先手番大山先生の手を考えます。
第1問
ゆっくりできなくなりました。
A 36歩 B 55歩 C 97角
第2問
指しやすくなっているので良さそうな手も増えますが。
A 23銀 B 36歩 C 55歩
第3問
次の方針が難しいです。大山先生は安全策でした。
A 64銀 B 28馬 C 66角
第4問
好手です。
A 21飛 B 34飛 C 49飛
第5問
平凡ですが厳しい手でした。
A 36角 B 64香 C 42歩
第6問
これで寄り筋です。
A 64歩 B 52歩 C 61銀
平成元年6月、森雞二先生(当時王位)と第2期竜王戦です。

森先生の三間飛車で

石田流へ。

大山先生は持久戦で6筋の位を取ります。森先生はすぐに反発して

大山先生は3筋をねらいます。(以降は位取りではないのですが、位取りに分類しておきます。)

44銀で守られたら6筋を盛り上がっていき

3筋の歩を切られたら

逆に歩を伸ばしていくよ、動いてきなさいの催促です。

また銀で守られたら

左銀を出ていって

ぶつけます。森先生は銀の動きでずいぶん手損しているので、後手玉が薄いですし金銀の立ち遅れが目立ちます。

角を使おうとするのですが

角を攻められて

こちらに出ると角が捕まります。

強攻しましたが

角と桂歩歩の交換です。竜はできても馬を作られては駒損でしょう。

竜を追われて

馬と交換することになり

19香を取りましたが49飛を食らいます。

桂を打てば馬は助かりますが竜を作られました。

悪いなりに粘れるのが森先生の将棋です。香銀と打って

銀交換

飛車を追って

香を成ります。11香を取られているので駒損は解消していないのですが、少し悪い状態を続けられるのが強いのです。

金を打って粘り

馬を引いて銀を打たせ

飛車を捕獲します。先手玉にも嫌味ができてきました。

大山先生は王手成香取りから

54角の位置で61銀。これが好手順で寄せに入ります。

後手玉が露出すれば粘れる形ではありません。

簡単に寄せてしまい

飛車を取らせて後手玉を詰ましました。
大山先生の対振り飛車、持久戦で位を取るけれど右翼~中央で戦うパターンです。森先生は左銀だけで左右を守ろうとしたのが無理なのでしょう。大山先生は少し有利なときに強く、森先生は少し不利なときに強い(そして終盤で逆転するタイプ)ので、長い押し引きになりました。
#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.40 棋譜ファイル ----
開始日時:1989/06/26
手合割:平手
先手:大山十五世名人
後手:森雞二王位
後手省略名:森
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 6六歩(67)
4 3二飛(82)
5 5六歩(57)
6 4二銀(31)
7 4八銀(39)
8 5四歩(53)
9 6八玉(59)
10 5三銀(42)
11 7八玉(68)
12 6二玉(51)
13 5八金(49)
14 7二玉(62)
15 9六歩(97)
16 9四歩(93)
17 2六歩(27)
18 3五歩(34)
19 6八銀(79)
20 3四飛(32)
21 6七銀(68)
22 3三桂(21)
23 6五歩(66)
24 6四歩(63)
25 同 歩(65)
26 同 銀(53)
27 5七銀(48)
28 3一角(22)
29 4六銀(57)
30 5三銀(64)
31 2五歩(26)
32 4四銀(53)
33 6六銀(67)
34 6二銀(71)
35 6七金(58)
36 3六歩(35)
37 同 歩(37)
38 同 飛(34)
39 3七歩打
40 3四飛(36)
41 6八金(69)
42 5三銀(44)
43 3八飛(28)
44 6五歩打
45 5七銀(66)
46 4四銀(53)
47 6六歩打
48 同 歩(65)
49 同 銀(57)
50 2四歩(23)
51 5五歩(56)
52 同 歩(54)
53 同 銀(66)
54 同 銀(44)
55 同 銀(46)
56 5四歩打
57 4六銀(55)
58 5三角(31)
59 5五歩打
60 同 歩(54)
61 5四歩打
62 同 飛(34)
63 5五銀(46)
64 3四飛(54)
65 5四歩打
66 2六角(53)
67 2八飛(38)
68 3七角成(26)
69 同 桂(29)
70 同 飛成(34)
71 5八飛(28)
72 5二歩打
73 2三角打
74 3二歩打
75 5六角成(23)
76 2五歩(24)
77 4六馬(56)
78 3九龍(37)
79 2八馬(46)
80 3六龍(39)
81 3八飛(58)
82 4七龍(36)
83 3七馬(28)
84 同 龍(47)
85 同 飛(38)
86 2八角打
87 3八飛(37)
88 1九角成(28)
89 4九飛打
90 2六桂打
91 3五飛(38)
92 2八馬(19)
93 4三飛成(49)
94 4二香打
95 3四龍(43)
96 4五銀打
97 2四龍(34)
98 4六銀(45)
99 2一龍(24)
100 5一金(61)
101 4六銀(55)
102 同 馬(28)
103 8五飛(35)
104 5六銀打
105 5七銀打
106 6七銀成(56)
107 同 金(68)
108 3六馬(46)
109 1一龍(21)
110 4七香成(42)
111 6六銀(57)
112 7四金打
113 8六飛(85)
114 6五歩打
115 5五銀(66)
116 4五馬(36)
117 5六銀打
118 同 馬(45)
119 同 金(67)
120 8五銀打
121 5三歩成(54)
122 同 歩(52)
123 3六角打
124 5四歩(53)
125 同 角(36)
126 6三銀(62)
127 6一銀打
128 同 金(51)
129 6三角成(54)
130 同 玉(72)
131 4一龍(11)
132 7二玉(63)
133 6三金打
134 8二玉(72)
135 6一龍(41)
136 8六銀(85)
137 7二龍(61)
138 9三玉(82)
139 8三龍(72)
140 同 玉(93)
141 7二銀打
142 投了
まで141手で先手の勝ち
20180824今日の一手
5月5日の名南将棋大会から、HさんとKさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。
一昨日の一手の回答
☆ 形勢判断をします。
角と飛桂歩歩の交換で竜馬を作り合っています。後手に持ち歩があります(から歩を数えません)が先手の駒得です。
玉の堅さは同程度、先手のほうが深くて後手のほうは広いという感じです。
先手の攻め駒は21竜と持ち駒金桂で3枚。
後手の攻め駒は68馬と持ち駒金桂で3枚。
総合すれば先手もちです。
☆ 大局観として
先手の駒得ですが、28飛49角は見合いだとしても、29桂36銀が遊んでいるので駒得だと威張れるところではありません。これは駒得以外の形勢が互角であるというところに現われています。
問題図での方針としては、しっかり守って長期戦にする(36銀28飛29桂も使えれば)こと。あるいは寄せ合って1手勝ちにすること。このどちらかです。
ここでは5,6,7筋に歩を使えるので寄せ合いで十分だという感じがします。
△ 実戦は74歩で
一番自然な攻め方でしょう。後手に62金打と受けられて73金同銀同歩成同玉
というのは難しかったと思うのですが、実戦では75桂
で寄せ合いでした。先手玉は87桂不成同金の形でもう一枚金を渡さないと78銀が詰めろになりません。現状は3手すきです。73金から金を渡しても後手玉を寄せてしまうのがわかりやすかった(73同銀同歩成同玉74歩同銀61竜)
のです。この図は金を渡しても後手玉が詰めろになっていますから。
73金ではなく85桂74銀73歩
筋よく攻めたら85銀72歩成同金
73歩や81金を決めるかどうかは悩みますが、85歩と手を戻してやや先手もちかというところです。ここで手堅いつもりで88金と自玉に手を入れて76桂81銀
88桂成同金79銀に72銀成以下追いかけましたが
後手玉は広くて詰みません。後手Iさんの勝ちに終わりました。
○ 先手の工夫としては66桂
控えの桂を打って74桂狙いです。後手の受けは62桂くらいしかありません。そこで74歩同桂同桂
といけば、74同銀の形に限定できます。75歩同銀62歩
62同金でも71金でも74桂から寄せられます。
△ 85桂を先にすると
81桂74歩62金打
△ 54歩に62金打
△ 53金は52金打
△ 23竜62金打
△ 55桂54銀74歩71金打
これらは後手に粘られていて、利かしとしては悪くないけれど、寄せを考えれば難しくなっています。
○ 盤面を広く見れば48飛
59歩成では68馬を取れるので角が死んでいます。後手は76桂同銀を入れて59歩成とすれば
68飛76角成はまあまあとは言えるのですが、74歩62金打73金
桂をもらったし質駒もあるので清算して寄せていけばよいでしょう。
後手は76桂同銀78金
さらに過激に動いて78同金同馬88金同馬同玉59歩成
実戦的にはこちらのほうが難しいのですが先手有利ではあります。
○ 39金
あるいは48金でも同じですが(ご確認を)、これなら確実な駒得です。先ほどの76桂以下の筋は角を取って飛車の横利きが通ることになります。
○ 一番良いのは62歩
62同金に48飛76桂同銀78金以下
穴熊ではなくなっても角をもらえば71角で詰み筋があります。
後手は61金打で粘るしかないですが
49飛59歩成39飛
と金は作られても大きな駒得です。
と金を作られると嫌味があるので62歩同金39金
のほうがより堅実です。61金打49金
と金を作られないし、58金をねらえます。
後手は62歩を取れないとすれば71金
これは大きな利かしです。74歩に62金打も消えているので74歩同銀75歩
前に66桂62桂74歩以下の攻めと同じ筋にたどり着きます。
△ 他には78金打
とすると駒得だから長期戦を目指すことになります。方針としては正しいですが、57馬とされて49角の捕獲ができず、24歩から28飛を使っていくのでしょう。後手には59歩成がありますから紛糾するかもしれません。
☆ まとめ
問題図では先手の攻め駒が3枚しかないから難しいのです。後手に粘る手段があります。それでも66桂62桂74歩ならば、粘りを与えず、持ち歩を活用できるので寄せきれました。
四枚目の攻め駒はないか、盤面を広く見れば48飛に気が付くでしょう。この場合は角をただ取りできそうですからとても良い手になりますが、ただ取りできなくて59歩成49飛同と となる形でも質駒を取り飛車をさばいたと言えます。
さらには角を入手できるのを見越して62歩を利かしておくと、より簡単に寄せることができます。
寄せに入る前には攻め駒の数を意識しましょう。それだけで寄せが強くなります。攻め駒が四枚あるかどうか、足りなければ増やすことができないかを考えます。
例えば二枚換えで減らして、四枚の攻め駒が三枚になったら黄信号です。逆に三枚の攻めを二枚換えで増やして、四枚の攻めになれば寄せきれます。
なお後手としては問題図以前に
角を49から打ったのですが、56角の方が78金をにらみつつ働いていました。またこの後で58歩を打って28飛の横利きを止めているのですが、38歩のほうが良かったですね。49角が遊んで苦しくしていたのでした。