後手番大山先生の手を考えます。
第1問
こう指すのが升田流の手です。
A 44歩 B 44金 C 13角
第2問
どうやって攻めましょうか。
A 85歩 B 83金 C 93桂
第3問
先手のねらいも怖いところですが。
A 87歩成 B 66と C 87桂
第4問
最初の危険は遠ざかりましたが。
A 32玉 B 36桂 C 75歩
第5問
冷静な指し手です。
A 36と B 89馬 C 55馬
後手番大山先生の手を考えます。
第1問
こう指すのが升田流の手です。
A 44歩 B 44金 C 13角
第2問
どうやって攻めましょうか。
A 85歩 B 83金 C 93桂
第3問
先手のねらいも怖いところですが。
A 87歩成 B 66と C 87桂
第4問
最初の危険は遠ざかりましたが。
A 32玉 B 36桂 C 75歩
第5問
冷静な指し手です。
A 36と B 89馬 C 55馬
今日の棋譜20210601
昭和33年7月、花村元司先生と名人A級選抜勝継戦です。
花村先生の先手で相掛りです。
タテ歩取りで
大山先生は8筋の歩を交換しないのですが、それでも花村先生は75歩を突いてひねり飛車を目指します。こういう将棋を見たかったです。少し先手が損をしているとされていますが。
花村先生は美濃囲いではなくて38玉型を選び
86歩同歩同飛とぶつけます。76飛を保留してぶつければ1手得なのにと思ってしまいますが、花村先生は手損を気にしないタイプです。
大山先生は升田のタコ金、この時代の有力手で、ひねり飛車は減ったのではないでしょうか。
花村先生は金を引きます。
美濃囲いは完全にあきらめて、金無双のような形を目指します。
左金を寄せてくるのですが、68銀を移動してから寄せる方が1手得です。
腰掛銀にしても攻めることができないので、57銀型に。
大山先生は棒金で攻める以外にも、端桂から桂をぶつける攻め筋があります。これは石田流対策として(84歩の形で石田流に組まれたら)知っておくと使えるかもしれません。
88角に65歩、65同歩は同金86飛75金87飛76金で楽勝です。
37桂に64銀、桂馬は先手から交換してもらう方が攻めやすい形です。
花村先生は左から手を出せないので46歩、同歩同銀66歩、互いに右翼から攻める感じです。
85桂に65銀
79飛85歩55歩64金、大山先生は駒をさばく(攻める)のではなくて、抑え込みですから金銀交換は避けます。
74歩同歩35歩、花村先生は玉頭から動くしかないです。
86歩に97角、角は金と刺し違えてもさばきたいところです。
63金上47金67歩成、と金を作られては苦しいか。
それでも飛をまわれば、どこかで86飛が勝負手になります。今は86同飛同角88飛が王手角取りなのでだめですが。
大山先生は67と を引いて使い、23歩に13角、これは31角のほうが安全だったということになるかもしれません。
35銀に56と
36金46歩48歩55と、と金を引いて使うと手厚く感じます。花村先生はここでも86飛同飛同角は47歩成から王手角取りの筋があります。
14桂13角22歩、これは面白くなったか。大山先生はどう応じるかが難しいのですが、
33歩21歩成34歩、良い手のような、危ないような。花村先生としては最大のチャンスでした。22と(あるいは22桂成)としそうなもので、清算して34銀は調子が良いです。取らないで33玉に45桂打では足りなさそうですが、45桂打ちなどではなく前々からのねらいである86飛があるではないですか。飛を持てば詰めろです。85歩には46飛同と64角。絶対手ではないですが決まっていそうですね。
26銀と引いたので44桂
27銀33玉22と43玉、早逃げされてしまいました。
23と に36桂同銀25歩、角を取っても後手玉が寄らないので、
25同桂は47歩成から角に逃げられてしまいます。
馬を追っても交換してもらえるわけもなく
飛取りで返されるのですが、とりあえずは33と
銀をはがして24角と捨てます。こういう手が花村先生らしい終盤です。
24同玉に25桂、桂頭玉は攻めづらいところですが、後手玉は危なくなってきました。
21桂に22桂成で35銀打ねらい。
45と48桂、銀か飛を取ってもらえば。
55馬37歩35歩
46銀22馬
45銀右24歩32玉、寄せ切れませんでした。
69飛42玉35銀右26歩、駒数が足りないですが、先手玉も上に逃げだして粘りたいところです。大山先生が寄せる番で
26同銀14桂27玉
87歩成58金78と29飛、ゆっくり と金で飛を取りに行ったら逃げられます。
28歩39飛が入って88飛成、ゆっくり寄せても大丈夫でしょう。後手優勢です。
花村先生はもうひと暴れしたくて
攻めていくのですが、後手玉に逃げられると寄せの筋がないです。
それでも55歩同金23歩成はちょっと格好良い筋で、
銀馬を取り合います。でも先手玉は危なくなっているわけで、
54角36歩29歩成、飛筋がずれると36金で終わりです。
ここまで。
花村先生の終盤は、詰将棋などで鍛えたものではなくて、実戦の中で鍛えたものなのでしょう。若いころは真剣師でしたし。思いもよらない手が飛び出してくるのが特徴なのですが、97手目で当たり前の22と を指さず、121手目で24角と捨てる手が(当然その数手前から)見えているのです。
#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.46 棋譜ファイル ----
開始日時:1958/07/01
手合割:平手
先手:花村元司8段
後手:大山王将
手数----指手--
1 2六歩(27)
2 8四歩(83)
3 2五歩(26)
4 8五歩(84)
5 7八金(69)
6 3二金(41)
7 2四歩(25)
8 同 歩(23)
9 同 飛(28)
10 2三歩打
11 2六飛(24)
12 6二銀(71)
13 9六歩(97)
14 3四歩(33)
15 3六飛(26)
16 3三金(32)
17 7六歩(77)
18 6四歩(63)
19 7五歩(76)
20 6三銀(62)
21 7六飛(36)
22 4二玉(51)
23 7七桂(89)
24 3二玉(42)
25 9七角(88)
26 4二銀(31)
27 4八玉(59)
28 1四歩(13)
29 3八玉(48)
30 1五歩(14)
31 8六歩(87)
32 同 歩(85)
33 同 飛(76)
34 8四歩打
35 7六飛(86)
36 4四金(33)
37 6八銀(79)
38 9四歩(93)
39 7九金(78)
40 5四金(44)
41 2八銀(39)
42 4四歩(43)
43 6九金(79)
44 4五歩(44)
45 5八金(69)
46 4四角(22)
47 6六歩(67)
48 3三角(44)
49 5六歩(57)
50 7二金(61)
51 5七銀(68)
52 9三桂(81)
53 3六歩(37)
54 8五桂(93)
55 8八角(97)
56 6五歩(64)
57 3七桂(29)
58 6四銀(63)
59 4六歩(47)
60 同 歩(45)
61 同 銀(57)
62 6六歩(65)
63 8五桂(77)
64 6五銀(64)
65 7九飛(76)
66 8五歩(84)
67 5五歩(56)
68 6四金(54)
69 7四歩(75)
70 同 歩(73)
71 3五歩(36)
72 8六歩(85)
73 9七角(88)
74 6三金(72)
75 4七金(58)
76 6七歩成(66)
77 3四歩(35)
78 2二角(33)
79 2四歩打
80 同 歩(23)
81 8九飛(79)
82 6六と(67)
83 2三歩打
84 1三角(22)
85 3五銀(46)
86 5六と(66)
87 3六金(47)
88 4六歩打
89 4八歩打
90 5五と(56)
91 1四桂打
92 2三玉(32)
93 2二歩打
94 3三歩打
95 2一歩成(22)
96 3四歩(33)
97 2六銀(35)
98 4四桂打
99 2七銀(28)
100 3二玉(23)
101 2二と(21)
102 4三玉(32)
103 2三と(22)
104 3六桂(44)
105 同 銀(27)
106 2五歩(24)
107 同 桂(37)
108 4七歩成(46)
109 同 歩(48)
110 6八角成(13)
111 8三歩打
112 同 飛(82)
113 5九金(49)
114 5七馬(68)
115 7九角(97)
116 5六馬(57)
117 3三と(23)
118 同 銀(42)
119 同 桂成(25)
120 同 玉(43)
121 2四角(79)
122 同 玉(33)
123 2五桂打
124 2一桂打
125 2二桂成(14)
126 4五と(55)
127 4八桂打
128 5五馬(56)
129 3七歩打
130 3五歩(34)
131 4六銀打
132 2二馬(55)
133 4五銀(36)
134 2三玉(24)
135 2四歩打
136 3二玉(23)
137 6九飛(89)
138 4二玉(32)
139 3五銀(26)
140 2六歩打
141 同 銀(35)
142 1四桂打
143 2七玉(38)
144 8七歩成(86)
145 5八金(59)
146 7八と(87)
147 2九飛(69)
148 2八歩打
149 3九飛(29)
150 8八飛成(83)
151 6六歩打
152 7六銀(65)
153 5六桂(48)
154 5四金(64)
155 3四銀(45)
156 5二玉(42)
157 5五歩打
158 同 金(54)
159 2三歩成(24)
160 4六金(55)
161 2二と(23)
162 5四角打
163 3六歩(37)
164 2九歩成(28)
165 4三角打
166 6二玉(52)
167 投了
まで166手で後手の勝ち