1.実施に至った経緯
宇宙ステーション時代の本格的な宇宙環境利用に備えるため、ロケットの弾道飛行により発生する微小重力下での材料製造などの実験を行うこととなった。
2.プロジェクトの目的と目標
微小重力環境を利用して材料製造などの諸実験を行う。
3.実施内容
1号機 1991年(平成3年)9月16日打上げ
マランゴニ対流及び表面張力波の観察、沸騰気泡発生実験、酸化物高温超電導体の溶融・凝固実験、アセトン溶液から成長するヨウ化カドミウム結晶のその場観察、粒子分散合金の溶融・凝固実験
2号機 1992年(平成4年)年8月20日打上げ
気泡挙動観察実験、マランゴニ対流現象の微細機構の観察実験、ガラス材料の溶融・凝固実験、溶融過程の可視化実験、半導体の融液成長実験
3号機 1993年(平成5年)年9月17日打上げ
気泡操作実験、電気力によるマランゴニ対流の制御実験、高融点複合化合物の合成実験、高圧付加に伴う溶液からの結晶成長実験、微小重力下における臭化鉛試料の溶融・凝固過程の観察
4号機 1995年(平成7年)年8月25日打上げ
多面体結晶形態安定性理論の微小重力下での検証、液柱マランゴニ流による振動流の3次元観察、フローティングゾーン シリコンメルト内の温度変動の測定、微小重力下の化合物半導体鉛スズ・テルルの融液拡散係数の測定、微小重力下でのスズ−鉛共晶合金の凝固実験
5号機 1996年(平成8年)9月25日打上げ
均一噴霧の生成及びその燃焼実験、微小重力場の核沸騰熱伝達機構に関する基礎実験、微小重力環境における融液の間隙浸透性、ゲルマニウム半導体融液の自己拡散の研究、シアーセル法によるゲルマニウム半導体融液の高精度拡散係数測定技術の開発、分散系の自己組立て成長
6号機 1997年(平成9年)年9月25日打上げ
非定常マランゴニ対流の三次元流動と液柱表面温度の同時観測、液体金属の自己拡散係数における同位体効果の研究、微小重力環境でのAl-Ti包晶系合金の凝固組織、シリコンメルト液柱内の対流可視化観察、骨芽細胞の増殖関連遺伝子などの発現に及ぼす微小重力の影響の観察
7号機 1998年(平成10年)11月19日打上げ
氷の樹枝状成長におけるパターン形成への微小重力の効果、高融点金属性複雑融体の拡散の研究、InAs‐GaAs相互拡散係数の測定、培養細胞の増殖、分化に及ぼす微小重力の影響、宇宙ステーション用静電浮遊炉の微小重力下における位置制御機能の確認、均一分散噴霧中の火炎伝播に関する研究
ロケットの概要
- 2段式
- 全長:13.47m
- 外径:1.13m(尾翼除く)
- 打上げ能力:0.7トンの実験機器
4.成果
1~4号機
宇宙実験の基盤となる実験支援技術等の開発を行うことができた。
4号機以降
宇宙環境利用の促進、宇宙実験技術の高度化および宇宙ステーション用共通実験装置の開発に必要な装置技術の開発を行うことができた。
お問合せ先
研究開発局参事官(宇宙航空政策担当)付
出典:http://www.mext.go.jp/a_menu/kaihatu/space/kaihatsushi/detail/1299871.htm