鷺宮定跡―歴史と最先端
タイトルだけみるとこっちのほうが古そうですが、昨日の新鷺宮定跡の後に出版されました。
2005年出版、青野先生の本です。
前の本と比べて棋譜解説はないのですが、こっちのほうが決定版という感じです。2005年の本ですが、そのあとに急戦定跡はほとんど指されていないのでこれで十分です。終盤まで解説されている変化が多いのでとても勉強になります。青野先生ならではの理論的解説が素晴らしいです。
タイトルだけみるとこっちのほうが古そうですが、昨日の新鷺宮定跡の後に出版されました。
2005年出版、青野先生の本です。
前の本と比べて棋譜解説はないのですが、こっちのほうが決定版という感じです。2005年の本ですが、そのあとに急戦定跡はほとんど指されていないのでこれで十分です。終盤まで解説されている変化が多いのでとても勉強になります。青野先生ならではの理論的解説が素晴らしいです。
20150913今日の一手

9日の名南将棋大会からNさんとYさんの対局です。ここ数手の構想を考えてください。
昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
銀銀歩歩と角桂の交換です。後手も持ち歩があるので歩は考慮に入れないとして、駒割りは互角です。
玉の堅さも互角。先手陣のほうが守備に就いている金銀の枚数が多いのですが、右側は壁ですし、89桂がいないので守備力が低下しています。後手陣は薄いのですが竜が守りに利いているのです。
先手の攻め駒は持ち駒飛銀で2枚。
後手の攻め駒は82竜64桂持ち駒角桂で4枚。
総合すれば後手がやや指しやすいです。でも先手の手番ですからこれくらいの差はなくなるでしょう。
大局観として、
後手の攻め駒は4枚ですが、持ち歩が少ないので守備に専念すればまだ受けることはできそうです。受ける時には何か楽しみがないといけません。例えば駒得しながら受けたいです。あるいは反撃筋を残して受けたいです。
先手の攻め駒はまだ少ないのですが、後手陣も薄いので攻撃力を上げれば攻め合いもできそうです。
方針を決めて考えましょう。
× 実戦は65銀とかわしました。

自然な手、と言いたいところですが、これは後手の角筋に入って味の悪い手です。質駒になります。
76歩86銀84竜34銀94桂

これで銀を入手されて77へ打ち込む筋ができました。仕方なく41飛から攻め合いですが後手に分があります。
△ 受けるなら67銀です。

76歩88銀85桂86銀

銀桂交換が避けられませんが、後手は歩切れ。ですから駒損というわけではありません。
でも専守防衛ならもう少し楽しみがほしいです。
△ 攻めるなら41飛が目につきます。

後手もいろいろ考えられるところですが、飛車の捕獲のため43角と打てば23銀

があるので飛車は死にません。
76桂同銀と桂馬を渡すと34桂の筋で受けにくくなるので、じっと52金が最善です。

25桂とやりたくなりますが、42金右61飛成(51飛成は76桂から95角)52角

これは失敗。
41飛52金には44飛成43金右35竜

これで互角でしょう。
△ じっと25桂が最善だという気がします。先手の攻め駒が増えました。

76桂同銀64桂67銀76歩

ここがまた手の広い局面で、攻めるなら14歩同歩12歩同香24桂とやりたくなります。

でも後手から77銀からの攻めがありますし、後手玉が広いので指しすぎでしょう。
戻って、77銀の筋を気にすれば69桂ですが、後手も23銀と守ります。

これは互角ですが攻めを焦らされそうです。
戻って、76歩に41飛でどうでしょうか。

34桂の筋と61飛成があります。もちろん端攻めも。
34角で両方受けられるようですが

35銀25角34桂

これで金が取れます。
といって、43角では23銀

35桂が残るのでより厳しいです。
52角44飛成25角も24竜

なお、77銀と打たれたら59玉です。

まだすぐには詰みません。
ということで、41飛と打ち込んだ局面は先手が有利です。
最初に戻って、25桂に76桂とやりたくなりますが、桂馬を渡す悪手です。
25桂には31玉が最善。

ここまで読めるあるいは直感で指せる人は少ないと思いますが、これで後手がやや指しやすいです。
攻めるは守るなりという格言は生きています。反撃筋を見せれば、相手の攻撃が鈍ります。この問題では、後手が桂馬を渡せば先手の攻め駒になるので、25桂とか41飛とかの攻めの手で受けていることになるのです。
さて、おまけがありました。この将棋の終盤です。

実戦では42竜同金23銀打

手筋風ですが、24玉から逃げ出されてしまいました。
正解は23銀成です。

23同玉には26香

12玉13歩に同玉は24竜

これは詰みですね。
13歩に11玉は42竜

ですから、23銀成には同金なのですが、25桂がぴったり。

12玉は13歩とされるだけ損ですから、22玉42竜32香に36香

2歩が痛いです。34桂しかなく、31銀21玉34香

34同金に33桂打で

あとは33で清算して22金です。
作ったような寄せがありました。こういうのを逃すととても残念ですが、見つけられたら自分は天才かと思いたくなりますね。

9日の名南将棋大会からNさんとYさんの対局です。ここ数手の構想を考えてください。
昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
銀銀歩歩と角桂の交換です。後手も持ち歩があるので歩は考慮に入れないとして、駒割りは互角です。
玉の堅さも互角。先手陣のほうが守備に就いている金銀の枚数が多いのですが、右側は壁ですし、89桂がいないので守備力が低下しています。後手陣は薄いのですが竜が守りに利いているのです。
先手の攻め駒は持ち駒飛銀で2枚。
後手の攻め駒は82竜64桂持ち駒角桂で4枚。
総合すれば後手がやや指しやすいです。でも先手の手番ですからこれくらいの差はなくなるでしょう。
大局観として、
後手の攻め駒は4枚ですが、持ち歩が少ないので守備に専念すればまだ受けることはできそうです。受ける時には何か楽しみがないといけません。例えば駒得しながら受けたいです。あるいは反撃筋を残して受けたいです。
先手の攻め駒はまだ少ないのですが、後手陣も薄いので攻撃力を上げれば攻め合いもできそうです。
方針を決めて考えましょう。
× 実戦は65銀とかわしました。

自然な手、と言いたいところですが、これは後手の角筋に入って味の悪い手です。質駒になります。
76歩86銀84竜34銀94桂

これで銀を入手されて77へ打ち込む筋ができました。仕方なく41飛から攻め合いですが後手に分があります。
△ 受けるなら67銀です。

76歩88銀85桂86銀

銀桂交換が避けられませんが、後手は歩切れ。ですから駒損というわけではありません。
でも専守防衛ならもう少し楽しみがほしいです。
△ 攻めるなら41飛が目につきます。

後手もいろいろ考えられるところですが、飛車の捕獲のため43角と打てば23銀

があるので飛車は死にません。
76桂同銀と桂馬を渡すと34桂の筋で受けにくくなるので、じっと52金が最善です。

25桂とやりたくなりますが、42金右61飛成(51飛成は76桂から95角)52角

これは失敗。
41飛52金には44飛成43金右35竜

これで互角でしょう。
△ じっと25桂が最善だという気がします。先手の攻め駒が増えました。

76桂同銀64桂67銀76歩

ここがまた手の広い局面で、攻めるなら14歩同歩12歩同香24桂とやりたくなります。

でも後手から77銀からの攻めがありますし、後手玉が広いので指しすぎでしょう。
戻って、77銀の筋を気にすれば69桂ですが、後手も23銀と守ります。

これは互角ですが攻めを焦らされそうです。
戻って、76歩に41飛でどうでしょうか。

34桂の筋と61飛成があります。もちろん端攻めも。
34角で両方受けられるようですが

35銀25角34桂

これで金が取れます。
といって、43角では23銀

35桂が残るのでより厳しいです。
52角44飛成25角も24竜

なお、77銀と打たれたら59玉です。

まだすぐには詰みません。
ということで、41飛と打ち込んだ局面は先手が有利です。
最初に戻って、25桂に76桂とやりたくなりますが、桂馬を渡す悪手です。
25桂には31玉が最善。

ここまで読めるあるいは直感で指せる人は少ないと思いますが、これで後手がやや指しやすいです。
攻めるは守るなりという格言は生きています。反撃筋を見せれば、相手の攻撃が鈍ります。この問題では、後手が桂馬を渡せば先手の攻め駒になるので、25桂とか41飛とかの攻めの手で受けていることになるのです。
さて、おまけがありました。この将棋の終盤です。

実戦では42竜同金23銀打

手筋風ですが、24玉から逃げ出されてしまいました。
正解は23銀成です。

23同玉には26香

12玉13歩に同玉は24竜

これは詰みですね。
13歩に11玉は42竜

ですから、23銀成には同金なのですが、25桂がぴったり。

12玉は13歩とされるだけ損ですから、22玉42竜32香に36香

2歩が痛いです。34桂しかなく、31銀21玉34香

34同金に33桂打で

あとは33で清算して22金です。
作ったような寄せがありました。こういうのを逃すととても残念ですが、見つけられたら自分は天才かと思いたくなりますね。