★★★ 芦坊の書きたい放題 ★★★

   
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第296回 ネット映像ビジネスの時代

2018-11-30 | エッセイ

 もはや古い話題になりますが、サッカーのワールドカップが終わりました。午前3時からの試合が多く、会社勤めのファンの皆さんは、いろいろ苦労されたようです。そんな中、サッカー大好きなGさんの工夫が、興味を引きました。

 3時からの試合を、予約録画します。そして、普段より少し早めに起きて、勝敗の情報は一切遮断した上で、ビデオを見て、出社という段取りです。夜更かしを避けつつ、試合をリアルに楽しむ工夫だなぁと感心しました。

 つまらない番組が多く、若者を中心に、テレビ離れが進む中、人気スポーツの生中継が持つドキドキ、ワクワクのリアル感が見直された時期でもありました。とはいえ、サッカーワールドカップのような美味しいコンテンツがそうそう転がっているわけでもなく、テレビ業界の先行きの厳しさは変わりません。

 考えてみれば、今や、テレビというメディアは、いかにも「不自由」です。

 ひとつのテレビ局で作って流せる番組(コンテンツ)は、いくらがんばっても、1日に最大24時間分です。衛星放送、それにケーブルテレビまで含めても、その質と量には、限りがあります。また、番組は、テレビ局が決めた順番で流されます。録画という手はありますが、取り溜めた番組の管理などの問題がついてまわります。しかも、それを観るためには、基本的にテレビ受像機というかさばる機械の前に身を置かなければなりません。

 一方、ネットの世界へ目を向けるとどうでしょうか。

 サービス提供側は、基本的に、ネットという広大な世界に、サーバーの容量が許す限りの映像コンテンツ(その量と質は問われますが)を置いて、それにアクセスできる仕組みを作るだけです。

 見る側では、PC、スマホ、タブレットなど様々な機器が利用可能になっています。無線回線
では、ギガビット単位で情報のやり取りできる5G規格の登場が目前です。
 見たいコンテンツを「自由に選んで」、「時、場所などを選ばず」、「自分の好みの機器で」楽しむ時代が到来してます。

 加えて、若者のネット志向があります。総務省調査(2016年)によると、テレビ(リアルタイム)とネットの利用時間(平日一日平均)は、10代で、89分対130分、20代で、113分対156分と、明らかにネット優位となっています。テレビを持たない若者も増えていると聞きます。

 そんなおいしいマーケットへ、IT関連の大手企業が雪崩を打って、参入しています。アマゾン、フェースブック、グーグル、アップルなど名だたる企業がそれぞれのやり方で、事業を展開し、激しい競争を繰り広げています。

 そんな中から、現状で最大手ともいえるNETFLIX(ネットフリックス)のケースをご紹介しようと思います。ラインナップ画面の一部です。


 元々は、オンラインによるDVDレンタルサービスを行う会社です。2008年に、ネットを利用して広く映像一般のストリーミング配信を行う会社へと大きく舵を切り、大成功を収めています。そのポイントは、3つに集約できそうです。

 まず第一に、月額料金が安いことです。
 2015年にサービスを開始した日本の場合、最安のプランは、月額650円(税別)となっています。

 第二は、当然のことながらコンテンツの充実です。今や、ハリウッドに製作の拠点を置いて、自前で映画やドラマの制作にも乗り出しています。それやこれやで、全世界でのコンテンツ投資額は、2017年で60億ドル(6500億円)、2018年には80億ドル(9000億円)というからスゴいです。

 第三は、レコメンド機能の充実です。利用者の視聴傾向を分析し、最適と思われるコンテンツを「お奨め」してくれます。単なる映像配信会社じゃない。ビッグデータの分析、利用も担う最先端のIT企業なんだという彼らなりの戦略なんでしょう。私には余計なお世話でしかありませんけど・・・
 それやこれやで、2018年3月現在の全世界での加入者数は、1億2500万人です。いい悪いはともかく、ネットが世の中のありようを変えている現場に立ち会ってるのを感じます。

 すっかりテレビ離れした上に、映像離れしている私は、情報収集の基本は「本」から、そして、「ネット「も」」利用、というスタイルを、相変わらず続けて行くことになりそうです。

 いかがでしたか?次回をお楽しみに。


第295回 人名いろいろー3

2018-11-23 | エッセイ

 「どっちがホントの芦坊さんですかぁ」と、いつもの店でよく一緒になる(自称)最若手のmiya君から訊かれました。

 わりと真面目な記事を、毎週きちんとアップしている私と、店でウダウダ飲んでる私とにギャップを感じてるみたいです。「それはな、レコードにA面とB面があるように、どっちも私や」と説明しましたが、通じたんでしょうか?
 そんな彼から、新聞の切り抜きコラムを、「ネタに使ってもらえれば」とスマホで見せられました。「それはありがたいね。どれどれ」と覗いてみると、朝日新聞のこんなコラム記事でした。

 「「ヒトラー」とレーニン」火花」とのタテ見出しの横に「ペルーの村長選巡り」とのヨコ見出しが踊っています。人口3千人ほどのペルーの村長選挙で、返り咲きを目指す「ヒトラー・アルバサンチェス」氏と、それを阻止しようと立候補した「レーニン・ウラジミール・ロドリゲス」氏との選挙戦の話題です。「善いヒトラー」をキャッチフレーズにした「ヒトラー」氏が当選しました。

 「レーニン」氏は、記者の取材に「父親が人々の平等にあこがれる理想主義者で、この名前をつけた」と語ったとあります。
 一方、「ヒトラー」氏が生まれた頃は、外国風の名前をつけるのが流行だったといい、父親が「無学で、ヒトラーがどんな人物か知らなかった」のでこの名前を選んだのだという。改名も考えたが、「父が与えてくれた名前で生きていくことにした」と語ったといいます。

 子供の名付けを巡っては、いろんな親の思い、ミニドラマがあるものですね。
 「「スターリン」と「レーニン」火花」だったら、もっと面白かったのに」とのmiya君のコメントが、いかにも彼らしくて、笑いました。

 さて、以前、「人名いろいろ」(第165回、258回)で、人名を巡る話題をお届けしたことがあります。ほかに新しいネタあれば、miya君のネタと合わせて1本の記事になるな、と思いながら「超辞苑」(B.ハートストン/J.ドーソン 本田成親/吉岡昌起訳 新曜社)を繰りました。いろんな分野のトリヴィア知識を集めた本で、人名に関する話題もいくつか見つかりましたので、「人名いろいろ」のパート3として、合わせてご紹介しようと思います。

 まずは、先ほど話題にしたレーニン関連のネタです。

 1983年、イギリス労働党の党首に選出されたニール・キノック(Neil Kinnock)のアナグラム(文字の並べ替え)は、
 "I knock Lenin."(私は、レーニンをこきおろす)となります。ちなみにこんな方。


 また、大ロンドン市議会の労働党党首ケン・リビングストン(Ken Livingstone)のアナグラムは、
 "Votes Lenin king."(レーニンを王に選出しよう)となるんですね。
 (欧米人て、アナグラム好きみたいです。funeral(葬式)のアナグラムは、real fun(抱腹絶倒)だ、なんて面白がってますからー芦坊コメント)

 次は、日本人にはあまり馴染みがありませんが、アイスランドという国の名付けのルールです。

 アイスランド人には、姓がありません。姓に代わるものとして、男性の場合は、父親のファーストネーム+son、女性の場合は、同じく父親のファーストネーム+dottir(娘の意)を使用する、というのが決まりです。
 したがって、電話帳も、ファーストネームのアルファベット順になります。
 (なんだか、すぐ友だちになれそうな気がします。行ったことないですがー芦坊コメント)

 最後に、名前を巡って、最高裁まで争った例です。

 1977年、ニューヨーク州最高裁は、3年間の審議の末、エレン・クーパーマンが「クーパー・パーソン」と改名することを許可しました。
 エレンは女性だったため、"Cooperman"の”man"を男女どちらでも使える”person"と名乗ることを望んだのです。「彼女の申し出は馬鹿げており、ナンセンスである」との下級裁判所の判決をくつがえした「画期的」ものとなりました。
(アメリカでは、manがつく職業名などの言い換えが進んでいます。
 chairman(議長)をchairpersonのように、manをpersonに置き換えるのもありますし、
policeman(警察官)を、police officerに、fireman(消防士)は、fire fighterへという例もあります。個人名でその流れを認めたという意味で「画期的」な判決かもー芦坊コメント)

 いかがでしたか?それでは次回をお楽しみに。

<追記>「人名いろいろ」として、過去2回、「第165回」第258回」、そして後ほど「第384回」でも取り上げています。合わせてご覧いただければ幸いです。


第294回 昨今の「本の街」

2018-11-16 | エッセイ

 飲みに出たついでに時々立ち寄る本の街、神保町。

 ある古書店(画像とは関係ありません)の棚を見ていると、こんな張り紙がしてあるのに気がつきました。

 「店内でのスマホの利用はご遠慮ください」

 店の人に確かめた訳じゃないので想像ですが、大規模ネット書店なんかの売値との比較を店内で堂々とする人がいるんじゃないでしょうか。
 店の外でチェックするのまでは、どうこう出来ませんけど、店主さんの気持ちを忖度するに「この値段は、私のその本に対する知識、経験に基づく評価を集大成したもので、自信を持っています。それがあなたの評価と合えばお買い求めください」みたいなことになるでしょうか。

 古書店にとって、今やネットは、販促につながる間口であり、ツールです。
 一方で、例えば、値段の比較が簡単にできてしまうなどお店にとっては痛し痒しの存在でもあります。

 かれこれ10数年くらい前でしょうか。靖国通りに面している「本と街の案内所」(今も、看板だけは出ていますが、現在は、活動休止中のようです)で、ボランティアをやっていたことがあります。
 こんな分野に強い書店は?文庫が充実してるのは?この本はどこで?などのほか、美味しいカレー屋は?など種々雑多な問い合わせに対応してました。

 神保町の古書店を網羅した立派なパンフがあり、自分の足で調べてきた店の特徴なんかも思い浮かべながら案内するのですが、具体的に書名などが分かっている本を調べる時は、案内所内にあるパソコンで、「BOOK TOWN じんぼう」にアクセスするのが常でした。

 そのサイトですが、「書店を探す」のと、「古書データベース」が柱です。

 「書店を探す」には、50音別に各古書店の概要、専門分野などの紹介のほか、お店のホームページへのリンクも張ってあり、コンパクトで使いやすい作りです。現在、約150の古書店が登録されていますが、各お店のホームページでは、そこの在庫が検索できる仕組みを採用しているところがほとんどです(お店により、登録件数の多い少ないはありますが)。

 「古書データベース」では、書名、著者名、キーワードのいずれかで、このシステムに加盟の「各店舗横断」で、検索できるのが大きな特徴です。ただし、在庫本の登録・管理は、各お店に任されているようで、単価の安い文庫本、新書などは登録が少ないのが、やむを得ないとは思いつつ、ちょっと残念です。

 店売り中心(今でもほとんどのお店がそうだと思いますが)と思われがちですが、神保町にお店を構える古書店が、力を合わせて、「本の街」として、ネットへの対応に比較的早い時期から取り組んでいた訳です。

 少し前のこと、このシステムのお世話になったことがあります。

 たまたま映画関係のある本を探していたのですが、この分野なら、Y書店にあるかも、と思いながら、「古書データベース」を検索したら、見事、その書店に在庫があることが分かりました。
 そこで働いているMさんは、私の行きつけのスタンドバーを時々手伝っているとても気のきく美女です。

 さっそく書店に寄ってみると、折よく、彼女が帳場にいます。スタンドでは軽口をたたく間柄ですが、ほかのお客さんとかの手前もありますから、柄にもなくタメ口は封印して、神妙に切り出しました。

 「あの~、神保町のデータベースで見ましたら、この本がお店にあると出たんですが・・・・」
 「はいはい、ちょっと棚を調べてみますね」とにこやかに応えて、探してくれます。
 ややあって、「あっ、ありました。これですか?」
 「そうそう、それです。よかったぁ。しっかり登録、管理していただいていているんですね。助かりました」
 言葉は他人行儀ながら、お互いに顔はニコニコ。私もいい歳して、久しぶりに、胸がときめいてしまいました。

 普段は、大規模ネット通販書店に頼りがちな私。でも、入口はネットでも、購入の段階では、リアルなお店の人とのヒューマンな触れ合いがある、こんな古書の買い方も悪くないなと感じました。

 いかがでしたか?次回をお楽しみに。


第293回 中華的英語教授法-英語弁講座21

2018-11-09 | エッセイ

 英語の学習への「熱意」では、日本は指折りの国だと思いますが、中国も負けてはいないようです。「クレイジー・イングリッシュ」というDVD(1999年 中国製作)を観て、その感を一層強くしました。
 リー・ヤンという青年英語教師が、中国各地で、大群衆を相手に、クレージー(本人がそう称しています)に繰り広げる英語教育を追ったドキュメンタリーです。こんなパッケージです。

 



 舞台は、大学、紫禁城、解放軍キャンプ、万里の長城など、とにかく人が集まれるあらゆる所に及びます。群衆の数は、少ない場所でも数千人、多い時には、数万人にもなります。インタビューの中で、本人が、一番多い時には、1日3回の講演(公演?)で、合計10万人を動員したことがある、と語っています。

 彼の講演はとにかくハイテンションでパワフルな絶叫調。「生徒」を巻き込み、全身を使ったパフォーマンスが展開されます。

 まずは、英語を身につける必要性が熱く呼びかけられます。
 「今まで、中国はアメリカ、ヨーロッパ、日本などの国から、おいしい市場として散々利用されて来た~!! これからは、我々が、「英語」を勉強して。それらの国に進出する~!!目的は「金儲け」だ~!!」
 ここは、一体どの国だったっけ、と思わせますが、今の中国の人々をモチベートするには十分すぎるメッセージです。

 そして、彼が繰り返し強調するのは、英語をしゃべるための口腔筋肉を鍛える3原則。
 「(できるだけ)大きく、早く、明瞭に」というもの。講演の中では、ひとつのフレーズを、一定時間の中で、どれだけの回数言えるかを競わせたりしています。
 口腔筋肉が鍛えられるかどうかは別にして、英語に自信がないと、モゴモゴと、声も小さくなりがち。「大きく、明瞭に」は、万国共通の大事な心掛けに違いありません。

 さて、その「教育」ぶりですが・・・・

 スタッフとの朝のジョッギングでは、体育会系のノリで、こんな掛け声をかけています。
 "I enjoy losing face. I enjoy losing face.・・・・・"
 「恥をかくのをおそれないぞ〜」といったところでしょうか。知識はあるのに、恥をかくことをおそれて、英語を使いたがらないのは、日本人に限らないみたいで、有効なスローガンのようです。

 商売をやっているらしい集団での講演では、こんなフレーズを繰り返し練習しています。
 "I wish I could. I wish I could. ・・・・・・
 「ご希望には添えればいいのですが、あいにく・・・・」
 確かに、商売では必須の言い回しではありますが、いきなりかよっ、と笑ってしまいました。
 同じ会場では、
 "I've heard so much about you."(お名前はかねがね伺っております)
 のような如才ない例文を、短時間でいかに早く言えるかの競争をさせるなど、工夫も見えます。

 別の大きな会場では、現在完了進行形の勉強です。
 "I have been wanting to buy a car."(ずっーと、車を買いたかったんです。)
 いまから、20年近く前ですから、人々の多くの夢であり、切実な例文だったのでしょうか。

 万里の長城で、解放軍の兵士を相手に、教えています。
 ”Never let your country down."(祖国をダメにするな)
 "No pain,no gain"(苦労なくして、得るものなし)
 解放軍の皆さんの胸には響きそうな例文です。
 同じ会場では、観光客用に空けてあるスペースを、たまたま通りかかった欧米人をつかまえて、英語でちょっとした挨拶をお願いしたりのちゃっかりぶりも発揮しています。

。中学生相手の講演では、"Thank you."、"You are welcome."、"What's your name?"などの基本的なフレーズをいかに大きな声で言えるかを競わせているのが、微笑ましい風景でした。
 "I want to be somebody someday."(将来、成功者になるぞ!)なんて叫ばせて、煽(あお)ったりもしてます・・・・

 映画ですから、その教え方のクレージーぶりが中心にはなりますが、所々に挿入されるインタビューでのリー先生は、意外ともの静か。3億人の中国人が英語を話せるようにしたいとの夢と使命感に溢れた好感の持てる人物でした。

 さて、残念ながら、映画の予告編は見つかりませんでしたが、40代に入ったリー先生の活動ぶりを伝える映像は見つかりました。こちらです)

 いくぶん丸くなった気もしますが、熱意は相変わらずのようで、こりゃ、日本人も、うかうかしてられませんぞ。

 いかがでしたか?次回をお楽しみに。


第292回 オークション今昔

2018-11-02 | エッセイ

 久しぶりに、ネットオークションを利用しました。

 10数年来使っているガラケー本体の裏にある充電池蓋を失くしたのです。たまたま緩んでいて、出し入れの時に落としたようです。通話とかには支障はないので、ゴム板とテープでとりあえず補修しましたが、どうもしっくりしません。

 蓋が必要なだけなんですけど、ものは試しと、オークションサイトをあたってみると、同機種の中古で、色も同じのが出品されてました。終了まで3時間ほどで、スタート価格は500円、入札者が1名います。

 こりゃ行くするしかないと入札しました。ライバルはひとりですが、終了時間が近づくと、10円刻みで、じりじりと値が上がって行きます。年甲斐もなくドキドキしましたが、710円(送料別)で、無事落札できました。

 それからの流れですが、今回利用したサイトの場合、昔、利用していた頃より使い勝手がよくなり、個人情報のやりとりも最小限にして、安心して取引が出来るようにするなど、いろいろ改善されているのが分かりました。

 かつては出品者と落札者とは、直接メールでやりとりしましたが、今は、オークションサイトが管理している落札者と出品者専用のメッセージボードのようなものを通じて行います。相手が書き込めば、サイトからメールで知らされます。
 落札の通知、落札品の送付先(個人情報として、これだけは送らざるを得ません)の連絡、代金支払いの通知、発送通知、受領通知など節目節目の進捗もサイトが管理していますので、その誘導に従ってアクション(支払い、発送など)なり、ボードで連絡すれば、取引はスムーズに進みます。
 落札品の受領通知が出品者に送られて、はじめて代金が出品者に支払われるのも、双方にとって、安心できる仕組みです。

 3~4日経って届いた品は、思ったよりいい状態でした。充電池も問題なく、現用機が使えなくなれば、SIMを入れ替えて十分使えそうです。オークションとハサミは使いようであるな、と実感できました。

 ネットのおかげで身近になったオークションですが、「オークションの社会史」(ブライアン・リアマウント 中村勝監訳 高村書店)によると、記録に残る最古のオークションは、バビロニアの花嫁オークションだというのです。

 セリはまず器量の良い順に始まり、ついで不器量な娘に移るのですが、後者の場合は、前者のセリでプールされたカネが、持参金として添えられました。
 美人を妻にする男は、カネを出さなければならず、不美人なら逆にカネを貰えるというシステムです。男にとっては「都合がいい」というのか「合理的」というのかよく分かりませんが・・・

 ローマ帝国がオークションにかけられたことがある、というのも驚きの歴史です。
 
 クーデターを起こした皇帝親衛隊がオークションにかけ、大金持ちのユリアヌスが落札して皇帝になりました。こちらです。

日本という国を食い物にして,タタキ売りしてる役人、政治家などと大して変わりない気がします。

 オークションが発達したのは、18世紀の黒人奴隷の売買がきっかけで、その主役はイギリスです。
 安価な工業製品をアフリカへ、アフリカからは奴隷を西インド諸島やアメリカへ、そして、そこで生産される砂糖や綿花をヨーロッパに持ち込むという三角貿易で莫大な富を手にします。その時、売買を有利に取り運ぶために利用されたのが、オークションという仕組みでした。

 そのノウハウが、18世紀後半にロンドンで開業したサザビーやクリスティーというオークション会社に引き継がれました。
 公正な鑑定を行ったり、正確なカタログを作ったりと企業ブランドを高める努力もあって、今や、世界を代表するオークション会社です。その両社がロンドンを本拠に活動しているのにはそんな歴史的背景があったんですね。

 まあ、一生縁のないそんな会社のことはほっといて、ネットオークションを、必要により、ほどほどに、うまく、利用していくしかないのかな・・・そんなことを考えています。

 いかがでしたか?次回をお楽しみに。