「第二回昔野菜フェスティバル」のご案内のパンフレット。
今朝の新聞折り込みに。
次世代に、残したいですね。
寛政十一年農家年中行事 長谷川安道著
農家年中行事序
農家の善悪理非の二道を覚ろうとして、迷うことがある。
善道を嫌い、悪を好むものが多い。
悪い道に迷わず、善道に行くようにこの本を書く。
百姓と申すは、10人のうち9人は、文盲だ。
10人に1人は、賢い人もある。
これは私の智恵ではなく、天より授くる智恵である。
百姓たりといえども、まったく文盲無算であっては、
郷村(村々のくらし)を治めることはできない。
天道のなすところだ。
天道とは、衆生を助けてくれる約束があるから、
10名のうち1名は、智恵に明るい人を生んでくれる。
愚智文盲の人を導いてくれる。
しからば、智者は、愚者を導く事を大事にしなければいけない。
しかるに、利口発明の人が、
その道理を取り違えて愚者を馬鹿にしてだまして財宝を奪ったり
悪道に迷ったりする事がある。
田畑、屋敷、往環の境、杭、木を掘りぬいたり、
地迫り(じせぶり)=(地境を上のっとったりする)をやる者は、天罰が下る。
人を導くことに授かっている者と盗みをする者とは、雲泥の差があるのである。
天より授けられた智恵をねたみ、愚者をリーダーにするとは、
すなわち、郷村をだめにしてしまい 村を困らせてしまう。
これも天の憎しみ。
天は、愚者を導き、愚者は愚かなる故に智者を憎む。
かまうことはない。
愚者を恵むは、天の道にかなうことだ。
また長たる者が貪欲ふかくいばっているものは大きな罪となり
子孫断絶の原因となるものである。
寛政十一年(1799)9月筆を起す。
農家年中行事
一.元朝は早く起きて、風呂に入ってけがれをおとして、若水を迎える。
付け火をもやし、歳徳神ならびに諸神・諸仏へ鏡餅をそなえて拝む。
次にお茶を入れ、先祖より家の定めにより、あぶり餅(餅を焼く)、干し柿を添えてお茶をいただく。
冬ねぎの皿おき、きざみ菜、里芋、焼き豆腐の雑煮に、花かつお、の掛け塩がめでたい、
お節料理だ。
穣葉、ウラシロ、炭、昆布、栗、かやの実、みかん、いせえびなどで、蓬莱を飾り、客座に出す。
これを菓子台という。
台所のお飾りには、塩かつお、秋あじ、平目、カナガシラ、きじ、はと、昆布などを飾る。
分限にこえてぜいたくなのは甚だ悪いことだ。
一.今日(元日)は、表座敷に鍾馗(しょうき)様と元三大師の絵を張る。 一.元日には、 一.二日は 一.四日は棚さがしといって、 一.今日は、舅親(嫁さんの実家)へのお年始である。 祖父、祖母をおさめて、三助(召使)殿まで、お祝いをして、年中の辛苦を忘れ、 一.五日などは、少し暇になり、今年の家業(農作業)はいかにしようかと帳面を綴じてつくり、 一.六日には、山入りまず、山の神へ、供え物をそなえ、薪を樵(こ)り、 一.七日の七草は、(せり、なずな、五行(ごぎょう)、はこべら、ほとけのざ、すずな、すずしろ)、
それらは、一年中の悪魔を祓うための方法である。
旧冬のうちに村などの修験者が配ったお札である。
衣装を改めて、自宅の氏神様(北西の隅)より始めて、鎮守、
産宮(うぶすな)、菩提寺、 祈祷所本尊、先祖のお墓にお参りをする
けっして明日に延ばしたりしてはならない。
元日というのは今日ばかりであるので、360日に報いがくる。
だから、今日怠ければ手遅れになる。大晦日まで保証できない。
今日は、年中の月日を重ね、家業を務め何事もなく無難に年を越して行こうという
(心がけをたしかめる)日だ。
こうした喜びを親に見せ、親の喜び顔を持たんということは、
大般若の御祈祷にも勝るだろう。
さて、今日は旧冬の疲れだといって気をゆるめ、長髪、垢だらけで、女房に使われて、
台所の働き、味噌擂りなどと、大事を忘れて、小事を用いて果報を失う道理だ。
晩景に及び旧冬より整えておいた野菜、 干物、魚、鳥の献立を整え、
祖父、祖母、両親を呼んで、喜びの顔を拝むこと。
、村役人より始めて、わけへだてなく、隣村の親類、
近所の付き合いの人々に お互いにあいさつをする。
手足、無事息災に、年を取り、身も心も軽く、めでたさは随一である。
三日までには年頭のしきたりを済まして、
(次の日からの)家業の事を待つべきだ。
元日より飾ってある鏡餅などを下げて、茶事をしたり、いろいろ祝いごとがある。
舅の喜ぶ顔を拝むのは春の祝事だ。
向こうでは、椀飯(おうはん)を整えて待っていてくれる。
お舅さまは孫子を待ちこがれていて、悦んでくれるのは、「我が花聟の時、
めでためでたの若松(様よ)と、枝(も)茂(りて葉も茂)ると祝うたのは
(これ)只今のこと(をいうのか)」と
白髪をふり立て、餅を焼き、柄銚子、盃をそろえてよろこんでくれる。
姉妹、姪、甥も集まって いる中で、晴れ着の衣装や染め柄や子供の器量をほめる。
祖父、祖母の喜び場面はお目出度いことこれ以上のものはない。
田畑の反別合計を第一に書き記しを決めその土地に合わせて、
早稲(わせ)、中稲(なかて)、晩稲(おくて)、糯(もち)、糠(うるち)(耕作)面積、肥しのくばり、
麦跡など、
去年の耕作の(できあいをみて)さしさわりないようによく考えて
土地の 善し悪しなどを帳面に記帳するのがたいせつだ。
鍬入り前にたくさん積み重ねておくべきだ。
を摘んで、
米に入れて粥とし、諸神に供える。
この粥を給べ、年中の邪気を追い払う術である。
人日(七草)とて、今日の儀は種(七種)のお祝いである。
いわきの213年前・お正月の風景を書き残しています。
3年前に「なるほど歴史塾」で現代訳したものから。
これからラトブへ。
学習も本格的に。