飛び出せ! 北の宇宙基地

北の地である北海道で、人工衛星の開発などを行っている 北海道工業大学 佐鳥研究室の活動日記です。

SEPAC:人工オーロラ生成実験

2013-07-06 13:00:00 | 佐鳥新の教授&社長日記

1.実施に至った経緯

 「粒子加速による宇宙科学実験」(SEPAC)は、主に電子ビームやプラズマビームによる人工オーロラ生成実験装置で、NASAのスペースラブ-1号の搭載機器として1976年(昭和51年)に採択された。開発は、日本の宇宙科学研究所が実験・観測機器を担当し、米国側がスペースラブ搭載用管制装置とソフトウエアを担当した。

2.プロジェクトの目的と目標

SEPACの目的は次の4点である。

  • 宇宙空間から電子ビームを放出した時のスペースシャトルの帯電現象及びその帯電を抑える中和対策の研究
  • 電子ビームやプラズマビームと地球の大気との相互作用によるオーロラや大気光励起実験
  • 電子ビームやプラズマビームと宇宙プラズマの相互作用による波動励起実験
  • 電子ビームが磁力線にそって伝搬し、反射されてくる電子エコーによる磁気圏の磁場や電場の遠隔探査実験

3.実施内容

 SEPACにはオーロラ発生実験用として、最大7.5KeV, 1.6Aの電子ビームを発生させる電子ビーム加速器(EBA)と、2kJのコンデンサ放電でアルゴン・プラズマを放射するMPDアークジェットが搭載されていた。

  • 打上げ:1983年(昭和58年)11月29日、スペースシャトルによってケネディ宇宙センターより打上げ(1983年12月28日に運用完了)
  • 軌道:高度250kmの円軌道(傾斜角57°)

4.成果

 第一回目のミッションではMPDによってビーム放射による放電現象の励起、臨界速度効果の検証実験、プラズマ放出による帯電中和などに関して科学的成果を挙げた。ただし、EBAについて電源に異物が混入したことから機能不全となり、1992年(平成4年)に行われた第二回目のミッション(NASAにより実施)で人工オーロラの生成に成功している。

お問合せ先

研究開発局参事官(宇宙航空政策担当)付

出典:http://www.mext.go.jp/a_menu/kaihatu/space/kaihatsushi/detail/1299913.htm


宇宙実験・観測フリーフライヤ(SFU)/SFU搭載実験機器部(EFFU)

2013-07-06 09:00:00 | 佐鳥新の教授&社長日記

1.実施に至った経緯

 SFU/EFFUは、回収・再利用可能な宇宙実験・観測システムとして、宇宙開発事業団・宇宙科学研究所、科学技術庁・文部省、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)/通商産業省、財団法人無人宇宙実験システム研究開発機構(USEF)によって開発された。

2.プロジェクトの目的と目標

 宇宙実験機・観測フリーフライヤの目的は以下の2点である。

  • 打上げ・軌道上実験・回収を行うことによって回収・再使用システムの有効性を確認する。
  • 軌道上で科学・工学実験、天文観測を実施する。

3.実施内容

 主要ミッション機器として、IRTS(宇宙赤外線望遠鏡)、2DSA(2次元太陽電池実験)、HVSA(高電圧太陽電池実験)、SPDP(宇宙プラズマ実験)、EPEX(電気推進実験)、MEX(凝固・結晶成長実験)、BIO(宇宙生物学実験)、EFFU(曝露部実験)、GDEF(気相成長基礎実験)、GHF(複合加熱炉実験)、MHF(焦点加熱炉実験)、IHF(単熱炉実験)を搭載している。高度330kmの軌道に投入された直後、太陽電池パドル(SAP)が展開され、軌道高度はミッション遂行の高度である486kmまで引き上げられ、各種実験を行った。回収はSTS-72(スペースシャトル「エンデバー号」)によって行われ、1996年(平成8年)1月20日ケネディ宇宙センターに到着した。

  • 打上げ:1995年(平成7年)3月18日、H-Ⅱロケット3号機により種子島宇宙センターから打上げ(1996年(平成8年)1月13日に運用停止)
  • 軌道:高度300~500kmの位相同期軌道(周期約90分、軌道傾斜角28.5°)
  • 質量:4,000kg

4.成果

 搭載されたミッション機器により、多くの実験成果を得た。

お問合せ先

研究開発局参事官(宇宙航空政策担当)付

出典:http://www.mext.go.jp/a_menu/kaihatu/space/kaihatsushi/detail/1299928.htm


宇宙環境利用:ロケット実験2

2013-07-06 07:30:17 | 佐鳥新の教授&社長日記

1.実施に至った経緯

 宇宙ステーション時代の本格的な宇宙環境利用に備えるため、ロケットの弾道飛行により発生する微小重力下での材料製造などの実験を行うこととなった。

2.プロジェクトの目的と目標

微小重力環境を利用して材料製造などの諸実験を行う。

3.実施内容

1号機 1991年(平成3年)9月16日打上げ

 マランゴニ対流及び表面張力波の観察、沸騰気泡発生実験、酸化物高温超電導体の溶融・凝固実験、アセトン溶液から成長するヨウ化カドミウム結晶のその場観察、粒子分散合金の溶融・凝固実験

2号機 1992年(平成4年)年8月20日打上げ

 気泡挙動観察実験、マランゴニ対流現象の微細機構の観察実験、ガラス材料の溶融・凝固実験、溶融過程の可視化実験、半導体の融液成長実験

3号機 1993年(平成5年)年9月17日打上げ

 気泡操作実験、電気力によるマランゴニ対流の制御実験、高融点複合化合物の合成実験、高圧付加に伴う溶液からの結晶成長実験、微小重力下における臭化鉛試料の溶融・凝固過程の観察

4号機 1995年(平成7年)年8月25日打上げ

 多面体結晶形態安定性理論の微小重力下での検証、液柱マランゴニ流による振動流の3次元観察、フローティングゾーン シリコンメルト内の温度変動の測定、微小重力下の化合物半導体鉛スズ・テルルの融液拡散係数の測定、微小重力下でのスズ−鉛共晶合金の凝固実験

5号機 1996年(平成8年)9月25日打上げ

 均一噴霧の生成及びその燃焼実験、微小重力場の核沸騰熱伝達機構に関する基礎実験、微小重力環境における融液の間隙浸透性、ゲルマニウム半導体融液の自己拡散の研究、シアーセル法によるゲルマニウム半導体融液の高精度拡散係数測定技術の開発、分散系の自己組立て成長

6号機 1997年(平成9年)年9月25日打上げ

 非定常マランゴニ対流の三次元流動と液柱表面温度の同時観測、液体金属の自己拡散係数における同位体効果の研究、微小重力環境でのAl-Ti包晶系合金の凝固組織、シリコンメルト液柱内の対流可視化観察、骨芽細胞の増殖関連遺伝子などの発現に及ぼす微小重力の影響の観察

7号機 1998年(平成10年)11月19日打上げ

 氷の樹枝状成長におけるパターン形成への微小重力の効果、高融点金属性複雑融体の拡散の研究、InAs‐GaAs相互拡散係数の測定、培養細胞の増殖、分化に及ぼす微小重力の影響、宇宙ステーション用静電浮遊炉の微小重力下における位置制御機能の確認、均一分散噴霧中の火炎伝播に関する研究

ロケットの概要

  • 2段式
  • 全長:13.47m
  • 外径:1.13m(尾翼除く)
  • 打上げ能力:0.7トンの実験機器

4.成果

1~4号機

 宇宙実験の基盤となる実験支援技術等の開発を行うことができた。

4号機以降

 宇宙環境利用の促進、宇宙実験技術の高度化および宇宙ステーション用共通実験装置の開発に必要な装置技術の開発を行うことができた。

お問合せ先

研究開発局参事官(宇宙航空政策担当)付

出典:http://www.mext.go.jp/a_menu/kaihatu/space/kaihatsushi/detail/1299871.htm


宇宙環境利用:ロケット実験

2013-07-06 07:07:07 | 佐鳥新の教授&社長日記

TT-500A型小型ロケットシリーズ(TT-500A 8号機~13号機)

1.実施に至った経緯

 宇宙空間における特性を利用した実験への関心が高まりつつあったが、それまでの科学技術庁等の検討においては基本的にスペースシャトルの利用を前提としていた。こうした我が国の産業に重要な影響を与える可能性のある実験を外国機関の審査がなければ実行できない状態への問題意識が高まりを受け、1980年(昭和55年)から1983年(昭和58年)までの間に、2段式小型ロケットTT-500Aを用いた宇宙材料実験を行うことになった。

2.プロジェクトの目的と目標

 TT-500A型ロケットは、7分間の放物線状の弾道飛行を行う能力を持つ。この弾道飛行の間に、微小重力環境を利用した金属溶解・凝固実験、化合物半導体やアモルファス半導体などの製造実験を行う。

3.実施内容

8号機 1980年(昭和55年)9月14日打上げ

 ニッケル系合金製造実験、アモルファス半導体製造実験、VHFアンテナ温度測定

9号機 1981年(昭和56年)1月15日打上げ

 ニッケル系合金製造実験、アモルファス半導体製造実験

10号機 1981年(昭和56年)8月2日打上げ

 アモルファス半導体製造実験、単結晶化合物半導体製造実験

11号機 1982年(昭和57年)8月16日打上げ

 ニッケル系合金製造実験、アモルファス半導体製造実験

12号機 1983年(昭和58年)1月27日打上げ

 アモルファス半導体製造実験、単結晶化合物半導体製造実験、ハロゲンランプの機能確認

13号機 1983年(昭和58年)8月19日打上げ

 ガス封入型電気炉機能確認及び炭素繊維強化発泡金属複合材製造実験、攪拌装置付電気炉機能確認及び非混合系合金複合材材料実験、小型イメージ炉機能確認及び粒子分散型ガラス複合材材料製造実験、地球赤外線測定実験

ロケットの概要

  • 2段式
  • 全長:10.5m
  • 外径:0.5m(尾翼除く)

4.成果

8号機

 チタンカーバイト・ウィスカ分散型ニッケル基耐熱合金の製造、滑らかな試料表面を持つ均質なアモルファス半導体、アンテナの空力加熱による温度上昇データの取得に成功した。

9号機

 頭胴部の回収に失敗し、試料を得られず。

10号機

 頭胴部の回収に失敗し、試料を得られず。

11号機

 均一な分布を持つチタンカーバイド粒子分散型ニッケル基耐熱合金の製造に成功した。

12号機

 不純物、欠陥の少ない高品質アモルファス組織を持つ試料の製造、均質なスズ・テルルの薄膜結晶の製造、微小重力下におけるハロゲンサイクルの確認に成功した。

13号機

 ガス封入型電気炉の加熱、冷却特性データの取得、炭素繊維が十分にランダムに配向した炭素繊維複合材料の製造、微小重力下における超音波攪拌効果の確認、微細分散組織を持つ偏晶合金の製造、小型イメージ炉加熱特性データの取得、ダイヤ粒子均一分散型複合ガラスの製造、地球大気層の赤外線プロファイルデータの取得に成功した。

お問合せ先

研究開発局参事官(宇宙航空政策担当)付


宇宙環境利用(1)

2013-07-06 05:07:23 | 佐鳥新の教授&社長日記

宇宙環境は、微小重力、高真空等の地上では容易に得ることのできない特徴を有している。微小重力下で物質科学やライフサイエンス等の実験を行う効果として、(1)沈降や対流がないため、高品質な物質生成が可能、(2)流体の容器をなくせるため、不純物が混ざらない、(3)生体に及ぼす重力の影響を確認できる、などが挙げられる。また、(4)宇宙の高真空場、(5)広大な視野などの曝露環境の特徴がある。このような宇宙環境を利用した研究開発等は、物質科学、生命科学等に関する新たな知見や知識をもたらし、人類の知的フロンティアの拡大を図る物として期待されるとともに、新材料や医薬品の創製等の新たな産業の鍵となる技術の創出などに大きく寄与するものと期待されている。
 宇宙環境利用は、宇宙開発の歴史とともに展開してきており、宇宙環境での研究や実験等は、米国ではアポロ計画やスカイラブ計画等により、また、旧ソ連ではサリュート宇宙船等により、1970年代に開始され、それぞれ、スペースシャトル及びミール宇宙ステーションに引き継がれて行われてきた。しかし、これらの取組では、米国は西側諸国と、旧ソ連は東側諸国とそれぞれ協力を進めるなど、東西冷戦構造の時代を反映した国家威信をかけた競争といった側面を色濃く持っていた。冷戦の終結に伴い、世界的に宇宙開発の位置づけと方向性が見直される中、国際協力や民生利用の重視といった方向性を象徴する動きとして日本、米国、欧州、カナダによる宇宙ステーション計画にロシアがパートナーとして参加し、国際宇宙ステーション(ISS)計画が誕生した。ISSは、また、我が国として、宇宙環境での研究や実験等を継続的に可能とするはじめての有人の宇宙活動であり、我が国の宇宙環境利用に新たな展開をもたらすことが期待されている。
 我が国では、1980年(昭和55年)9月のTT-500Aロケット等の小型ロケットによる宇宙実験に始まり、航空機、落下施設による地上実験など、短時間の微小重力実験手段により、宇宙実験の技術や経験の蓄積を図るとともに、国内研究者へ多くの予備的実験機会を提供してきた。また、1992年(平成4年)1月の第1次国際微小重力実験室(IML-1)計画に始まったスペースシャトル利用による宇宙環境利用実験等により、宇宙実験のための基礎的知見、基盤技術を習得してきた。

1.スカイラブによる日本初の宇宙材料実験

第四章 宇宙環境利用

1.実施に至った経緯

 1971年(昭和46年)12月に米国航空宇宙局(NASA)がスカイラブに搭載された材料実験設備の利用を米国内外の研究者に呼びかけ、我が国にも科学技術庁を通じてこの呼びかけがなされた。これを受け、1972年(昭和47年)4月に科学技術庁金属材料技術研究所は、多目的電気炉を利用する「シリコンカーバイドウィスカー強酸化複合金属の製造実験」を提案し、同年6月に仮採択の連絡があり、同年7月に科学技術庁とNASAとの間に正式な契約文書が交換された。

2.プロジェクトの目的と目標

 実験の目的は、微小重力下で強化複合金属を製造する際、溶融過程においてシリコンカーバイドウィスカーに大きな移動が起こることがないかどうかを確認することであった。

3.実施内容

 スカイラブ上での実験結果との比較のため、同様の装置による地上実験による基礎データ収集を行い1973年(昭和48年)4月に報告された。その後、スカイラブのSL-4ミッションで実施される予定であったが、1973年(昭和48年)5月に予定が繰り上げられたSL-2ミッションで、微小重力下での強化複合金属を製造する実験が実施された。

4.成果

 溶融過程においてシリコンカーバイドウィスカーに大きな移動が起こらないことが確認され、微小重力下での同材料製造への展望を開いた。

お問合せ先

研究開発局参事官(宇宙航空政策担当)付

出典:http://www.mext.go.jp/a_menu/kaihatu/space/kaihatsushi/detail/1299869.htm