★★★ 芦坊の書きたい放題 ★★★

   
           毎週金曜日更新

第154回 ハプニングでMLB観戦

2016-02-26 | エッセイ

 旅にはちょっとしたトラブル、ハプニングがつきものですが、うまく乗り切れば、へたな名所、旧跡よりよほど思い出に残るのは確か。

 かれこれ20数年前のことです。海外視察団の一員として、アメリカのピッツバーグに泊まりました。ほかのメンバーは、事前に予約していたコンサートの方へ。私とヤマモト君の二人は、夜の予定が何もない。ホテルで訊いたら、大リーグの地元パイレーツと、メッツの試合あるという。メジャーリーグの試合を生で観る機会が来るとは夢にも思ってませんでしたから、スーツケースを置くのももどかしく、タクシーでスタジアムに駆けつけました。こちらが、そのスリー・リバース・スタジアムです。



 10月の初めなので、消化試合のはずですが、チケットは、6層式の球場のなんと最上階。球場全体の様子はよく見えますが、プレーヤーは、打ったり、走ったりしてるなぁ、というのが分かる程度。風が冷たい。

 スタジアム全体が地元一色で、電光掲示板に応援を促すメッセージが出たりする。今では、常識の球場風景ですが、当時は物珍しく、目に映りました。

 さて、ビール片手の観戦をしながら、二人ともあわてて飛び出して来たので、カメラを持ってくるのを忘れました。20数年前のことですからねぇ~、証拠写真くらい撮っておきたいのに・・・・・

 で、ふと隣を見ると、アメリカ人の親子連れがいて、父親はおもちゃのようなカメラを片手に、熱心にスコアを付けています。ここは一番、頼むしかありません。

 日本のアドレスを書いたメモを用意して、まずは事情説明から。「我々は、日本から来た旅行者で、初めて大リーグの試合を見て興奮している。記念に写真を撮りたいのだが、カメラを持ってくるのを忘れてしまった」
 「うん?」ちょっと、怪訝そうな父親に「ついては、あなたのカメラで、我々の写真を撮って、このアドレスに送って貰えないだろうか?」

 なんとか、英語が通じて、父親は破顔一笑。球場をバックに二人の写真を撮ってくれました。
 「日本にもプロ野球のチームはあるか?」「2つにリーグで、12チームあるよ」
 「アメリカンフットボールはどうだ?」「プロはないけど、大学ではポピュラーなスポーツかな」


 おかげで、スポーツをめぐってささやかな日米交流もできました。後日、無事に写真が着いたので、気持ちばかりの品を添えて、礼状を送りました。私とヤマモト君だけの心に残るハプニング、ささやかな思い出です。

 いかがでしたか?それでは次回をお楽しみに。


ごあいさつ

2016-02-18 | エッセイ

★芦坊です。いままで、「芦坊の書きたい放題」は、お店のHPの一角をお借りし、原稿のアップもマスターにお願いしていたところですが、このたび、自身のブログを立ち上げました。今後も引き続きご愛読ください。

芦坊拝



第153回 寿限無みたいな名前の虫

2016-02-18 | エッセイ

 新しいブログへ引っ越して、最初の書き込みになります。記事の中に画像を入れるのが簡単になりましたので、前から用意していた軽めの話題をお送りしようと思います。ここんところ、硬い話題が続いたような気もしていますので・・・・・

 さて、「トゲトゲ」という変な虫のことを知ったのは、「不思議な生き物」(池田清彦 角川学芸出版)を読んでから。ハムシの仲間で、体中にトゲが生えているので、「トゲトゲ」と以前から呼ばれているのだが、現在は、「トゲハムシ」という呼び名が一般的とのこと。( ↓ こんな虫です)

 


  種類が結構多い虫で、東南アジアあたりには、この仲間で、トゲのないのがいる。「トゲトゲ」がグループ名で、その上に、性質を表す言葉を付けたので、「トゲナシトゲトゲ」という名前になった。本の写真を見ると、なるほど、上半身は赤茶色で、下半身は黒っぽく、形もそっくり。トゲがないだけの違い、というのが分かる。

 ややこしい話はまだ続く。群馬大学の名誉教授で小宮というハムシの専門家が、奥多摩で、なんと、トゲのある「トゲナシトゲトゲ」を発見したのだ。それなら、ただの「トゲトゲ」じゃないの、とツッコミを入れたくなるが、その新種は、「トゲトゲ」とはかたちが違う。トゲのある「トゲナシトゲトゲ」としか言いようがない。

  確かに所収の写真を見ると、やや大振りで、お尻のところにだけトゲがある。で、めでたく(?)「トゲアリトゲナシトゲトゲ」と命名されたのだという。

  話はまだ終わらない。今度は、ニューギニアで、「トゲアリトゲナシトゲトゲ」の仲間で、トゲのないものが発見されたというのだ。はたして、「トゲナシトゲアリトゲナシトゲトゲ」と命名されたかどうかまでは、著者も歯切れがやや悪いが、なんとも楽しい話ではある。

  いかがでしたか?次回をお楽しみに。 


第152回 骨董の世界

2016-02-12 | エッセイ

 一時期、骨董・・・と言うほど立派なものでなく、キッチュと呼んだほうがいいような珍奇なモノ集めに凝ってました。金額は、月々の小遣いの範囲内。対象は、デザインが面白く、ちょっと身のまわりに回りに置いておきたいモノ。備前焼(売り手の言い分ですが)の小振りな花生けをペン立てに、英国で暖房用石炭を保管しておくためのバケツのミニチュアを鍵入れに、など自分なりの工夫で楽しんでました。

 熱の方はすっかり冷めましたが、集めた品々は今でも愛用していますし、骨董、アンティークについての本を読んだりするほうの熱は、今でも続いています。

 最近読んだなかでは、「アンティークは語る」(マーク・アラム著 エクスナレッジ)が、豊富なエピソードで、読み応えがありました。こちらです。



 まずは、ナポレオンのペニスの話から。
 1821年に、彼が死んだ時、検死解剖が行われたのは事実。で、ナポレオン付きの司祭が、ペニスを手に入れて、代々受け継がれてきたというのですね。それが、1916年にオークションにかけられ、イギリス人コレクターの手に。その後、幾多の手を経て、アメリカ人の泌尿器科医のもとへ。その医師が亡くなって、現在は、娘が譲り受けている。残念ながら、非公開!

 「第一次世界大戦のきっかけとなった銃弾」が、チェコのコノビシュチェ城の博物館に保管、展示されている。暗殺者ガヴリロ・プリンツィプが、オーストリア=ハンガリー帝国のフェルディナント大公の命を奪ったもので、歴史を変えた凶弾です。
 また、アメリカのリンカーン大統領の命を奪った弾は、メリーランドの国立保健衛生医学博物館で見ることができるそうな。アメリカにとっては、歴史的な品、ということになるのでしょうね。

 大事故にまつわる品も、プレミアムがついて、取引きされるのがこの世界。
 タイタニック号の見張り台にあった鍵が、2007年のオークションで、9万ポンドで落差された。この鍵を持っていた船員が、出航直前に船から降りることになったが、同僚に渡すのを忘れたまま下船したため現存する、といういわくつきのもの。
 1937年に爆発事故を起こした飛行船ヒンデンブルグ号には、1万7609通の郵便物が載っていたが、回収されたのは、367通で、一通あたり、1万ポンドから3万ポンドで取引きされているという。

 「モノポリー」というゲームがあります。いかにもアメリカ的に、金儲けを競うボードゲームです。最近、「アンティーク・ロードショー」(イギリス版「何でも鑑定団」)に、そのゲームが登場した。1963年の大列車強盗の一味が、犯行後、ほとぼりの冷めるまで興じていたといういわく付きのもの。当然のことながら、使ったのはチップではなく、本物の紙幣だった、というオチがつく。

 いかがでしたか?次回をお楽しみに。


第151回 英語で酒をおごる-英語弁講座5

2016-02-05 | エッセイ

 何人かのグループで飲んだ時、日本だと、飲み代の支払いは、上司とか先輩がおごるか、割り勘が普通。イギリスのパブなんかは、キャッシュ・オン・デリバリー(そのつど現金払い)が基本で、近頃は日本でもぼちぼち見かけたりします。そんな支払いに関する表現のいくつかをご紹介します。

 「私がおごります」たまには言ってみたいセリフですが、、、、
 I'll pick up the tab. という言い回しがあります。
 tab(タブ)というのは、請求書、勘定書のこと。それを、私がピック・アップ(拾いあげる)というわけですね。
 It's on me.(イッツ・オン・ミー)というカジュアルな表現があります。いかにも、私が持ちますから、というか、ここは、私に、、、といった語感で使い勝手はよいと思います。
 You are my guest. (ユー・アー・マイ・ゲスト)あなたは、私のお客様です)なんてのも、たまには言われてみたいですね。
 親しい間柄とかで、この一杯はオレのおごり、という流れになる場合がありますね。そんな時には、
 I'll buy you one. (アイル・バイ・ユー・ワン 私があなたに一杯買う=一杯おごる)という言い方もあります。

 ついでに、「ここは、私が」「いや、ここは私が」などと、誰が払うかでモメることが、ままあります。どうしても払いたい人が使う決め台詞がこれ。
 ”I insist."(アイ・インシスト) 直訳すれば、「私は主張する」ですが、、、「ここは是非とも私に」という思いが伝わり、英語圏なら、これで、キマリです。

 さて、割り勘ですが、、、、、
 ちょっと、英語が好きな人なら、"go Dutch(ゴー・ダッチ=オランダ人式でやる)"という表現をご存知でしょう。オランダ人はケチだから、との説もありますが、どうなんでしょうか。それはともかく、これは、本来、「自分が飲み食いした分を、各自が払う」という仕組みのことで、日本で言う割り勘(アタマ割り=総額を人数で割る)とは、違うんですね。だから、厳密にオランダ式でやるためには、最初に、ウェイターとかに、
 Separate checks,please.(セパレイト・チェックス・プリーズ 勘定書を、別々に分けてください)などとお願いしておく必要がありますね。

 しからば、アタマ割り方式はどう言うかですが、、、
 split the bill(スプリット・ザ・ビル 代金を分ける、割る)がよく使われます。
 Let's split the bill today.(今日は、割り勘だぜ)などという具合ですね。

 たまには、店主からおごられてもみたいもの。
 「店のおごり(無料)で」は、先ほどの"on me"の応用形で、
 "on the house"(オン・ザ・ハウス)この場合のhouseは、家ではなく、もちろん店のこと。
 The landlord gave me a drink on the house.(マスターが一杯おごってくれた)
 ついでながら、居酒屋などの「マスター」にあたる英語は、男性なら、この例文のように
 landlord、女性なら landladyになります。これからはこれを使ってくださいね。



 いかがでしたか?「おごる」という表現は、どんどん使い、使われたいですね。それでは次回をお楽しみに。