが、一度やってみなければいけないことだと思っています。この理論で作られていればリール有り無しでも振り心地は変わらないはずです。ハーディーがなぜあのプラスチックフィラーのリールシートにこだわったのか謎が解けるかもしれません。ギャリソンの竿を作っている動画はH好きY好きさんのブログコメントでも紹介しましたが Creating the Garrison Fly Rod を参照してください。ハーディーもギャリソンもぺゾンも何も考えなしで材料や構造を考えているとは思えないのです。ギャリさんなら何も考えずに作れるでしょうけどね。(笑)
返信する
Unknown (yugawaski)
2020-12-29 12:24:25
こんにちは。
リバーシブルのスピアー、これを初めて目にした時は衝撃を受けたものです。
最後はチープなプラスチック製になってしまいましたね。
以前は別体のスピアーをねじ込む方式でしたから、紛失もあったでしょうし、何より持ち歩くのが面倒…よく考えてあると思います。
ホートンのような長くて重い竿は、スピアーを出してエクステンションバットのようにして使うと投げやすくてイイですね。
たまにスピアーを収納する木材が水に浸かったのか膨張してきつくなっているものも見受けられます。
マスプロメーカーだからこその凝ったパーツで、日本のビルダーに作らせたらいくらかかるものか、一度聞いてみたいと思っています。
返信する
スピア (budsek)
2020-12-29 16:35:05
おじゃまる様
コメントを頂きありがとうございました。
今、手元にあるスピア付きの竿、Halford 1912 Model 9'6'' (1937年製)、De Luxe 9' (1938年製)、De Luxe No.2 (1944年製)、LRH Dry 8'9''(1956年製)を其々確認致しましたが、私の竿はリールを装着した状態で竿尻から見るとIの字に切れ込みが入っております。また、スピアの長さ5.5cmですので、少なくとも竿尻から5.5cmは竹のブランクスは入っておりません。De Luxe 9'は275.5cmありましたので、竹の部分は270cm、9フィートの274.32cmに比べ4.32cm竹のブランクスが短くなります。通常のDe Luxeに比べスピアを仕込むとブランクスをそれだけ短くしたのか?それがアクションにどの様な影響を与えたのか、謎であります。ギャリソンの動画拝見致しました。ブランクスの先端にキャプをつけそこにコルクを押し込んでいく、つまり竿尻までブランクスが通っている、アクションに影響を与えると思います。ハーディーが柔軟性のないベークライトを使ったのはブランクスの延長部分としてアクションへの影響を求めなかったからということはないでしょうか。
ギャリソンは竹を鉈で割っていき、節の裏側を道具を使って割り落としておりましたが、1995年アーニックのハーディーを訪問した際購入したビデオ映像では、ハーディーは竹は自動ノコギリで切っていき、節の裏は自動ヤスリにあて削って竹の切片を制作しておりました。どちらが竹への負荷がかかっているのか、楽しみであります。
返信する
仕込みスピア (budsek)
2020-12-29 16:48:48
yugawaski様
コメントを頂きありがとうございました。
私もこのReversible Spearに初めて触れた時は本当にその精巧さとアイディアに衝撃を受けたものです。今だにその驚きは残っていて、スピアがある竿は意味なくスピアを出して使ったりしております。このスピアが標準装備されるのは私の理解ではドライフライ用の竿ですが、奇妙なことにHardy Marston 10'4''のセミダブルハンド竿(Bragden:止水でのボート釣り用?)にもスピアが付いております。こうした玩具として面白い、機能のみではない緩さが英国的なのかと思って使っております。
返信する
Unknown (おじゃまる)
2020-12-29 17:37:21
納屋にしまってあったLRHドライフライとフェアリーとチェックしてみましたが、縦ですね。(笑)スピアなしのデラックスで私の手元に届いたときにリールがまっすぐつかずおかしいと思い触っているとピンが折れており、のぞくと横溝になっていました。なぜハーディーがあのプラスチックフィラーの変わった構造を選んだのか謎だったのですがさらに謎が深まってしまいました。(笑)スピアがあっても地面にさしてリールが付いた状態ではよほどの深さを刺さなければ自立はせず自分にもたれかけさせるぐらいにしか私には使い道のない装備でほかにあの溝の理由があるように感じています。また悩みが増えました。
返信する
ハンドルの内部 (budsek)
2020-12-29 18:22:05
おじゃまる様
Hardy's Collectors' Guideを見るとHalford Pricelessのグリップの断面図がありそれを見るとグリップの中のある程度のところまではブランクが入っていることが分かりますし、White Wickham FairchildのX線写真は竿尻までブランクが入っていることが分かります。ただ一方ベークライトのリールシートが付いている竿の中がどうなっているのか解剖情報がないため不明です。米国竿でもリールシートがメタル製の竿がありますが、ハーディーがそれを模倣したということは考えられませんでしょうか。また、Pezon et MichelのSawyer Nymph竿の様にグリップはコルクのみで4フィートx2のブランクスのみが竹という竿もありアクション次第ではグリップ・竿尻までブランクが通る必要もなかったのではないでしょうか。。。
返信する
Unknown (おじゃまる)
2020-12-29 19:35:41
JJH氏時代には他社より優れたいい道具を作り出すための工夫を生み出してきたメーカーですので何かあると思っております。私もこのプラスチックフィラーの竿のコルクまではがしとって見ているのですが、プラスチック部分ははがしたことがありません。過去に金属、コルクともに作っていたハーディーがなぜこのリールシートを長く使いつずけたのか。構造が理解しずらいために真似ができないといった利点はあると思うのですが、パーツ数も多く複雑で組み立てにも手間がかかります。キャスティングを学ぶことで見えてきたものがまた遠くにいったような気がしますが追求していきたい部分です。情報ありがとうございます。
返信する
Unknown (はいからはくち)
2020-12-29 21:01:39
はじめまして いつも楽しく拝見させて頂いております。
昔 折れたLRHドライフライを分解した時は コルクの下は洋松材とおぼしきウッドが出てきた覚えがあります。ウッドはブランクよりかなり太く ウッドで下支えして グリップの部分だけコルクを被せ リールシートの部分はベークライトを被せてアップロックのリールシートを着ける手法だった記憶があります。 確か1955年製でしたのでスピアーはついておらず 下までソリッドの木でした。 これは私の推論ですが ベークライトのフィラーは 木やコルクだとリールフットによる傷や痩せが多発する為 ベークライトを被せてそれを防いだのではと思います。金属では重さとコストがかかる為 加工しやすく安いベークライトにしたのでは? 修理の際もその部分は再利用出来ますし Wフィッティングのリールシートよりはグリップ修理が楽なのではと思えます。只 後年グラスのリチャードウォーカーやファイバーライトパーフェクションに ブランクそのままリールシートというモデルもあり ブランク全体を活かした竿を作ろうとしたのかとおぼしき痕跡もあります。(たまたまブランクの径が太くてそのままリールシートにしただけかもしれませんが… 軽量化にはなりますね)
当方所有の67年製ゴールドメダルや最初期JETはベークライトのフィラーの半分位までブランクがきてます。その下はねじ込み式のアップロックのリールシートの金具部分です。ブランクの弾力を活かす作りにはなってません。やはりハーディーもそこまでは考えてなかったのかと思います。
返信する
Unknown (おじゃまる)
2020-12-29 22:17:56
はいからはくちさん情報ありがとうございます。私もリチャードウォーカー1本持ってます。トップとバットエンドの寸法差が異常に大きいバズーカテーパーとでももうしましょうか。古いブルースウォーカーのダブルハンドなみです。しかしながらあの竿にはスピアはありません。スピア付きシングルハンドの時代のダブルハンドにもスピアはありませんし、現在に至るグラス カーボンのシングルハンドにもついたものはございません。必要であらば現在販売されているモデルにもついているあるいはオプションであるはずなのです。なぜJJH氏LRH氏の時代のシングルハンドに必要だったのか。謎です。ハーディーがレナードの真似をした。よく聞きますがハーディーは数々の特許を持っています。新たな技術を産み出していた会社なのです。LRH ドライフライ 私も途中までばらしましたが、グリップ内部でブランクスとリールシート用の木をくっつけてあり、スエルバットのような形状で継ぎ目にタコ糸を巻いてなだらかにしたうえでコルクが接着されていました。ちなみにコルク側のポケットは真鍮製で2本のビスで止められていました。私が見たスピアなしのバットエンドなのに溝が切られていたものは修理品だったのでしょうか。届いた時にはバットエンドのアルミのピンが折れており外れたのが気になります。溝なしのむく材の物がある情報は大変ありがたいです。コルクや材木のやせ情報参考になりました。ありがとうございました。ちなみに竿作りをしているショップのオーナーにシングルハンドのリールシート内のブランクスの反発力まで生かした竿を作ったことがおありかどうか聞いたことがありますが、5分くらい専門用語を使ってしゃべってくれましたが、そんなところまで考えて作ったことがない とのことでした。
返信する
Unknown (はいからはくち)
2020-12-29 23:06:20
おじゃまるさんはじめまして。
ブランク全体の弾性を活かして尚且つ軽量化 もしやとは思いますが ハーディーでもCCドフランス アキュラシー トライアンフ トーニーなどトーナメント系の竿は全てコルクスケルトンでしかもグリップ短いですよね? ここにも一つの解答があるように思えます。CCドフランスのスピアー付きとか見た事がありません。この辺がハーディーなりの解釈かなと思います。
返信する

コメントを投稿

Hardy Palakona」カテゴリの最新記事