★★★ 芦坊の書きたい放題 ★★★

   
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第231回 大阪弁講座−27 難読地名その4(喜連瓜破ほか)

2017-08-25 | エッセイ

 だいぶ間が空いてしまいましたが、第4弾になります。とりあえず、大阪の難読地名シリーズの最終回になります。いずれ、ネタが集まれば、またお届けしたいですが・・・

<< 喜連瓜破(大阪市平野区 難読度4) >>
 たまたま通ったことはあるかも知れませんけど、わざわざ行ったことはありません。平野区は、大阪市内の南の端。地図で見ると、割と賑やかそうなエリア。なんでこの地名を取り上げるかというと、小さい頃、市営地下鉄(谷町線)の行き先表示で馴染んでいたから。今は、そうじゃないと思いますけど、当時は終点だったんじゃないでしょうか。とにかく、漢字4文字で、ゴツい感じがする上に、なにしろ終点ですからね。一体、どんなところなのか想像もつかない。すごい田舎かなぁ、などと、失礼なことを考えてました。

 今回、調べてみて分かったんですが、実は、私も読み方間違ってました。「きれんうりわり」だと、ずーっと信じてたんですが、正しくは、「きれうりわり」なんですね。「ん」なんか読むの面倒くさいから、飛ばしてしまえ、みたいなノリで決まったんだとしたら、いかにも大阪的。それやこれやで、難読度は4。

<< 大国町(大阪市浪速区 難読度3) >>
 市営地下鉄御堂筋線だと「なんば」のひとつ先(南より)の駅。大阪のオッチャンに「大国町といえば?」と訊くと、ほぼ間違いなく「靴の大国町」という答えが返ってくるはず。

 小さい頃、駅名のアナウンスでも「次は、「靴の「だいこくちょう」」と言ってたような記憶がある(あまり自信はないですが)。確かに、かつては、靴に関連した店、会社が密集していたエリア。でも、数年前、どんな用事かは忘れましたが、たまたま降り立った時、駅の構内はがらんとして、町にも往時の活気はなく、時代の移り変わりを感じました。現在の街の様子です。



 「大国」をどう読むか?苗字だったら。「おおくに」ですかね。ニュースなんかだと「たいこく(超大国の「たいこく」ですね。)。「だい」と「こく」って、それぞれは、まんま普通の読み方なんだけど、組み合わせの妙というか、フェイントがかかって、難読度は、独断の3。

<< 中百舌鳥(堺市 難読度4) >>
 大阪のオッチャンにとっては、なにより、南海ホークスの練習グラウンドがあったところとして、記憶に残っている。大阪と和歌山の中間辺りに位置する。私も足を運んだことはないが、「今日、チームは、中百舌鳥グランドで、調整に汗を流しました」などと、ラジオの野球中継でよく聞いたものです。なんたらバンクとかいう会社のハゲ社長も生まれてたか、生まれてないかの頃の話。

 百舌鳥が「もず」と読めれば、「なかもず」と自然に読めそう。漢字の知識が問われる地名かも。野球に関心のないオッチャンのことも考慮して、難読度は4。

<< 大豆塚(大阪府堺市 難読度5) >>
 ネットからのネタです。堺ですから、大阪府のだいぶ南のほうになります。
 「大豆を「だいず」、塚は「づか」。だから、「だいづか」じゃないの?」
 「う~ん、残念!」正解は、「まめづか」

 「なにぃ~、「大」の字ぃ、読んだらんかい!可哀想に、余っとるやないか!」
 大阪のオッチャンから、思い切りツッコミが入りそうなので、取り上げた次第。地名としてのマイナー度と合わせて、難読度は5。

 お楽しみいただけましたか?引き続き、「書きたい放題」ともども、当「大阪弁講座」コーナーもご愛読ください。

<追記>過去の難読シリーズへのリンクです。<第186回><第199回><第213回>。合わせてお楽しみください。


第230回 続・テレビ離れ

2017-08-18 | エッセイ

 以前、このブログで、私自身のテレビ離れぶりと、世の中のテレビ離れぶりを、ざっとご紹介しました(第140回 「テレビ離れ」)。ツマラない番組の垂れ流しは、相も変わらず続いていて、テレビ離れはどんどん進んでいるようです。

 その時はご紹介できなかったデータが、目にとまりましたので、ご紹介かたがた、続編をお送りしようと思います。

 まずは、日本のデータから。

 現在、日本で、唯一、テレビの視聴率調査をしている「ビデオリサーチ社」(以下、「リサーチ社」)のサイトを見ていたら、1996年から、2016年までの年間高視聴率番組ベスト30というのが出てます。

 最も古い1996年は、紅白歌合戦の53.9%を最高に。
 40%台が4番組、30%台が16番組、20%台が9番組で、30位の視聴率は、29.0%
 という内訳です。

 さて、最新の2016年ですが、トップは、紅白の40.2%で、40%台はこれだけ。
 30%台も、2つだけ、20%台が17で、30位の視聴率は、21.3%という結果です。

 視聴率の数字そのものの信頼性については、とりあえず脇に置いたとして、両方の数字を並べて比べれば、テレビ離れが、現実のものとなっていることがよく分かります。 

 さて、アメリカのデータです。
 ちょっと古いですけど、3大ネットワーク(ABC、NBC、CBS)の夜のニュースの視聴者数(一日当たり)が、2000年には、3200万人であったのが、2008年には、2300万人へと。3割近くもダウンしているというのです。ネットの影響もあるとはいえ、海のむこうでも、テレビ離れは、着実に進行しているようです。

 さて、これだけ「テレビ離れ」が進む中で、テレビ局、スポンサー、広告代理店が、相変わらず、しがみついてる視聴率って、どんなものなんでしょうか?

 今どきのことなので、リサーチ社も努力はしているようです。テレビを見るスタイルの変化に対応して、「個人別」の視聴データとか、「録画」で視聴したデータをサンプル調査しています。最近では、サンプルも増やしたしています。

 だけど、なんの断りもなく、単に視聴率と言った場合は、「「世帯」視聴率」を指す、というのが、「業界」の常識なんですね。
 分母は、調査用の機械を置いているサンプル「世帯」数(関東地区の場合、ず~っと600世帯でしたが、最近、900世帯に増やしました)で、分子は、ある番組を見た「世帯」数になります。

 一家に一台のテレビを、家族が茶の間に集まって見る・・・そんな状況を前提にしてるんですから、いかにも時代遅れ。かつては、これが日常風景でした。


 でも、ず~っと、それでやってきてますから、今更、いろんな数字を出して、混乱させたくない(詳しいデータを出せば、数字は下がるに決まってますから)、数字の継続性とかもあるし、、、、という認識を関係者で共有してるんでしょうね。

 そんな程度の数字なので、精度とか信頼性を云々するのは、ナンセンスだと分かっていますが、ず~っと抱いている疑念があります。

 自分がモニター(調査対象世帯)になったら、と考えた時に浮かぶ疑念なんですけど・・・・
 
 特に見たい番組がない、ほかの用事をしている、時には外出してる・・・そんな時、普通は、テレビを消します。調査用の装置もオフになるはず。

 ですけど、「モニターの私」は、「これはいろんなことに使われる大切なデータだとリサーチ社の人から言われてる。おカネも貰ってる」
 「だから、テレビを見てない時も、テレビはつけたまま(チャンネルは適当に合わせて)にしておいて、調査に「協力」しておこう」
 そんな「忖度」が働いて、視聴率の数字が水増しされるような気がして、仕方がありません。

 そんな「忖度」での水増しはどれくらいか?
 全く根拠はないですが、5軒や6軒に1軒くらいは、そんないい加減な(協力的な?)家があるとして、15%といっても、せいぜい10%くらいかな、と勝手に想像しています。

 ともあれ、止めようがない「テレビ離れ」の中で、いまだに「視聴率」というあやふやな数字に振り回され、一喜一憂してる「業界」の人たち。

 「メデイアの王者」「娯楽の王者」というプライドだけは高いのが、どうにも困ったもんですが・・・「裸の王様」という陳腐な言葉を思い出しました。

 いかがでしたか?次回をお楽しみに。


第229回 外国人にとっての日本語

2017-08-11 | エッセイ

 随分昔の話ですが、かつて、私の部下だった女性が、イギリス人と結婚して、向こうで暮らすことになりました。「しばらくは、ほかにすることもないので、日本語でも教えようかなぁ、と思ってる」とのメールが来たので、「漢英辞典」(漢字の意味や熟語を、英語で説明した辞書)を送ったりして、サポートしましたが、その後、この件について、報告はないので、どうも諦めたみたいです。

 何十年使い慣れてきた日本語を教えるのだから、簡単、簡単と思いがち(彼女がそうだ、というわけではないですが)。だけど、考えてみれば、体系立てて教えるには、日本語はもちろん、日本の文化、習慣なども含めた幅広い知識を大前提として、「教える技術」も大切なわけで、気軽にチャレンジできる分野ではなさそうです。

 「日本人の知らない日本語」(蛇蔵&海野凪子 メディアファクトリー)というコミックエッセイのシリーズがあります。日本在住の外国人向けの日本語教師としての悲喜交々の日々を、面白おかしく描かれているのを読むにつけ、そんなことを感じます。こちらです。



 女性の生徒が、突如、授業中に体調をくずして、救急車で病院に運ばれるエピソードがあります。付き添っていった日本語教員から、著者があとから聞いた話では、患者が、日本語学校の生徒で、ある程度通じると分かった医者が、矢継ぎ早に質問する。

 「どうされましたか」「腹痛と伺いましたが心あたりは」
 しかしながら、全く通じない。そこで、日本語教師が、医者の「日本語」を、
 「どこが痛いですか」「朝、何を食べましたか」と彼女に分かる「日本語」に通訳して、やっと話が通じたという。生徒の学習レベルに会わせた「日本語」でコミュニケーションを取れる技術というのも、日本語教師に必須である事がよく分かる。

 日本語が分かるとなったら、相手のレベルも考えずに、普段の日本語でしゃべってしまうーこの医者のことを笑えないと思います。で、著者が、日本語初級程度の外国人を想定して説く「外国人に分かりやすい日本語とは?」が興味深い。

 1.「です」「ます」で話す。
  「ここをグッと推すのよ」ー>「ここを押します」
 2.漢語ではなく和語を使う
  「腹痛」ー>「お腹が痛い」
  「朝食」ー>朝ごはん など
 3.過度な敬語を使わない(あくまで、円滑なコミュニケーションのため)
  「恐れ入りますが、お名前をご記入いただけませんか」ー>「お名前を書いてください」
 4.文章は短く
  「場所が変わったのであとで地図を渡したいんですけど今日(きょう)って何時までいますか」ー>「場所が変わりました。あとで地図を渡します。今日は何時までいますか」

 英語圏の人間が、日本人を含む「外国人」にこれくらいの配慮というか気持ち(特に、「文章は短く」あたり)を持って、接してくれたら、随分楽なのに、と逆に思ったりします。

 そうそう、ある程度、日本語が話せる外国人に共通の悩み、という話題も取り上げられてます。それは、日本人の場合、外国人イコール日本語が話せない人、という思い込みが強いこと。

 せっかく「あの~、すいません」と日本語で話しかけたロシアの女性。「ノー、ノー、アイ・キャン・ノット・スピーク・イングリッシュ」と、会話の入り口で、会話を拒否された。「私も英語話せないのに・・・」
 う~ん、確かに日本人にありがちな反応で笑える。

 そこで、在日20年のオーストラリア人が、生み出した「日本人に逃げられない話し方」が紹介されてる。それは、頭に「え~っとね」をつけるだけ。彼によると、この手で、何年も逃げられてたタバコ屋のオバちゃんとの会話に成功した、というから効果絶大に違いない。

 いかがでしたか?好評なら、「大阪弁講座」「英語弁講座」につぐ、世界の言語シリーズ第3弾「日本語弁講座」として、シリーズ化しますかね?まあ、あまり期待(?)しないでください。

 それでは、次回をお楽しみに。


第228回 ネコとカストラート

2017-08-04 | エッセイ

 猫の額みたいな我が家の庭を、近所のネコが我がもの顔で、よく通っています。飼いネコか野良ネコかは分かりませんが、5~6匹くらいが縄張りにしてるようです。

 先日、1階のリビングで本を読んでいて、ふと目をやると、ひょろっとした三毛猫が歩いている。牽制のつもりで、ガラス戸をコンコンと叩くと、こちらを振り返って、にらみ返してきました。10秒ほどにらみ合ったでしょうか、「ええ根性しとるやないか」とそのネコが気に入って「三毛太郎」というベタな名前を、勝手につけました。

 不思議なもので、名前をつけると、その動静が気になる。読書の合間に、ちらっ、ちらっと庭に目を向けるようになって、愛猫家ビギナーの誕生(見るだけで、飼うまでの気はさらさらありませんが・・・)。

 ネコといえば、野良ネコが増えたり、意に添わない妊娠などしないように、オス、メスを問わず、去勢手術をしている飼い主が多いようです。
 動物行動学者の竹内久美子さんのエッセイを読んでいたら、ネコを去勢をすると、寿命が伸びるという効果もある、と書いてありました(愛猫家には常識かも知れませんが)。

 オスの場合で、平均3年といいますから、人間に当てはめれば、10数年にもなります。少しでも長く一緒にいたい飼い主にとっては、ありがたいことに違いありません。
 ただし、メスの場合は、その効果は、半年程度だそうで、だいぶ差があります。

 なぜかというと、オスの去勢で除去する睾丸から分泌される「テストステロン」という男性ホルモンには、免疫力を低下させる働きがあるから、というのです。去勢は、免疫力に悪影響を与えるホルモンの供給元を断つことになり、その点では、寿命を延ばす効果がある、というのが女史の説明です。
 
 もちろん、テストステロンには、悪い面だけではなく、筋肉、運動能力といった男性の特質を引き出す役割もあるので、一方的に悪者扱いには、出来ないのですが・・・

 で、人間の場合はどうかということで、彼女の関心は、かつて存在した「カストラート」と呼ばれるオペラ歌手たちに移ります。

 思春期前の7~11歳の少年を去勢(タマ抜き)し、いわゆる「声変わり」がしないようにします。その結果、男性でありながら、ソプラノか、それに近い音域の声が出せる一方、成長ホルモンは分泌されるので、身長、骨格、肺活量などは、成人男子とほとんど変わらず、官能的で迫力のある声が人気を集めたと言われています。

 17~18世紀のイタリアで全盛を極め、記録に残る最後のカストラートは、1922年に亡くなったアレッサンドロ・モレスキとされています。こちらの方。



 人間の場合、果たして、寿命を伸ばす効果はあるのでしょうか?彼女が調べたところによれば、生没年が分かっていて、天寿をまっとうしたカストラート19人の死亡時年齢は、次のようになっています。

 80代 3人
 70代 6人
 60代 7人
 50代 2人
 40代 1人

 約半分が70代以上ですから、活躍していた時代背景などを考えれば、かなりの長命率といえます。動物という括りのなかで、共通の原理が働いているんですね。

 免疫力低下というマイナス面と、男らしさ(あくまで、社会的、文化的なものですけど)を支配する「テストステロン」を身に抱え込んだ男という存在。

 男に生まれついた我が身を、いまさら、どうこうできません。もはやテストステロンなんか出てないと思うんですけど、せいぜい健康管理に気を配って、(酒も控えめにして)日々を過ごして行こうと思います。

 いかがでしたか?それでは次回をお楽しみに。