20180818今日の一手（その740）；何を渡してもよいか

20180818今日の一手

4月7日の名南将棋大会から、KさんとMさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。


一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
銀と桂歩の交換で後手は持ち歩があります。竜馬VS成銀成銀と金 の作り合いで、ほぼ損得なしです。
玉の堅さは後手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は31竜53馬75桂と持ち駒金で4枚。
後手の攻め駒は57成銀56と 持ち駒金で3枚。

総合すれば互角です。

☆ 大局観として
後手玉は堅いのですが、先手の竜馬桂が急所にあります。また先手玉には逃走路がある（後手は小駒だけで攻めているから）ので、これなら勝ち筋がありそうに感じます。
勝ち筋はどれでしょうか。


× 実戦は83桂不成の王手。

一番厳しい手で、寄せのセオリーでは一番先に考えます。83同銀71竜（馬から行くと王手竜取りがある）85桂86玉

ここで34角が詰めろになっていて先手の負け筋でした。実戦では71飛同馬72金

馬を逃げた（44馬）ので34角

が詰めろで負けになりました。

馬を逃げずに81馬同玉21飛

角を取って先手有利でした。


△ 61金は次の手段ですが

61同金同竜71金で馬か竜を切ることになり、この後の変化と合流します。


○ 71馬がその次に考える手で

詰めろです。（厳しさでは61金よりも優っていますが結局はどれも取られるので同じことか。）71同飛同竜同銀83桂不成82玉71桂成

穴熊から後手玉を引っ張り出せば先手の成功です。詰めろですし、71同玉21飛以下は難しくないはず。

後手は71同竜の時に44角

角を打って竜を取るほうが手堅いです。86玉71角72金84飛97玉34角32飛

これくらいの展開なのですが、62金打を狙って先手有利です。


△か× 71竜から行くと

71同飛同馬の時に67と86玉84飛

83桂不成を王手で防がれてしまいます。97玉71銀21飛

44角23飛成78金79金打

難しい攻防なのですが、この図は88角成同金89金

85桂があるので困っています。


○ 63桂成は

72飛のほうを狙っています。72成桂同金62金というのが厳しい継続手になります。後手は62金打で受けることができますが、72成桂同金寄22飛14角25歩

先手の駒得で、後手の角も封じて入玉を狙うのが安全でしょう。86～75～64というルートです。あるいは67歩を取ってもらえば62歩から攻められます。

後手がうっちゃりを狙うならば41歩です。

72成桂同金22飛34角同竜

桂2枚を渡すと危ないのですが、竜の利きがあるのでまだ大丈夫です。


△か○ 86玉と早逃げすると

とん死筋が減ります。すなわち67と ならば71馬同飛同竜

44角がないですね。71同銀83桂不成82玉71桂成というのは先手優勢です。

62金打とされたら

54歩52歩63馬

角を渡しやすくなっているのでこれで十分でしょう。あわてずに攻めていけばよいです。


△ 79銀も指したい手です。

これもとん死筋が減っているのですが、62金打54歩は53金同歩成44角

角を渡すとこのラインが厳しすぎます。

角を渡さないとこれくらいです。（62金打44馬14角）

47角成が防げないので後手が少し有利でしょう。


△ 14角を嫌って15歩だと

角の詰めろです。24歩を待たずに34角同竜62金打43馬

となったとしても形勢互角くらいです。


× 24歩14角

を利かすと、34桂が質駒ではなくなります。（47角成が生じるので急がないといけません。）実戦のように83桂不成同銀71竜

桂馬は1枚しか渡しません。71同飛同馬72金

今度は81馬同玉21飛が角取りにならないので、72馬同銀52飛

くらい。85歩（詰めろ）86歩47角成

遊んでいた角を使われて詰めろがかかるようになれば負けになります。


☆ まとめ
83桂不成と攻めていくと、34に桂の質駒があり、桂を2枚渡すと85桂86玉94桂のとん死筋が生じるのでした。
63桂成も桂を二枚渡すのですが、後の34角は同竜で詰み筋を逃れているので、駒得ならばなんとかなります。

桂馬を渡さない攻め方は71馬か71竜か。どちらも王手で守られる筋があるのですが、よく読んでみると馬から行くのが正解でした。

早逃げが好手になることも多く、後手に有効手がなければ86玉が好手になる可能性が高いです。62金打から粘られると長くはなりますが、そこでゆっくりでも攻める手が残っていればよいわけです。