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名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

大山将棋問題集 20180502

2018-05-02 | 大山将棋研究
後手番大山先生の手を考えます。

第1問


22角は許せないです。
A 44角 B 31角 C 33桂

第2問


受け間違えてはいけません。少し読みましょう。
A 53同金 B 45歩 C 42角

第3問


有利なので千日手ではばからしいです。
A 45同金 B 33桂 C 25歩

第4問


どうやっても良いところですが、攻防の手は?
A 49馬 B 36歩 C 53桂

大山将棋研究(872);中飛車に加藤流袖飛車(二上達也)

2018-05-02 | 大山将棋研究
今日の棋譜20180502
昭和61年10月、二上達也先生と第49期棋聖戦です。

大山先生の中飛車で、二上先生は46歩を突くのが早いのですが

余計なことをさせないくらいの意味だったのでしょうか、32金と備えさせて、加藤一二三先生が得意とする袖飛車の借用です。

浮き飛車にして右桂を跳ね、飛角桂で攻めるのですが、いざとなれば57銀も使えます。後手玉よりも堅い急戦だから優秀なのです。

当然角交換を狙うわけですが、後手が美濃囲いで5筋の備えが少ない場合はこれで良いです。本局は62金63銀と備えられているのですから少し工夫が必要ではないかと思います。45歩ではなく25歩と合わせるか、55歩同歩45歩とするか。

基本のねらい筋は33同桂44歩同銀34飛43金24飛。そのために24歩同歩を入れています。

大山先生は金で取って受けていきます。

44歩があるので二上先生は忙しいです。こうなると62金型が生きているということがわかります。

二上先生は手を作りたいのですが、自陣角を打たれると簡単ではありません。

66歩44歩の時に角を打ちこんで

交換から53に打ちこみます。(66歩44歩の交換がないと後手に44角と合わせられます。)

桂を取られて馬を作りましたが歩切れです。

千日手になることもなく受けられて

桂損を甘んじて金銀を前に出していくと角を打ちこまれました。

飛車は捕獲されていますが65歩を狙います。

53桂の受けにも65歩しかないです。

65同桂に金を逃げるくらいではつらく、両取りに飛車を打ち込まれて

駒損が広がります。66歩が希望ですが、大山先生に桂で受けられました。もっと歩が欲しいと

端で1歩手に入れてまた66歩ですが

金を取られ銀も取られそうです。反撃はとにかく6筋しかないのですが

ほとんど詰めろのような金取りに受けもなく

桂銀と捨てて拠点を作り

王手で竜を抜きます。

飛か金の合駒しかなくて、66歩同玉58角成で戦力不足、投了図です。

二上先生がどれだけ序盤を研究していたのかわかりませんが、もう少し工夫が必要でした。終盤型の棋士は序盤研究を重視していないところがあります。
大山先生は駒得までは我慢して、6筋の攻めをいなしつつ、しっかり1手勝ちに持ち込みました。後手をもって並べるほうが楽しいです。画面を上下逆にしてみるだけでも違いますよ。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.40 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:二上達也9段
後手:大山十五世名人
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 4二銀(31)
7 6八玉(59)
8 5二飛(82)
9 7八玉(68)
10 6二玉(51)
11 4六歩(47)
12 4三銀(42)
13 5八金(49)
14 5四歩(53)
15 5六歩(57)
16 7二玉(62)
17 3六歩(37)
18 6二銀(71)
19 6八銀(79)
20 3三角(22)
21 2五歩(26)
22 3二金(41)
23 5七銀(48)
24 7四歩(73)
25 3八飛(28)
26 6四歩(63)
27 3五歩(36)
28 同 歩(34)
29 同 飛(38)
30 3四歩打
31 3六飛(35)
32 6三銀(62)
33 3七桂(29)
34 6二金(61)
35 9六歩(97)
36 9四歩(93)
37 2四歩(25)
38 同 歩(23)
39 4五歩(46)
40 同 歩(44)
41 3三角成(88)
42 同 金(32)
43 4五桂(37)
44 4四金(33)
45 4六歩打
46 3五歩(34)
47 3九飛(36)
48 3四金(44)
49 2三歩打
50 3一角打
51 6六歩(67)
52 4四歩打
53 2二角打
54 同 角(31)
55 同 歩成(23)
56 同 飛(52)
57 5三角打
58 4五歩(44)
59 3一角成(53)
60 2三飛(22)
61 4五歩(46)
62 2五歩(24)
63 4一馬(31)
64 2四飛(23)
65 4二馬(41)
66 3三金(34)
67 4六銀(57)
68 3四銀(43)
69 5七金(58)
70 4八角打
71 4九飛(39)
72 2六角成(48)
73 4四歩(45)
74 2七馬(26)
75 3九飛(49)
76 5二金(62)
77 3一馬(42)
78 2八馬(27)
79 4九飛(39)
80 3八馬(28)
81 5九金(69)
82 5三桂打
83 6五歩(66)
84 同 桂(53)
85 6七金(57)
86 4九馬(38)
87 同 金(59)
88 4七飛打
89 5九金(49)
90 4六飛成(47)
91 6六歩打
92 7三桂(81)
93 6五歩(66)
94 同 桂(73)
95 9五歩(96)
96 4七歩打
97 9四歩(95)
98 4八歩成(47)
99 6六歩打
100 5九と(48)
101 6五歩(66)
102 5八と(59)
103 6四歩(65)
104 6八と(58)
105 同 金(67)
106 6七歩打
107 6三歩成(64)
108 同 金(52)
109 6七金(68)
110 6六歩打
111 6四桂打
112 同 金(63)
113 7三銀打
114 同 玉(72)
115 8五桂打
116 6三玉(73)
117 6四馬(31)
118 同 玉(63)
119 7三角打
120 5三玉(64)
121 4六角成(73)
122 6七歩成(66)
123 同 玉(78)
124 4九角打
125 投了
まで124手で後手の勝ち




20180502今日の一手(その686);遊び駒を使う

2018-05-02 | 今日の一手

20180502今日の一手

2月18日の名南将棋大会から、NさんとKさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。


一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。

香歩歩と金の交換で竜馬VS竜を作り合っています。終盤ですし、損得なしとみてよいでしょう。
玉の堅さは同程度。(2路離れた金2枚と近接した金1枚の差ですから難しい比較です。)
先手の攻め駒は31竜52金で2枚。
後手の攻め駒は19竜76桂と持ち駒角銀香で5枚。

総合すれば先手不利です。

終盤の寄せ合いならば何手で詰めろになるか数えたほうが正確で、後手玉は61金同銀52金~61竜82玉72銀で詰めろ。61金82玉62金~71竜93玉72金、ではまだ詰まないです。現状は4手すきでしょう。
先手玉は48銀~59銀成~58成銀で詰めろの4手すき。
先手番ですから先手有利ということにはなるのですが、先手の攻め駒が2枚だけなので後手が受けやすく、形勢互角と見るべきでしょうか。


△ 目につくのは61金で

61同銀52金72銀打61金同銀52銀62金

これは後手がほぼ回避できない千日手で(最初の61金を取れないのでは悪い)、先手が互角以上の形勢だったということの証明でもあります。


× 実戦は45桂と跳ねて攻め駒を増やしました。銀取りも避けて自然な手なのですが、75香と打たれて

先手の持ち駒がないのでとても厳しいのです。(今から61金だと金を渡すので後手の88銀が詰めろになり、千日手にもできず。)
53桂不成88銀61桂成82玉

後手玉に詰めろをかけられません。88銀同桂成同玉79角98玉59竜

必至をかけられて終わりました。

戻って62成桂で寄せ合いに行っても

79銀成77玉59竜

が詰めろ。後手玉は72成桂同玉61竜73玉62竜と追っても詰まないです。

残念ながら1枚足らない1手負けでした。


△ 45桂~53桂不成~61桂成では金を取るまでに3手かかります。44馬と切れば

44同歩でしょうから、62香

2手分で61金を取ることができます。75香61香成82玉62成香88銀

72成香93玉71竜

これで後手玉に詰めろがかかりました。1手速いです。79銀成77玉64角

詰めろを回避されても85金で勝ち。86玉もあります。

75香のほうは先手勝ちのようですが、角を渡しているので48銀

という迫り方があります。寄せ合いだと61香成82玉62成香59銀成72成香同玉61竜82玉72銀

先に後手玉が詰めろになるのは一緒ですが、69角77玉87角成同玉84香

合駒が悪いので厳しいです。詰みを回避できるのは86角同香77玉

なのですが、後手は92角などと詰めろを受けるほかに、87香成同玉84香86香同香77玉で同じ図になる千日手を選べます。


先手としては48銀の時に金を取って69金打

とか、打たないで69金84香77金

と受けに回ることも考えられます。
それを含めて44馬同歩62香は形勢不明です。


○ これも3手かかる手なのですが、33馬

として43馬~61金 という迫り方もあります。33馬ではなくて21馬~43馬でも同じことです。
75香43馬88銀

61金82玉62金に79銀成77玉59竜

先手玉に詰めろがかかりました。ここで72金同玉61馬

これは83馬の筋で詰みがあります。

72金には93玉と逃げるしかなく、81竜

これで詰めろ逃れの詰めろなのです。(先手玉の詰み筋には81桂を跳ねる必要があった。)

後手としては75香がだめなら46香です。

46同歩には57香で迫ります。先手は無視して直線的に寄せ合うと、43馬47香成61金82玉62金58成香72金

72同玉に73歩がぴったりで、73同玉71竜72金82銀84玉76馬

攻防で詰めろをかけられるので先手勝ちです。


× 他には53金として

75香に77歩を用意するのは考えられます。

1手で歩を入手できるのは53金だけです。

46香同歩57香に62香

というのは11馬の利きがありますから先手有望です。

だけど後手75角というのが攻防で

31竜も射程に入っています。42竜に57歩

53歩を取ってしまったのでここに歩を打たれるとは、うまい返し技がありました。


× あとは95歩がどうかですが

突き捨てが入ると後手玉を追ったときに有効になるかもしれません。でも手抜きで75香94歩88銀93歩成79銀成77玉88角86玉93香

端を破れず逆用されてしまいます。


☆ まとめ

後手61金をどう狙うかという問題でしたが

①すぐに61金と取るのは千日手です。
②45桂~53桂不成~61桂成(あるいは45桂~53桂成~61金というのも)は3手かかります。それでも後手玉に詰めろをかけられないので寄せ合い負けでした。
③44馬同歩62香は2手分で61金を取ることになります。だけど角を渡しているので後手から48銀の寄せがあって難しいです。
④33馬~43馬~61金はやはり3手かかるのですが、その後で43馬が攻防に働くのでした。

難しい選択でしたね。感覚的には馬が遊んでいるから悪い、だから千日手で良い。あるいは馬が遊んでいるから使って勝てないか、と考えるものなのでしょう。