書 名:VLBI技術
著 書:近藤冨士信 近藤哲朗 高橋幸雄
出版社:オーム社
VLBIとは超長基線電波干渉計(Very Long Baseline Interferometry)といわれる技術で、空間的に離れた位置にある複数個の電波望遠鏡をあたかも1個の大型電波望遠鏡であるかのように連動させて測定する技術である。VLBIを用いると空間分解能を飛躍的に改善することができる。
VLBIを実現するためには、観測時間帯域(数時間=約1万秒)に対して、0.1ナノ秒以下の測定精度が必要となる。これは10の-14乗の安定度を要求するものであり、基準時間源として水素メーザーが使われる。
○直径積
2個の電波望遠鏡で干渉計を組む場合を想定し、それぞれの直径をD1[m]、D2[m]とすると、経験的に直径積S=D1×D2=100[m2]あれば良いことが知られている。中央局が30m級のアンテナを保有していれば、各所に配備するアンテナは3~4mのもので十分となる。
○空間分解能の改善効果
電磁波の回折理論によれば、直径D[m]、波長λ[m]とすると、空間分解能はλ/D[rad]で与えられる。距離L[m]離れた2個のアンテナを共通のローカル信号で結合した電波干渉計を構成すると、空間分解能はλ/L[rad]に改善される。
ローカル信号をケーブルで結合する場合にはLは10kmが限度であるが、同期させた原子時計を用いれば1万km以上の基線距離を持つ電波干渉計も可能となる。
○測地VLBIの精度
地上測量の精度は6桁が限度といわれており、100kmの測定で10cmの誤差が入り込むことは避けられない。それに対し測地VLBIでは10桁の精度が確保できる。これは大陸間距離1万kmを1cmの精度で測定でき、大陸移動(プレートテクトロニクス)の年間数cmという超微速の動きを実際に検出できるようになった。
○データ解析
相関処理が基本的な手法となる。かなり詳しく書かれている。
○物理モデルと補正の考え方
・月と太陽が地球回転に及ぼす歳差運動と章動運動の補正(最も影響大)
・大気遅延効果と電離層遅延効果の補正
・月と太陽の重力が地球の形状を変形させる潮汐効果の補正(年間で最大±2cm)
・重力場による光路の歪みを生ずる一般相対論効果の補正
○測地VLBIの研究事例紹介
ハワイ局と鹿島局のアンテナを利用したプレート運動の実測例など。
著 書:近藤冨士信 近藤哲朗 高橋幸雄
出版社:オーム社
VLBIとは超長基線電波干渉計(Very Long Baseline Interferometry)といわれる技術で、空間的に離れた位置にある複数個の電波望遠鏡をあたかも1個の大型電波望遠鏡であるかのように連動させて測定する技術である。VLBIを用いると空間分解能を飛躍的に改善することができる。
VLBIを実現するためには、観測時間帯域(数時間=約1万秒)に対して、0.1ナノ秒以下の測定精度が必要となる。これは10の-14乗の安定度を要求するものであり、基準時間源として水素メーザーが使われる。
○直径積
2個の電波望遠鏡で干渉計を組む場合を想定し、それぞれの直径をD1[m]、D2[m]とすると、経験的に直径積S=D1×D2=100[m2]あれば良いことが知られている。中央局が30m級のアンテナを保有していれば、各所に配備するアンテナは3~4mのもので十分となる。
○空間分解能の改善効果
電磁波の回折理論によれば、直径D[m]、波長λ[m]とすると、空間分解能はλ/D[rad]で与えられる。距離L[m]離れた2個のアンテナを共通のローカル信号で結合した電波干渉計を構成すると、空間分解能はλ/L[rad]に改善される。
ローカル信号をケーブルで結合する場合にはLは10kmが限度であるが、同期させた原子時計を用いれば1万km以上の基線距離を持つ電波干渉計も可能となる。
○測地VLBIの精度
地上測量の精度は6桁が限度といわれており、100kmの測定で10cmの誤差が入り込むことは避けられない。それに対し測地VLBIでは10桁の精度が確保できる。これは大陸間距離1万kmを1cmの精度で測定でき、大陸移動(プレートテクトロニクス)の年間数cmという超微速の動きを実際に検出できるようになった。
○データ解析
相関処理が基本的な手法となる。かなり詳しく書かれている。
○物理モデルと補正の考え方
・月と太陽が地球回転に及ぼす歳差運動と章動運動の補正(最も影響大)
・大気遅延効果と電離層遅延効果の補正
・月と太陽の重力が地球の形状を変形させる潮汐効果の補正(年間で最大±2cm)
・重力場による光路の歪みを生ずる一般相対論効果の補正
○測地VLBIの研究事例紹介
ハワイ局と鹿島局のアンテナを利用したプレート運動の実測例など。