「どっちがホントの芦坊さんですかぁ」と、いつもの店でよく一緒になる(自称)最若手のmiya君から訊かれました。
わりと真面目な記事を、毎週きちんとアップしている私と、店でウダウダ飲んでる私とにギャップを感じてるみたいです。「それはな、レコードにA面とB面があるように、どっちも私や」と説明しましたが、通じたんでしょうか?
そんな彼から、新聞の切り抜きコラムを、「ネタに使ってもらえれば」とスマホで見せられました。「それはありがたいね。どれどれ」と覗いてみると、朝日新聞のこんなコラム記事でした。
「「ヒトラー」とレーニン」火花」とのタテ見出しの横に「ペルーの村長選巡り」とのヨコ見出しが踊っています。人口3千人ほどのペルーの村長選挙で、返り咲きを目指す「ヒトラー・アルバサンチェス」氏と、それを阻止しようと立候補した「レーニン・ウラジミール・ロドリゲス」氏との選挙戦の話題です。「善いヒトラー」をキャッチフレーズにした「ヒトラー」氏が当選しました。
「レーニン」氏は、記者の取材に「父親が人々の平等にあこがれる理想主義者で、この名前をつけた」と語ったとあります。
一方、「ヒトラー」氏が生まれた頃は、外国風の名前をつけるのが流行だったといい、父親が「無学で、ヒトラーがどんな人物か知らなかった」のでこの名前を選んだのだという。改名も考えたが、「父が与えてくれた名前で生きていくことにした」と語ったといいます。
子供の名付けを巡っては、いろんな親の思い、ミニドラマがあるものですね。
「「スターリン」と「レーニン」火花」だったら、もっと面白かったのに」とのmiya君のコメントが、いかにも彼らしくて、笑いました。
さて、以前、「人名いろいろ」(第165回、258回)で、人名を巡る話題をお届けしたことがあります。ほかに新しいネタあれば、miya君のネタと合わせて1本の記事になるな、と思いながら「超辞苑」(B.ハートストン/J.ドーソン 本田成親/吉岡昌起訳 新曜社)を繰りました。いろんな分野のトリヴィア知識を集めた本で、人名に関する話題もいくつか見つかりましたので、「人名いろいろ」のパート3として、合わせてご紹介しようと思います。
まずは、先ほど話題にしたレーニン関連のネタです。
1983年、イギリス労働党の党首に選出されたニール・キノック(Neil Kinnock)のアナグラム(文字の並べ替え)は、
"I knock Lenin."(私は、レーニンをこきおろす)となります。ちなみにこんな方。
また、大ロンドン市議会の労働党党首ケン・リビングストン(Ken Livingstone)のアナグラムは、
"Votes Lenin king."(レーニンを王に選出しよう)となるんですね。
(欧米人て、アナグラム好きみたいです。funeral(葬式)のアナグラムは、real fun(抱腹絶倒)だ、なんて面白がってますからー芦坊コメント)
次は、日本人にはあまり馴染みがありませんが、アイスランドという国の名付けのルールです。
アイスランド人には、姓がありません。姓に代わるものとして、男性の場合は、父親のファーストネーム+son、女性の場合は、同じく父親のファーストネーム+dottir(娘の意)を使用する、というのが決まりです。
したがって、電話帳も、ファーストネームのアルファベット順になります。
(なんだか、すぐ友だちになれそうな気がします。行ったことないですがー芦坊コメント)
最後に、名前を巡って、最高裁まで争った例です。
1977年、ニューヨーク州最高裁は、3年間の審議の末、エレン・クーパーマンが「クーパー・パーソン」と改名することを許可しました。
エレンは女性だったため、"Cooperman"の”man"を男女どちらでも使える”person"と名乗ることを望んだのです。「彼女の申し出は馬鹿げており、ナンセンスである」との下級裁判所の判決をくつがえした「画期的」ものとなりました。
(アメリカでは、manがつく職業名などの言い換えが進んでいます。
chairman(議長)をchairpersonのように、manをpersonに置き換えるのもありますし、
policeman(警察官)を、police officerに、fireman(消防士)は、fire fighterへという例もあります。個人名でその流れを認めたという意味で「画期的」な判決かもー芦坊コメント)
いかがでしたか?それでは次回をお楽しみに。
<追記>「人名いろいろ」として、過去2回、「第165回」と「第258回」、そして後ほど「第384回」でも取り上げています。合わせてご覧いただければ幸いです。