1.実施に至った経緯
「粒子加速による宇宙科学実験」(SEPAC)は、主に電子ビームやプラズマビームによる人工オーロラ生成実験装置で、NASAのスペースラブ-1号の搭載機器として1976年(昭和51年)に採択された。開発は、日本の宇宙科学研究所が実験・観測機器を担当し、米国側がスペースラブ搭載用管制装置とソフトウエアを担当した。
2.プロジェクトの目的と目標
SEPACの目的は次の4点である。
- 宇宙空間から電子ビームを放出した時のスペースシャトルの帯電現象及びその帯電を抑える中和対策の研究
- 電子ビームやプラズマビームと地球の大気との相互作用によるオーロラや大気光励起実験
- 電子ビームやプラズマビームと宇宙プラズマの相互作用による波動励起実験
- 電子ビームが磁力線にそって伝搬し、反射されてくる電子エコーによる磁気圏の磁場や電場の遠隔探査実験
3.実施内容
SEPACにはオーロラ発生実験用として、最大7.5KeV, 1.6Aの電子ビームを発生させる電子ビーム加速器(EBA)と、2kJのコンデンサ放電でアルゴン・プラズマを放射するMPDアークジェットが搭載されていた。
- 打上げ:1983年(昭和58年)11月29日、スペースシャトルによってケネディ宇宙センターより打上げ(1983年12月28日に運用完了)
- 軌道:高度250kmの円軌道(傾斜角57°)
4.成果
第一回目のミッションではMPDによってビーム放射による放電現象の励起、臨界速度効果の検証実験、プラズマ放出による帯電中和などに関して科学的成果を挙げた。ただし、EBAについて電源に異物が混入したことから機能不全となり、1992年(平成4年)に行われた第二回目のミッション(NASAにより実施)で人工オーロラの生成に成功している。
お問合せ先
研究開発局参事官(宇宙航空政策担当)付
出典:http://www.mext.go.jp/a_menu/kaihatu/space/kaihatsushi/detail/1299913.htm