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名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

大山将棋問題集 20180510

2018-05-10 | 大山将棋研究
後手番伊藤先生の手を考えます。

第1問


3筋の歩を突き捨てた意味は?
A 34歩 B 46歩 C 32飛

第2問


中央が忙しそうなのですが。
A 51香 B 73桂 C 88と

第3問


5筋は受けませんでした。
A 43歩 B 56角 C 66と

第4問


強く寄せてしまいます。
A 65角 B 47歩 C 36歩

第5問


俗手狙いです。
A 58銀 B 26香 C 56金

第6問


きれいな寄せがありました。
A 16金 B 34香 C 15竜

大山将棋研究(880);中飛車に居飛車穴熊(伊藤果)

2018-05-10 | 大山将棋研究

今日の棋譜20180510
昭和61年11月、伊藤果先生と第26期十段戦です。

大山先生の中飛車に伊藤先生は居飛車穴熊です。伊藤先生は風車が得意なので大山先生に中飛車にしてもらってうれしいところでしょう。研究もあるでしょうし、逆をもって嫌な指し方も知っているでしょう。大山先生は若手の将棋を研究していないので、中飛車になったのは偶然ですが。

37桂を跳ねて角筋を止めさせて

中央の歩をすんなり交換できれば大山先生としては満足です。(伊藤先生が先手で風車ならば、歩を交換せずに77角~78金~68角~77桂から玉を58に移動していく感じです。)

先手番ですし、積極的に動いていきます。

伊藤先生は言いなりのようでも、53の銀を守りに使えました。

46歩を狙って

68角の守りに35歩。

これも袖飛車と言ってよいのでしょうか、3筋を狙います。

中飛車は銀冠にならないので3筋を攻められるとうまくないです。玉で守るしかありません。

88歩から と金を作ることもできますし、後手が少し有利でしょう。

大山先生は銀を追っても取り合いになります。

歩得ですが香を失いました。

代償は中央突破ですがうまくいくかどうか。

と金で角を追われて、46に移動したのですが

すると54歩は角交換になるという仕組みです。でも と金を使われてくると仕方なさそう。

角交換ながら中央突破はできました。

金銀の取り合いの前に角を打たれ、と金VS金との取り合いです。


馬には角を合わせて難しそうなのですが

交換でまた角を打たれ、後手の攻めは続きます。

48金打には47歩同金直同角成。

26香から両取りの銀打があって、これは受けにくそうです。

飛車を捨てて上部脱出というのは大山先生らしい粘りです。

でも伊藤先生の29飛~19飛成というのが厳しい手なのでした。33歩成の時に

15竜と捨てて退路封鎖の金捨て、取れません。

16玉に14香で投了ですが、15歩同香同玉に27銀不成で必至です。

伊藤先生の快勝譜。中飛車の弱点を良く知っていますね。32飛からの玉頭攻撃、と金の大移動、終盤の収束(詰将棋作家として有名です)、きれいに終わりました。
大山先生としては と金を使われている間にもう少しうまい手があったのかなあ?ということになります。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.40 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山十五世名人
後手:伊藤果5段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 6六歩(67)
4 8四歩(83)
5 6八銀(79)
6 6二銀(71)
7 5八飛(28)
8 4二玉(51)
9 4八玉(59)
10 3二玉(42)
11 3八玉(48)
12 5四歩(53)
13 5六歩(57)
14 5三銀(62)
15 6七銀(68)
16 3三角(22)
17 4八銀(39)
18 2二玉(32)
19 4六歩(47)
20 1二香(11)
21 3六歩(37)
22 1一玉(22)
23 4七銀(48)
24 2二銀(31)
25 4八金(49)
26 3一金(41)
27 3七桂(29)
28 4四歩(43)
29 5五歩(56)
30 同 歩(54)
31 同 飛(58)
32 5四歩打
33 5九飛(55)
34 5二金(61)
35 1六歩(17)
36 4三金(52)
37 1五歩(16)
38 8五歩(84)
39 7七角(88)
40 7四歩(73)
41 4五歩(46)
42 5一角(33)
43 4四歩(45)
44 同 銀(53)
45 4五歩打
46 3三銀(44)
47 5六銀(67)
48 7三角(51)
49 6八角(77)
50 8六歩(85)
51 同 歩(87)
52 3五歩(34)
53 同 歩(36)
54 3二飛(82)
55 2六歩(27)
56 2四銀(33)
57 2七玉(38)
58 8八歩打
59 7七桂(89)
60 8九歩成(88)
61 2五歩(26)
62 3五銀(24)
63 3六歩打
64 4六歩打
65 3五歩(36)
66 4七歩成(46)
67 同 銀(56)
68 9九と(89)
69 5八金(69)
70 9八と(99)
71 4四銀打
72 4二金(43)
73 6五桂(77)
74 6四角(73)
75 5五歩打
76 8八と(98)
77 2九飛(59)
78 7八と(88)
79 4六角(68)
80 7七と(78)
81 3八金(48)
82 7六と(77)
83 5四歩(55)
84 4六角(64)
85 同 銀(47)
86 6六と(76)
87 5三歩成(54)
88 5六と(66)
89 4二と(53)
90 同 飛(32)
91 5七銀(46)
92 7六角打
93 5六銀(57)
94 5八角成(76)
95 4七角打
96 同 馬(58)
97 同 銀(56)
98 4六歩打
99 同 銀(47)
100 5六角打
101 4八金打
102 4七歩打
103 同 金(48)
104 同 角成(56)
105 同 金(38)
106 2六香打
107 同 玉(27)
108 3八銀打
109 3六角打
110 2九銀(38)
111 5三桂成(65)
112 3八銀(29)
113 3四歩(35)
114 2九飛打
115 2七香打
116 1九飛成(29)
117 3三歩成(34)
118 1五龍(19)
119 同 玉(26)
120 3五金打
121 1六玉(15)
122 1四香打
123 投了
まで122手で後手の勝ち


20180510今日の一手(その690);強い手の応酬

2018-05-10 | 今日の一手

20180510今日の一手

2月18日の名南将棋大会から、SさんとKさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。


一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。

銀と飛歩の交換で歩をカウントしません。馬と成桂を作り合っています。先手が少し駒得です。
玉の堅さは後手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は64馬59飛と持ち駒飛桂で4枚。
後手の攻め駒は77成桂と持ち駒角銀で3枚。

総合すれば先手有利です。

☆ 大局観として

先手の劣っているのは玉の堅さだけですから自玉を固めて優勢、と言いたいところなのですが、金取りですね。77同金68角が見えるので、取ってよいものやら。放置して攻め合いにするか、逃げておくか、部分的には3つの選択肢です。
このあたりで好手を指して、確実に有利優勢にもっていきたい局面です。強い手から考えてみましょう。


△ 実戦では79金と逃げました。

67歩55飛68歩成89金88歩

後手は と金を作り、金を追っていきます。問題図と比べると、このやり取りは先手が少し損をしています。75飛89歩成77飛

金と成桂の取り合いで後手を引いているのではさらに損をしています。77飛では72飛成71金77竜、としておけばまあまあだったのですが。
99と に91馬と付き合って、58と65香49銀

58と は取ってみるしかなかったのですが、銀を掛けられたところでは明らかに後手の攻めが速くなっています。このまま後手Hさんが勝ち切りました。


△ 77同金は一番自然に見えますが

後手が桂を捨てたところでしたから、(両取りの見えない私でも)68角に気が付かない人はいないでしょう。56飛77角成72飛

両取りで返せます。63銀打同馬同銀77飛成

これなら駒得が拡大して、後手の攻め駒が減っているので優勢です。

73銀打が嫌な手で

馬を逃げると71歩が見えています。73同馬同銀41銀

一度は銀を掛けられますが、42金打32銀成同金73飛成67馬

角と飛桂の交換で駒得です。飛車を逃げ回っても仕方ないから、馬と交換になるのでしょう。先手玉が薄いのでしばらくは受けに回ってどうかというところ。先手が悪くはありませんが、はっきり有利ではありません。


○ 黙って72飛とするのが最善でしょう。

後手は銀を逃げても仕方ないので、78成桂62飛成

が普通の応手ですが、これならば先手の寄せが速そうです。後手の粘りは42金打ですが、55桂54金91馬

43銀や43香を見て先手有利です。後手から速い寄せがありません。

金銀の取り合いが先手よしなら何か抵抗します。63銀打なら

63同馬同銀77飛成

角と竜桂の交換です。これは先手陣に嫌味がなく、ゆっくり指していけば(82歩成~89飛~83飛成)勝てるでしょう。

やはり73銀打のほうが嫌で

73同馬同銀41銀

42金寄には55桂があります。42金引32銀成同金53飛成

先ほどの77同金からの変化に比べて、後手が金を持っていないので53の地点を守り切れず、飛車を成れました。これならば寄せやすいです。


△ 61飛と打つと

73銀打~71歩で飛車を捕獲されないので少しゆっくりできます。73銀打65馬78成桂74歩

ゆっくり銀を取りに行くのですが(73銀打73同馬同銀が厳しくないので仕方ない)、51金91飛成(51同飛成もあるが)86角57飛64銀


あるいは52角

という粘りが利くのでよくわかりません。瞬間は二枚換えの駒損なのでまぎれていてもおかしくないです。


× 52飛は61歩

なのでもっと損でしょう。32飛成同玉55桂から攻めてどうかということにはなるのですが。


× ひねると65馬と引いて

78成桂43馬同金52飛が両取りで

42金62飛成32金打

駒得が消えてしまいました。金を取らせて二枚換えでは駒損の取引です。


△ 55桂42金引

は悪い手とも言い切れませんが、59飛の利きを止めて後手玉をより堅くさせてしまいます。


× 25桂78成桂

こちらの桂打ちは厳しくないので逃げられても金を取られても思わしくないです。


☆ まとめ

79金と逃げるのは一番おとなしい手で、少し損をしているので次善手くらいです。少しの損でも積み重なると形勢が悪くなるものです。

77同金は堂々としていますが、68角の両取りを逃げないで何かあるのでなければ損でしょう。77馬の形で72飛の両取りがあるのですが、後手が金を持っていると堅く受けることができます。

金を取られる前に一仕事、というのが一番考えやすいと思います。取られても駒に当たりませんから。
応手としては一番強い手が72飛で、両取りですから互いに強い手の応酬になります。後手が妥協して78成桂62飛成では、78成桂よりも62竜のほうが働いているのは明らかです。73銀打が一番強そうな手で、、、と続くのですが、元の形勢が先手よしですから、一番早く勝つことになりやすいです。

61飛だと少し弱そうで、金銀取り合いならば同じですが、73銀打で抵抗された時に強く対応できず、少しまぎれてしまいます。