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名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
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20170531今日の一手(その516); 美濃囲いの受け

2017-05-31 | 今日の一手
20170531今日の一手

5月7日の名南将棋大会から、NさんとHさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。



一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
角と歩歩の交換で と金を作っています。後手に持ち歩がないので歩もカウントするのですが、さすがに後手の駒得です。(72と が銀と交換になったとして、歩を渡して角銀交換という計算です。)
玉の堅さは先手のほうが堅いです。舟囲いも案外堅いのですが、33桂と跳ねているのが薄いです。
先手の攻め駒は、65桂は駒に当たっていませんが、53に利きがあるので数えてもよいでしょう。持ち駒飛銀と合わせて3枚です。
後手の攻め駒は持ち駒飛角角で3枚。

総合すれば互角か後手よしか。

☆ 大局観として
先手の大きな駒損ですが、終盤なので比重は下がります。玉の堅さに差があるので思ったよりもひどくはありません。82との存在や、後手の桂香を拾えることから駒損は(完全ではなくても)回復できそうです。
直前は後手が64に銀を打って、72のと金で82飛を取り、64の銀で75飛を取っての飛交換です。持ち駒の銀を使って飛の取り合い、というところで差が少しつまっています。

ここでの方針は、玉の堅さを主張しつつ、攻めていくことです。そんなに急いで攻めなくてもよいですが、攻め駒の枚数は意識しましょう。もう一枚はどうしますか?


× 実戦は91と と香を取りました。57歩成同金79飛

後手は歩切れを解消し、寄せに出ました。先手の攻め駒も4枚に近いですが、普通に53歩51金引52銀では48角

が厳しいです。角銀の持ち駒ならここに銀を打ちますが、この場合は角でも大丈夫。39香などと受けて57角成では先手じり貧です。(59歩に同飛成とするのは銀の時と同じ。ただし39香49竜同銀57角成をつまらないとみれば、59歩の時に57角成か。)

さて実戦では48角は互いに気が付いていなかったのだと思いますが、53銀と急いで攻めました。
これだと1枚損するので攻め駒が減ってしまいます。53同銀同桂成同金82飛42銀81飛成

後手は52から銀を打つか、ここで51歩と受けるべきだったのですが、56歩と攻めたので21銀を食らってしまいました。

33桂と跳ねてある舟囲いが薄い、というのはこういう手筋があるからです。31玉32香22玉41飛成57歩成42竜39角

どちらで取りますか?


実戦は39同金同竜同玉48金以下、難しくない詰み筋です。
でも39同玉49竜同銀48金同銀同と同玉56桂47玉

これが詰みそうで詰みません。先手Tさんは逆転したのに残念な負け方でした。


○ 問題図で一手だけならみなさん72と だったと思います。

次に62と と取れば同金など挨拶するわけですから、実質1手で銀を取るほうが1手で香を取るより良さそうですよね。(と金は消えますが91とは81桂を取るだけの働きしかない。)
63銀には82飛

で62と狙い。44角など受けはあるとはいえ、薄いので後手は63銀よりは51銀と逃げるほうでしょう。

51銀に普通は61と ですが76角が厄介。

51と同金寄71飛に58角成

58同金57歩成同金48金

先手玉が堅い、なんて昔の話です。39銀同金同玉59飛49金57飛成

ここでまだ受けるべきなのですが、53歩なら58金同金同竜49金66角

48銀59金58金同金

これは受けきれません。

という寄り筋があるので、先に受けておくほうが易しいです。76角に67歩。

65角51と同金寄71飛

が普通ですが、攻め駒の65桂を払われてしまったのが痛く、後手有利です。以下は57歩成同金78飛

で38角成以下の寄りがあるので、58歩と受けてから寄せを考えますが、後手からは56歩47金55桂48金引57歩成

という寄せの筋があり(ただし先手の53歩も速いのでなにか自陣に手を入れる必要がある)、やや後手有利です。

そこまで考えると61とではなくて61飛

のほうが桂馬にひもを付けているのでよいわけです。76角に67歩79飛56歩

は後手が歩切れなので攻めるのも難しそう(66銀には53桂成同金66竜)でほぼ互角です。
まだ角損ですが、74歩~73歩成~62と上 とゆっくり攻めることもできます。


○ 61飛が次の候補。

76角には72と51銀67歩で前と同じことになりそう。72と を無視して58角成は21銀

でこれは先手の勝ち筋です。

57歩成同金79飛72と48角

は逆に後手の勝ち筋。
21銀22玉41竜よりも39角打のほうが速いです。

なので58歩成同金79飛には58金引

から受けます。57歩48金寄67角59歩

受けておいて72と51銀63歩、と金で攻めれば互角です。


△ 他には堂々と56歩

として、後手の歩切れを主張して受けておくのもあります。79飛72と51銀61と66角39銀

長期戦でも銀桂を取っていけば駒損は回復できます。65桂と81桂の差があるというわけです。


× あとはあまり有力な手はなくて、63歩同銀71飛

では後手に歩を渡して、と金の目標になる銀を逃げさせている感じです。


☆ まとめ
今並べている大山先生の振り飛車の時代よりも少し前か、兄弟子の大野源一先生のころは、角損とかでも飛交換で左桂が使えていれば終盤勝負、みたいなことがありました。まだ定跡などほとんどないころの話ですが、この問題図もそれに似ています。美濃囲いの堅さを意識して、駒損を回復しつつあわてないで攻める感じです。
美濃囲いの場合は手筋の寄せを食らうとあっさり崩れてしまうことがあるのですが、修復も利きます。持ち駒に銀があるのが心強いところです。

82の と金は桂香を取る駒ではなく、62銀と交換したいのです。桂香を拾うのは持ち駒の飛の役割です。81と や91と は方向違い。72と から使いましょう。
実戦でも出てきましたが、1段目に飛を打って21銀の攻め筋があるので、33桂と跳ねてある舟囲いは薄いです。33に駒を捨てて寄せる筋もよく出てきますね。

先手玉は57歩成から乱されます。9段目に飛を打たれて、57歩成同金48角を食らわないように。
76角~58角成と切られるのも怖いので、76角には67歩と受けることを考えましょう。後手は歩切れなので66歩と合わせられません。

将棋は駒得だけではないです。角損でも悪くないということは案外にあります。この問題図の場合は他の条件が良いのです。駒得は味が悪いということは多いです。






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