飛び出せ! 北の宇宙基地

北の地である北海道で、人工衛星の開発などを行っている 北海道工業大学 佐鳥研究室の活動日記です。

地上局パラボラアンテナ設置開所式のご案内

2011-08-12 00:07:52 | 佐鳥新の教授&社長日記

大樹町に直径4メートルのXバンド地上局アンテナの設置の準備が着々と進んでいる。 

今日、Y崎さんと北海道庁に行って道政記者クラブと教育記者クラブにプレスリリースを配布してきた。

以下に、プレスの内容を紹介する。

 

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ニュースリリース 

 

 

大樹町への人工衛星データ受信用パラボラアンテナ設置について  

-地上局パラボラアンテナ設置開所式のご案内- 

 

2011810

                                                                                                中須賀 真一(東京大学)

山口耕司(次世代宇宙システム技術研究組合)

 

 昨今の宇宙産業化の趨勢として、大学では50kgサイズ以下の超小型衛星と呼ばれる人工衛星の開発と打ち上げが盛んに行われ、衛星を利用したサービスを展開する企業が世界各地で設立されています。このような世界情勢を背景に日本でも新しい宇宙産業創出の動きがオールジャパンの体制で最先端研究開発支援プログラムの「日本発の『ほどよし信頼性工学』を導入した超小型衛星による新しい宇宙開発・利用パラダイムの構築」(中心研究者 東京大学 教授 中須賀真一)として始まりました。この事業では、従来の国主導・中央発の宇宙開発ではなく、誰もが参入できる宇宙産業を目指しております。

 衛星から地上に送信されてくるデータを受信・処理し、衛星利用の事業化を進めるためには、衛星データ受信地球局が不可欠な要素となります。大樹町は、広大な北海道の中に位置し、広い天空視野を有し、且つ、良好な電波環境を有するという地勢的なメリットがあることから、全国の候補地の中から大樹町に直径4メートルのパラボラアンテナを8月中旬に設置することになりました。(詳細については後述の「大樹町への人工衛星データ受信地球局用アンテナ設置の主旨説明」をお読みください。)

 このような背景により、下記の日程で大樹町地上局アンテナの開所式を開催することになりましたのでお知らせ致します。多くの方のご参加をお待ちしております。

 

 

 

       記

 

 

日 時: 平成2382414001500

 

場 所: 北海道広尾郡大樹町寿通1丁目111 北海道衛星株式会社本社敷地内

 

式次第:

  

1400-1415 中須賀挨拶

1415-1430 大樹町伏見町長ご挨拶

1430-1445 北海道衛星(株) 佐鳥社長(北海道工業大学を兼務)挨拶

1445-1500 次世代宇宙システム技術研究組合 山口理事長挨拶とアンテナの説明

 

 

以上

 

 大樹町への人工衛星データ受信地球局用アンテナ設置の主旨説明


 

 1957年に人類最初の人工衛星スプートニクが打ち上げられて以来半世紀が経過し、従来、国家プロジェクトであった宇宙開発は、多くの経験の蓄積と技術の発達により民間レベルでも行えるようになりまし。この結果、衛星を利用したサービスを提供する企業が世界各地で設立されています。わが国でもこのような世界情勢を背景に、誰でも参加できる宇宙産業を目指した新しい宇宙産業創出の動きが開始されています。最先端研究開発支援プログラムの一つとして進められている「日本発の『ほどよし信頼性工学』を導入した超小型衛星による新しい宇宙開発・利用パラダイムの構築」のサブテーマ「産業化を目的とする超小型衛星技術の実用化研究とものづくりインフラの構築」の研究も、この動きの一環として挙げられます。

 一方、北海道は、豊かな自然を有し、且つ広域農業や漁業が盛んであるといった特性を有していることから、宇宙ビジネス創出に対する高い潜在能力を持つ地域と考えられます。このため、衛星を使った地球観測分野の技術研究が盛んであり、これらの技術を礎とした宇宙ビジネスへの展開の可能性を十分に潜めた地域であるとみられます。この潜在的可能性のもと、北海道の関係各機関・企業・団体により各地で展開されてきた宇宙開発・利用に向けた様々な活動により、北海道の宇宙開発・利用は、開発から事業化に向けた次のフェーズに移行しようとしています。 このような背景のもと、衛星から地上に送信されてくるデータを受信・処理し、衛星利用の事業化を進めるためには、衛星データ受信地球局が不可欠な要素となります。その設置場所としては、データ利用機関・企業に近接し、且つ、良好な電波環境のもと、衛星の飛翔経路に対し視野障害の少ない広い天空視野を確保できることが必要な要件となります。この点、大樹町は、広大な北海道の中に位置し、広い天空視野を有し、且つ、良好な電波環境を有するという地勢的なメリットがあります。

更に、上述しましたように、宇宙開発・利用について、実用化に向けた次フェーズを指向する状況に在ると推察される北海道の中にあることから、衛星データ利用機関・企業に近接している上に、町内に航空公園が開設され町民の皆様の宇宙航空分野に対するご理解・関心も高い点で、衛星データ受信地球局を設置させて戴く上での好条件が備わっているという特徴があります。 このような多くの好条件のもと、上記、超小型衛星などのデータ受信局設置の可能性に対し、大変に前向きかつ好意的に対応戴き、このたびの地球局用アンテナの設置に向けた

活動を順調に展開させていただいております。

 

 このような状況の下、今般、設置作業を進めさせて戴いておりますアンテナは、上述しました研究テーマの超小型衛星などから送信されてくるデータを受信する衛星データ受信地球局用のアンテナです。このアンテナで受信する衛星からのデータとしては、最終的には100Mbps1秒間に1億ビット)にも上る高速・大容量のデータを想定いたしております。本アンテナは、このような高いデータ受信性能を実現する為に、以下のような設計上の特徴を有しております。

 

1)大口径・少体積で高性能の4mφカセグレン型パラボラアンテナ

上述の高速・大容量の衛星送信データを受信するために開口径4mの大型のパラボラ鏡面を主鏡面とし、且つ、受信性能を維持しつつ、占有体積を極力小さくするために凸面鏡の副鏡を有するカセグレン型の大型且つ高性能のアンテナ方式を採用しております。

 

2)直交する2軸(X-Y軸)を駆動軸とする地球観測データ受信に適した駆動方式

アンテナ駆動方式として、直交する2軸(X-Y軸)を駆動軸とする方式を採用。これにより、多くの衛星データ受信地球局で採用されているアジマス-エレベーション駆動方式では、衛星が軌道上の天頂近傍を飛翔しているとき、衛星から送信されてくるデータを受信する際に発生する天頂方向の特異点が回避され、略、全天に亘り、確実かつ安定的な衛星データ受信が実現されます。

 

3)高剛性且つ軽量のバックストラクチャ型アルミニウム鏡面の採用

アンテナの軽量化を実現する為に主鏡、副鏡をアルミニウム製とし、且つ、高い電気的性能を維持するうえで必要な鏡面精度を維持する為に、パラボラ形状を確保するためのアルミニウム製のトラスが主鏡裏面に組付けられています。これにより、アンテナ部の質量が460kgと軽量(全備質量:約4.2トン)であるにも拘らず、高性能なアンテナが実現されています。

 

以上

 

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お問合せ窓口: 次世代宇宙システム技術研究組合

担当: 里形 玲子

電話: 0358422677

 E-mail: satogata.reiko@nestra.jp

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