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第292回 オークション今昔

2018-11-02 | エッセイ

 久しぶりに、ネットオークションを利用しました。

 10数年来使っているガラケー本体の裏にある充電池蓋を失くしたのです。たまたま緩んでいて、出し入れの時に落としたようです。通話とかには支障はないので、ゴム板とテープでとりあえず補修しましたが、どうもしっくりしません。

 蓋が必要なだけなんですけど、ものは試しと、オークションサイトをあたってみると、同機種の中古で、色も同じのが出品されてました。終了まで3時間ほどで、スタート価格は500円、入札者が1名います。

 こりゃ行くするしかないと入札しました。ライバルはひとりですが、終了時間が近づくと、10円刻みで、じりじりと値が上がって行きます。年甲斐もなくドキドキしましたが、710円(送料別)で、無事落札できました。

 それからの流れですが、今回利用したサイトの場合、昔、利用していた頃より使い勝手がよくなり、個人情報のやりとりも最小限にして、安心して取引が出来るようにするなど、いろいろ改善されているのが分かりました。

 かつては出品者と落札者とは、直接メールでやりとりしましたが、今は、オークションサイトが管理している落札者と出品者専用のメッセージボードのようなものを通じて行います。相手が書き込めば、サイトからメールで知らされます。
 落札の通知、落札品の送付先(個人情報として、これだけは送らざるを得ません)の連絡、代金支払いの通知、発送通知、受領通知など節目節目の進捗もサイトが管理していますので、その誘導に従ってアクション(支払い、発送など)なり、ボードで連絡すれば、取引はスムーズに進みます。
 落札品の受領通知が出品者に送られて、はじめて代金が出品者に支払われるのも、双方にとって、安心できる仕組みです。

 3~4日経って届いた品は、思ったよりいい状態でした。充電池も問題なく、現用機が使えなくなれば、SIMを入れ替えて十分使えそうです。オークションとハサミは使いようであるな、と実感できました。

 ネットのおかげで身近になったオークションですが、「オークションの社会史」(ブライアン・リアマウント 中村勝監訳 高村書店)によると、記録に残る最古のオークションは、バビロニアの花嫁オークションだというのです。

 セリはまず器量の良い順に始まり、ついで不器量な娘に移るのですが、後者の場合は、前者のセリでプールされたカネが、持参金として添えられました。
 美人を妻にする男は、カネを出さなければならず、不美人なら逆にカネを貰えるというシステムです。男にとっては「都合がいい」というのか「合理的」というのかよく分かりませんが・・・

 ローマ帝国がオークションにかけられたことがある、というのも驚きの歴史です。
 
 クーデターを起こした皇帝親衛隊がオークションにかけ、大金持ちのユリアヌスが落札して皇帝になりました。こちらです。

日本という国を食い物にして,タタキ売りしてる役人、政治家などと大して変わりない気がします。

 オークションが発達したのは、18世紀の黒人奴隷の売買がきっかけで、その主役はイギリスです。
 安価な工業製品をアフリカへ、アフリカからは奴隷を西インド諸島やアメリカへ、そして、そこで生産される砂糖や綿花をヨーロッパに持ち込むという三角貿易で莫大な富を手にします。その時、売買を有利に取り運ぶために利用されたのが、オークションという仕組みでした。

 そのノウハウが、18世紀後半にロンドンで開業したサザビーやクリスティーというオークション会社に引き継がれました。
 公正な鑑定を行ったり、正確なカタログを作ったりと企業ブランドを高める努力もあって、今や、世界を代表するオークション会社です。その両社がロンドンを本拠に活動しているのにはそんな歴史的背景があったんですね。

 まあ、一生縁のないそんな会社のことはほっといて、ネットオークションを、必要により、ほどほどに、うまく、利用していくしかないのかな・・・そんなことを考えています。

 いかがでしたか?次回をお楽しみに。