20150923今日の一手

先月9日の名南将棋大会からOさんとNさんの対局です。形勢判断とここからの構想を考えてください。(石田流は人気がありますね。昨日との違いを考えると面白いです。先手は昨日のOさんとは別の方です。)
昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
先手の1歩損です。持ち歩がないので後手のポイントです。
玉の堅さは後手玉のほうが少し堅いです。
先手の攻め駒は28飛と持ち駒角で2枚。
後手の攻め駒は25桂と持ち駒角で2枚。
総合すれば後手がやや指しやすい局面です。
大局観として
1歩損ですから、どこかで歩を手に入れたいのですが、後手は低く構えていますから3筋の歩を交換するくらいしかありません。それが良いか悪いか。実は24の歩を取りにいくこともできます。
このまま持久戦になると、後手玉は62銀~71銀~92香~91玉~82銀と穴熊に組み替えることもできます。先手玉はそれより堅くはなりませんし、位をとっても穴熊相手ではあまり有効ではありません。なにか工夫が必要です。
△ 実戦は27金でした。

「石田流には棒金」と昔は言ったのですが、今では微妙な格言です。棒金は石田流の角を攻める戦法ですから、早石田には利かないです。この金は3筋の歩を交換しようという手です。指しにくい手ですが。
62銀に36歩同歩同金

後手は自玉が堅いからと、36同飛同銀37金と乱暴をはたらきました。

37同桂同桂成24飛23歩

ここで26飛として飛車を渡さなければ先手が十分な形勢でしたが、34飛33歩35飛26角で飛車を取られて混戦です。しばらく進んで

この局面、激指にかけると、56角37飛65角打から成桂を取って有利!と出るのですが、思いつきませんね。これが見えなければ(見えないのが普通でしょう)後手有利な終盤です。
戻って、後手の36飛は乱暴なので、35歩と打つのが普通でしょう。(37角打という乱暴も見えますが。)

45金37桂成同桂36歩

34金37歩成24飛47と

これは21飛成からの攻めがやや早く、先手有利の終盤です。
戻って、後手は71銀と待って、先手が26歩なら35歩と打ちます。

先ほどと同じ手順で、35歩45金37桂成同桂36歩

34金37歩成18飛47と

これは後手が優勢。
先手は1歩をもって26歩で桂馬を殺すのが狙いなのですが、それが成立しないのなら失敗です。
もう少し戻って、36歩同歩同銀と指したいです。

これなら後手から35歩と打たれても47銀と戻れます。
49角が怖い筋で、35歩44飛45歩74飛47銀

27角成の筋と38歩の筋を受けます。どうにか受かりそうです。
もっとも、後手に71銀と待たれると26歩は今度こそ49角が受けにくいので、14歩同歩56角です。

これで12歩を狙って指します。これなら先手も指せそうです。(56角と打つときに36金47銀の形より27金36銀のほうが形がよい。)15歩と詰めているのが生きました。
△ 攻めるなら56角と打つ方が普通でしょう。

54飛なら36歩

この歩が交換できれば、26歩が実現します。
56角には33飛で、17桂とはねます。

17同桂成24飛23歩26飛

17の成桂は後で取り返します。後手はその前に55桂58銀36歩

36同歩には44角が狙い。36同飛同飛同歩

結局17の成桂は取り返せそうです。先手玉もまとまっていて、これなら互角の終盤でしょう。
△ 持久戦なら26飛です。

15歩と詰めているので飛車の利きが広いです。
62銀には56銀

71銀45銀74飛36歩

これは先手が指しやすくなります。
戻って56銀には44歩

55銀(56角のねらい)43金56歩(23角から56角成は74角で消される)31飛

66銀71銀86銀92香95歩

穴熊なら端を攻めてどうでしょうか。すぐつぶせるわけではありませんが、1歩持って23歩というのも狙いです。
私は石田流が苦手で、27金には悪いイメージしか残っていないのですが(さばかれて空振りが多い)、この場合の27金から36歩は成立しないことはないようです。間違えるとすぐにつぶれますが。
56角は打ちたい筋ですが、17桂が見えないとだめです。この筋はめったに見ないので、わかりにくかったでしょう。
15歩と詰めているので26飛が自然だと思います。でもそのあとの構想は難しいですね。17歩の形なら6筋か7筋の位を取るのですが、右と左に両方位を取るのはバランスが悪いです。手が遅れています。
ここに示した手順はどれも15歩の位を生かした指し方です。
指し手に悩んだときは前に指した手を生かすことを考えるとうまくいくことが多いです。囲碁なら(初心者ですが)もっとその傾向が強いですね。